個人タクシー品質向上委員会のジャパンタクシー推奨について考えたこと

「個人タクシー向上委員会として推奨しているのはジャパンタクシーだ。セダン型は少子高齢化社会にそぐわないので認めていない。自分が乗りたい車ではなくお客が乗りたい車を選ぶべし」

という仲村さんの言説には、一理あると思います。(今回もいつもの調子なので反発を買っていて、本質からずれた議論になっているように感じています)

仲村 渠(リベラリスト)氏のtweet 「個人タクシー品質向上委員会のジャパンタクシー推奨について」

さて、ざわついている(議論になっている)JPATaxiの問題点は、次の点です。

  1. ジャパンタクシーは乗りにくい
  2. 完成された車両ではない
  3. 欠陥がある
  4. 使いにくい
  5. セダン型車両の需要

そして、いつものように「タクシー運転手やったこともないのに、JPNの何が分かるのか」と、論点がすり替わり、問題を矮小化されてしまっています。

ジャパンタクシー導入と運用

  1. 車両の問題
  2. 運営上の問題

この2つの問題を抱えながら、ユニバーサルデザインタクシーとして運行が始まりました。そして、すでに5年の年月が経ちました。

問題がある車両を、運転手に負担を強いながら、運行している、というのが実態です。だから良い話が出てこない。タクシーのUD化という正義が、ジャパンタクシー(という問題のある車両)という悪に置換されている、ということなのです。

UD化は正しいのです。ただし、ジャパンタクシーは使いにくい。そして、そのつけを車椅子利用者と運転手にまわしている、ということです。

ユニバーサルデザインへ

1台あたり60万円という公的補助金が国や自治体から付与されたのはなぜでしょう。それはタクシーのUD化という大義のためです。そのため、ジャパンタクシーを推奨ではなく導入を推進したのです。

障害者基本法、障害者差別解消法のとおり「障がい者を理由とした差別の解消」を目指すために公共交通機関としてUD化することはタクシー業界の責務ではないのでしょうか。

社会の公器と言いながら、そして言われながら、UD化もできない、推進もできないことこそ問題ではないでしょうか。

その大義のため、「高額」という車両の問題を解決するために「補助金」が税金から付与されているのです。

ジャパンタクシーというUDタクシー

ですから、実は、ジャパンタクシーという車両と、UDタクシーという理念は別のものなのです。仲村氏の真意は「推奨しているのはユニバーサルデザインタクシーだ」ということなのだと思います。

そう読むと、(いえ、文脈からはそう読めます)仲村氏の言説はとても正しいことなのです。なぜならばUD化は正義なのですから。

仲村氏の言う「少子高齢化社会」、特に高齢化においてはUDタクシーと、UDマインド(実はこれは氏のいうエンタメ性と密接に関係しているのですが)こそがタクシー業界には必要なのです。

もう一度言います。なぜならば、タクシーは社会の公器だからです。

UD化は進んでいますか?

ジャパンタクシーの導入率は全国平均で17.5%、たったそれだけなのです。100台に17台。最も導入率の高い東京で56.3%です。東京は特別です。というよりもすごい数です。最も低い徳島県では0.5%、県内で5台しか走っていません。乗ることもですが、見たこともない人も多いかもしれません。

UD化と言いながら、UD化されていないのです。遅れている、と言っていいでしょう。車両の代替ができない、というコロナ禍での経営状態もあるでしょう。それでもUD化は推奨されたほうがいいのです。

図1 は都道府県別ジャパンタクシー導入率です。図2 では見やすくするために東京を取り除きました。(東京の導入率が56.7%と特出しているためです)

*東京交通新聞2023年1月1日号の記事よりグラフを作成しました。画像

JPN TAXI導入率グラフ
図1 都道府県別JPN TAXI導入率表1
都道府県別JPN TAXI導入率表2
図2 都道府県別JPN TAXI導入率表2

個人タクシーの場合

実は、ボクも個人タクシーのUD化率に興味がありました。UDタクシー仕様の個人タクシーはどれくらいいるのでしょうか?

おそらく、導入率は良くて数パーセントではないでしょうか?

社会の公器としてタクシー業界がUD化を推進している中、個人タクシーは関係ない、と言っていいのでしょうか?ジャパンタクシーに不具合があるのなら、違った方法でUD化する、そんな人はいないのでしょうか?

個人タクシーなら、車椅子を扱いやすい車両に改造して使用するなんてこともできるのではないのでしょうか?

