追憶 ゴールデンウィーク 2015年5月9日 タクシー物語 Yさんのアパートに行く時に、いつもボクは酒を飲んでいた。酒の勢いで行く、というよりも、照れくささを隠すために飲んでから行った。夜の10時前だというのにYさんの部屋の電灯はいつも消されていた。汲み取り式のトイレのニオイがそ[…] 続きを読む
ゴールデンウィークの記憶 2015年4月29日 タクシー物語 笠山に登ると、そこからホテル日航(今はロワジールホテルって言うんだけれど)が見えて、なにか悲しくなったことがあった。良いことなのか悪いことなのか、独りで暮らしていると笑うことが少なくなった。かわりに独り言が多くなった。こ[…] 続きを読む
世界によってボクたちは変えられてしまっている 2015年4月1日 タクシー物語 春だね。 花冷え 今年の桜はボクの運転する車の中から見た。そしてそれがまた想い出となる。その想い出の1コマに参加出来たことを、ボクは幸せに感じた。そしてボクも桜の頃になると「あのお客さん、元気にしているかなあ」なんて思う[…] 続きを読む
教訓 2015年3月3日 タクシー物語 Kさんが亡くなった時に古いアルバムを整理したのは、Kさんとのツーショットの写真があったのを思い出したからだ。その写真を写してメールでTやSさんに送りたかった。アルバムの中にはずいぶんと若いボクがいて、そしてもう亡くなった[…] 続きを読む
潮騒 2015年3月3日 タクシー物語 春一番なのかなあ…、風がせっかくの春のぬくもりを一気に吹き飛ばしてゆく。これぐらいの日にボクは、初めて渥美半島にやってきた。いや、実際には初めてではなくて、20年ほど前に一度訪れたことがあったのだけれど、ボクの記憶の中に[…] 続きを読む
2月2日のこと 2015年2月6日 タクシー物語 アルバムの中にある過去は少し色褪せてはいるにしてもまだしっかりと重量を保っていてその時間を繋ぎとめていた。過去の上に染みを着けているのはボクの哀しみとか悔いなんてものでそれが時間を立体的にしていた。 Kさんの訃報を聞いた[…] 続きを読む
ソープランドの待合室でボクたちは成人になった意味なんてのを考えていたのだ(再掲) 2015年1月12日 タクシー物語 Tの奥さんがガンで亡くなったということをネットで知った。Tとボクは高校のときからの付き合いで、ボクの数少ない友人のひとりなのだけれど、ボクが住んでいた街を捨ててトヨタの期間従業員として愛知県に、まるで失踪したように移り住[…] 続きを読む
鰤大根 追悼2014年 2014年12月31日 タクシー物語 風呂に入った。午後4時前。 故郷、子供のころは大晦日には早めに風呂に入って食事をした。もう少し寒が厳しかったように憶えている。軒に寒鰤が吊るしてあった。ひと晩ふた晩寒気にあてたほうが美味しかった。そう父が話していた。 寒[…] 続きを読む