タクシー運転手へのカスハラ

タクシー運転手へのカスハラが問題視されるようになりました。これまでもあったのですが、表面化することなく、運転手と利用者の責任に矮小化されることが多かったようです。例えば、運転手の接客態度が悪い、利用者が酔っていた、などです。

カスハラが運転手不足の原因です。それは、離職原因というだけではなく、入職の壁をも高くしています。今日は、タクシー運転手へのカスハラについて、再度考えてみます。(以前書いた「カスハラ」と超複する項目もあります…)

カスハラタクシー運転手村瀬さん さちゃたく(@sachantaxi33ojo)さん / Twitterのカスハラ体験のインタビュー記事を読んで考えてみました。 元キャバ嬢タクシー運転手に"カスハラ体験"聞いたら…
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カスハラ

タクシー運転手へのカスハラ

なぜカスハラが起きるか

これには、タクシー固有の問題があります。つまり、個室での対応だからです。

  • 個室(密室)のため
  • 起こりやすい
  • 制止する人がいない
  • 対応によっては悪化する

ということになります。このように、誰も見ていない、制止する人がいない、というタクシーの環境がカスハラを起こりやすくエスカレートしやすいものにしています。

タクシー運転手へのカスハラの特徴

このような環境もですが、原因が運転手のミスからのものも多いようです。そうなると、乗客の言動に正当性を与えてしまいます。つまり、クレームとして受け入れてしまうのです。

クレームとして受け入れるので、これまで表面化されにくかったのです。されたとしても、過失割合になって「運転手が悪い」と決着することも多かったようです。

もう少し詳しく書くと、知識不足で場所を間違えた、経路が違った、というミスが起きると「お客さんを怒らせた」となります。その「怒らせた」ことによる叱責(度を超えてカスハラになっているのですが)は仕方ないと受け入れてしまうのです。被害者になっているのに「自分が悪い」ということから離れられなくなります。

さらに、謝罪、沈黙がカスハラをエスカレートさせます。あげた拳の下ろしどころがないからです。これって、DV被害者が陥る心理状態ですよね?

これがタクシー運転手へのカスハラの特徴です。そして、我慢してしまう、表面化されない、という悪循環になります。さらに「料金は結構ですから」になります。加害者であるハラッサーは、「なんだ、怒りゃタダになるのか」と。次の被害者が出る、という最悪の結果をまねきます。

カスハラは防止できるのか

ドライブレコーダーは有効か

車内外を撮影するドライブレコーダーが防犯カメラになる、と言っても、事後的なものです。タクシー運転手へのカスハラが起きている時点では、ただの記録装置です。

つまり、ドライブレコーダーを設置していたとしても、証拠にしかならないのです。抑止力になったしても、傍観者なのです。

カスハラの判断

このように、タクシー運転手へのカスハラが密室で行われます。それに、唯一の他者の目であるドラレコの事後性もあって、起きている瞬間に(カスハラかどうかの)判断ができないという問題もあります。

このことがタクシー運転手へのカスハラ防止をさらに難しくします。

タクシーのカスハラ防止策

運送約款の改定

2016年から運送約款に「ハラスメント行為があったら、その中止を求め、旅客がこの求めに応じない場合は、運送の引き受けまたは継続を拒絶する」という文言が追記されるようになりました。

ところが、事態は改善されることなく、運転手不足を機に問題視されるようになったというのが現実です。

約款に追記しただけでは「ハラスメント行為があった」としても、密室で誰もいないため「判断できない」「運送の拒絶が難しい」になります。そして、泣き寝入り、さらには、料金サービスまでしてしまう。加えて、「自分さえ我慢すれば」と報告もしない……。

改定しただけでは、ダメなのです。つまり、運転手、管理者、配車センター(無線)が一体となって、ハラスメントが起きた時のマニュアルや訓練をしないと、ただ「ハラスメント行為があったら降りてもらいます」では効果がないのです。さらに、その行為がハラスメントかどうかの判断もできないのに…

カスハラ防止条例

これも、運送約款と同じです。罰則もなく効果があるのでしょうか。

これまで述べてきたように、タクシー運転手へのカスハラは特殊です。特に、密室、誰もいない状況下で起こります。マニュアルや訓練をしたとしても起こります。

東京都 全国初の「カスハラ」防止条例制定へ 対象は官民問わず | NHK

カスハラ防止策

ではどうするか?例えば、次のような対策が考えられます。

  1. 全ての運送を事前確定運賃で経路、運賃トラブルをなくす
  2. 待機場所からの乗車以外はアプリ配車で行う(身元確認)
  3. 運転席と客席の完全分離(支払い経路は客席タブレット)
  4. 通報システムで声での第三者の介入(無線でも可)

不寛容と社会的コスト

(ここからは、前回書いたことを再掲します。そしてまとめとさせていただきます)

確かに利用者の安全と安心、利便性も重要な課題です。しかし、それを提供する側の安全と安心が担保されない限り、人材不足による供給不足は解消されません。

いえ、その前に、利用者からのハラスメントによりボクたちの職場環境が悪化しているとするならば、実は供給不足もしかたないことなのです。結局、困るのは利用者というボクたちになります。

ボクたちの不寛容さが、社会的コストを押し上げている、ということです。結局、ハラスメントやいじめ、暴力は、ブーメランとなってボクたちの社会を荒廃させるということです。

タクシー運転手へのカスハラ対策マニュアル

タクシー運転手へのカスハラ対策マニュアル

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