仲村氏の提言

ということなのです。ボクたち法人タクシーの選択肢はありません。個人タクシーの人たちは「自分が乗りたい車」ではなく、「社会の公器として、いつでもどこでも誰でも乗れる車両」の選択があってもいいのではないのでしょうか?

「自分が乗りたい車ではなくお客が乗りたい車」を選ぶ個人タクシーもあってもいいよね!それはUD化されたタクシー、もう福祉車両と言ってもいいような車両がいいよね!

仲村氏がそう言えば、きっとあんなに反発されることもなかったのです。でも、同じことなのですよ。言ってることは。

ボクの提言

ボクたちの仕事は、社会の公器として移動で人を幸せにすることです。雨の日も、雪の日も、そこに移動したい人がいる限り、365日24時間走り続けるのです。そのためには、誰でも乗車できるような車両が必要なのです。

そのためには、個人タクシー向上委員会という極私的な組織がジャパンタクシーを推奨するのではなくて、個人タクシー組合の人たちが、タクシーの使命として、社会の公器として、個人タクシーのUD化を推進しないと、もうね、個人タクシー開業の要件緩和、それどころか、個人タクシーいらないからその分自家用有償を認可制で、なんて話にならないかと、たぶん、仲村氏も思っていてタクシー業界を憂いているのです。ボクはそう考えています。

東京交通新聞2023年2月27日号ラストワンマイル・モビリティ検討会

東京交通新聞 ラストワンマイル・モビリティ検討会の記事

個人タクシーの許可都市の拡大の要望が出始めました。

「豊橋の移動を変える」新しいタクシーが発車します

7件のコメント

  • blank

    個人タクシーのドライバーにも車に気を使う人もいます。ジャパンタクシーもタイヤのグレードを上げたり遮音に工夫したりする事などでポテンシャルを上げられる可能性があると思います。

    • blank

      こんにちは。LPGスタンドの問題は地方でも深刻で、この地域では2店舗閉業しました。さらに、営業時間の短縮もあります。現状では、稼働率が低いので、燃料がなくなれば車両を替えて営業するというようなことをやっています。

      確かに、ポテンシャルもですが、安っぽさが個人タクシーでの利用が避けられる理由かもしれませんね。扱いにくい、安っぽい、で、何が良いのか、というと、UD…、それも中途半端。燃料問題から、こちらでもシエンタのガソリン車を使う事業者も増えているようです。

  • blank

    返信ありがとうございます❤次にジャパンタクシーはLPG車両です。ハイブリッドにより燃費が大幅に良くなり、その為、全国のLPGスタンドがかなり減少してしまい都内でも営業時間が限られている為ガソリンスタンド⛽のようにセルフは出来ませんが24時間開いてる店が数十ヶ所あるとジャパンタクシーのドライバーはかなり助かると思います。個人タクシーもジャパンタクシーのガソリンHV車が出ればLPGスタンドを気にしないで済むので急速に増えると思います。

  • blank

    ジャパンタクシーのUD車両には問題点が多く今だにレール設置に時間がかかり車椅子での乗車時に頭がぶつかる中が狭いなど利用者には不満のようです。流しのジャパンタクシードライバーからも不満続出しています。施設などではこころよく受付してくれるタクシー会社に予約しているようです。さらなる車両の改良が必要かと思います。

    • blank

      こんにちは。そうなんですよね。もう少し簡単で楽に設置できて、ご乗車いただければ良いのですが。タクシーのUD化が遅れている原因でもありますよね。結果的に車両の問題点が運転手とお客様のトラブルになっているような。ありがとうございます。

      • blank

        返信ありがとうございます❤次にジャパンタクシーはLPG車両です。ハイブリッドにより燃費が大幅に良くなり、その為、全国のLPGスタンドがかなり減少してしまい都内でも営業時間が限られている為ガソリンスタンド⛽のようにセルフは出来ませんが24時間開いてる店が数十ヶ所あるとジャパンタクシーのドライバーはかなり助かると思います。個人タクシーもジャパンタクシーのガソリンHV車が出ればLPGスタンドを気にしないで済むので急速に増えると思います。

  • blank

    ジャパンタクシーのUD化について車両のレール設置にはまだ問題が多く車椅子での利用者に不評で頭があたる中が狭い、流しのジャパンタクシーでもドライバーの不満続出、したがって施設などではこころよく受付てくれる会社に予約しているのが現状です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA