16歳のボクたち
16歳のボクたちのことを思い出している。昨日は亡くなった友人の葬儀だった。ボクは、その時間に酒を飲んだ。そして、泣いた。
ずいぶんと長い間、音信不通だった。よくあることなんだろうけれど、ボクが地元を離れたことが原因なのだ。彼だけではなく、親兄弟とも疎遠になってしまった。兄とも20年近く会っていない。それは、ボクの性格が原因になるのだろうけれど…。
Aの死で、地元に帰ったとしても、飲みに行く相手がいなくなった。そして友人と呼べる人も、いなくなった。それも、ボクの性格が原因なのだろう。
高校の入学式で最初に話したのが、AとTだった。Tは、その高い身長で目立っていた。2人は中学は違っていたのだけれど、部活での知り合いだった。Aというよりも、Tが目立っていた。そうそう、成人式の日にTと一緒に…。
Aはすでに結婚していた。そのため、成人式のTとボクのイベントには参加しなかった。というよりも、Aは善き人だった。人を攻撃するような言動もなかった。それに、怒ることも少なかった。それは、きっと、育ちの良さ、からなんだろうと、思うことがあった。ボクたちとは少し違った。例えば、弁当のおかずがそうだった。母親の愛情もたっぷりと注がれていたのだろう、と思う。
善き人
善人で純情だったのだ。そのことで、人に利用されたかもしれない。ボクの知らないところで…。そして、きっと、両親の愛情が解決した、のかもしれない。きっと、そうに違いない。あんなに善い人は、この世知辛い世の中では、生き辛いものだ。
そうして、こんなに早く、逝ってしまった。
でも、早い結婚が彼に家族という幸せをもたらした。「家族で看取ることができました」そう息子からメールがあった。善き家族がいて、その早い、そして突然の痛みは、少しは和らげられ、癒やされたと、思う。
ああ、どうして、この冬に、こんなに暇なのに、帰省しなかったのだろう。ボクの後悔が涙に変わる。仕事があったわけでも、お金がなかったわけでもないのに…。
「今度、父の思い出を聞かせてください」なんて…。ひとつだけ、ここに書くとね、一緒に吉田拓郎のコンサートに行ったっけなあ。あの夜のことを思い出している。「外は白い雪の夜」が好きだったっけなあ。
画像:16歳のボクたち。T、ボク、S、撮影がAでした。