タクシードライバーの孤独死
数日前、タクシードライバーの孤独死があった、と聞いた。なにもタクシードライバーだけが孤独死する、ということではない。しかし、高齢化し非婚化が進む社会では増える。その傾向が高いタクシードライバーの孤独死も増える。
ボクが入職して1年過ぎた頃、同じ会社の60代の運転士が孤独死をした。勤務が終わり、非番公休、その次の朝に出勤しなかった。お昼過ぎに管理者が電話。しかし出ない。そこでアパートに訪ねるとエアコンの室外機が動いているのに、応答がなかった。死んでいた。
タクシードライバーの孤独死
そのAさんは、年金受給間近だった。前職の年収が高かったので、「年金が入れば生活が楽になるよ」といつも言っていた。つまり、死ぬ前の生活は楽ではなかった。その証拠に、「自家用車の車検を受ける金がない」と言っていたし、現に受けていなかった。
隣町からの通勤は車がないと不便だった。と言うよりも、難しかった。それで、Aさんは、無車検の車を乗り、途中のパチンコ屋の駐車場に停めていた。そこからはバスか、同じ班の人に送ってもらっていた。職業運転手として、と言うよりも、地方の移動すること、いや、生きることの難しさを考えた。
タクシー会社で、年に2回の健康診断を受けていた。そのため、重篤な病はなかったはずだった。ただ、いつも「胃腸がね」と言って整腸剤を服用していた。Aさんの担当していた車両の中に、その整腸剤があって、今も、その薬を見ると、思い出すのだけれど、きっと、健康診断では分からない、突発的な体調の異変が、彼を死に追いやったのだろうと思う。
独り
もし、その異変を訴えられる人が近くにいたなら…。Aさんは死ななくても良かったかもしれない。そう思う。そんな、死ななくても良い死が多いと思う。
数日前に亡くなったのは、高齢の運転士だったそうだ。きっと、Aさんと同じように、出勤しないからアパートに行ってみたら、と言うことなんだろう。独身、独居、タクシードライバーには多い。そして、不規則な生活と食生活、慢性的な睡眠不足、喫煙者も多い。そのためか高血圧の人も多い。
運転は緊張する。まして、他人を乗せてとなると、血圧も上がるだろう。心不全、そんな病名がAさんの死因になった。痛くはなかったのだろうか、そう今でも考える。いや、人は痛みを抱えながら生きている。楽という夢を見ながら生きている。
孤独死、しても良いけれど、せめて腐る前にどうにかして欲しい、そう今、こんな朝に考えている。
「咳をしても一人」放哉
夫婦孤立死、届かぬ見守り 蒲郡、気付かれず数カ月…妻は認知症の疑い:中日新聞Web
3月7日
昼食:とっても美味しい前日のカレー
夕食:焼きしゃけ、前日の野菜煮、揚げ出し豆腐、日本酒1合
『サウルの息子』ネメシュ・ラースロー監督
この日も引きこもり。ただ、旅の計画と準備だけはした。18きっぷの頃だからね。