ゴールデンウィークの記憶

笠山に登ると、そこからホテル日航(今はロワジールホテルって言うんだけれど)が見えて、なにか悲しくなったことがあった。良いことなのか悪いことなのか、独りで暮らしていると笑うことが少なくなった。かわりに独り言が多くなった。これまた良いことなのか悪いことなのか、欲も少なくなった。かわりに外を眺めることが多くなった。

旅に出たい。というか、もう世間とやらと縁を切りたい。家族なんてものはいないから、あとはこのアパートを引き払って「ひよいと四国へ晴れきつてゐる」(山頭火)のように、ひょいとどこかを歩いてみたい。

ハナミズキが満開だ。田原のハナトキ通りはキレイだろうね。桜よりずっとキレイだよ。ずっとずっとね。

昔の写真と昔のコトバを…2007年の4月の終わりに書いたっけなあ…。

花水木

退屈な日曜日の退屈な雨の午後には
いつものキャップを少し深めにかぶって街を歩く
雨に流されそうなわずかばかりの思い出を
ボクはひとつひとつ拾い集めることを繰り返していて
その思い出たちの置き場所をどこにするか決めていなかったことに気付いて、ボクは慌ててしまうんだ。
そんな置き場所なんてのは最初からなくて
それは置き場所を作ってはいけなかった日々の
その思い出をひとつひとつ消していくような
そんな作業の繰り返しのようで
それはちょうど届いたばかりのメールを削除するような時間……
なのかもしれないと、思っている。
記憶というかなり不安定な場所にあっては
もう自ら消してしまったという指の動きだけが頼りで
思い出せない痛みがその指先から伝わってくる
ちょうど今降っている雨のように。

ハナミズキ
雨が降ってきそうなこのアパート界隈は、ゴールデンではない普通の日常の中にある。さてと寝るか。

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