働きやすい職場認証制度について
働きやすい職場認証制度について考えてみます。この働きやすい職場認定制度がはじまって4年、その間にハイヤー・タクシー事業では、現在1457事業者が認定を受けたようです。内訳は以下の通りです。1
- ★ ・・・・845社
- ★★ ・・・599社
- ★★★・・・13社
制度のメリット
メリットを7項目に分類しました。
認証取得メリット | 自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度より抜粋
- ハローワーク
- 求人サイト
- 損害保険
- 労災上乗せ保険の保険料の割引
- 設備改修工事
- 監査
- 「二つ星」「三つ星」の認証事業者のうち対面による審査を受け合格した営業所については、長期間、監査を実施していないことを端緒とした監査の対象から除外することができる規定を整備
- 令和5年度補正予算の補助金
- 二種免許取得支援
- 予算の範囲内で本認証制度取得事業者を優遇(予定)
- 二種免許取得支援
タクシー業界で特にインセンティブが大きくなるのは6の「監査」、7の「予算優遇」かもしれないですね。
ほんとうに働きやすい職場なのですか?
認証を受けたとしても、その事業所が働きやすいのでしょうか?
認定、特に★一つについては、「それって普通のことでは」という感想です。として、2つ以上でないと意味がないのでは?ただ、取得しようとする=努力している、とも考えられます。しかし、料金<インセンティブ、という計算をしている事業者もいることでしょうし…。それらのことを踏まえて問題点について考えてみます。
働きやすい職場認定制度の問題点
働く場所がなくなるかも
この制度の最終目的は、明るいタクシー業界の未来構築ではないでしょうか。それが次の簡易フローです。
- 働きやすい職場にすることが目的
- それを求職者に分かりやすくすること
- 働きやすい職場が増える
- ブラック企業が減る
- タクシー業界に人が集まる
持続可能な業界にするために、まずは、タクシー不足、人手不足解消を遂行しなければなりません。
しかし、問題は登録料や継続審査料、それに係る経費です。つまり、お金、人材の問題です。それが不足して経営危機にある事業者も多い業界です。余裕がない、不足している、その結果、中小企業が取り残されます。
中小零細事業者が多いこともタクシー事業の特徴のひとつです。ランニングコストが高く、労働集約型産業である業界の事業者間格差の拡大は、小規模事業所の経営に痛手を、そして追い打ちをかけます。それが、地方の移動の崩壊に繋がります。
その結果、働く場所がなくなるということになりかねません。
エッシェンシャルワーカーとしての地位と労働条件の改善を
もう一つの問題は、ほんとうに「働きやすい」会社とは一体どういう会社なのか?ということです。認証の前に、タクシー事業の抱える諸問題の解決も同時に行われなければなりません。例えば、事業者ごとの賃金や労働ルールについての改善も必要です。不当な乗務員負担、労働時間、賃金制度…。それらに問題はないかチェックし改善する機能こそ必要ではないでしょうか。
認証よりも実態、その改革と改善を、ボクとしては洗い出して行ってほしいと願っています。
「働きやすい職場認証制度」(運転者職場環境良好度認証制度)申請案内書
グリーン経営について(参考)
認証制度と同じ日本海事協会主催のグリーン経営認証制度についても、効果を疑問視し、コスト、人材不足から申請事業者が少なくなり、加えて継続申請を中止した事業者が増えたと聞いています。
- 運転者職場環境良好度認証制度 認証事業者一覧での検索結果により抽出