ライドシェア議論、川邊氏の「ぜひご覧ください」に思うこと

国土交通省の「自家用車活用事業の制度を創設し、今後の方針を公表します。1」が出たことで、ライドシェア議論が再燃しています。その内容について、LINEヤフー(株)代表取締役会長の川邊健太郎氏がTwitterに「【ぜひご覧ください】」というツイートしています。この川邊会長のツイートにリツイートしてみます。

「恒常的および突発的需要増加への対応力への懸念」について

恒常的および突発的需要増加への対応力への懸念 ・運行許可を出す地域や時間帯を(全国には普及していない)配車アプリから抽出したデータで特定するため、配車アプリを使わない予約、流しのタクシーも含めると、移動難民の実需であるかが未知数。計算の元になったデータの四半期のズレなどもある。 ・マッチング率のデータは天候・イベント等の事が未考慮。 ・運行を許可する車両数は、曜日・時間で区切ることから供給の「柔軟性不足」を導き、やはり移動難民の実需とマッチするかは不明。

国交省の(自家用車活用事業を認める地域時間帯を抽出した)データですが、これは、確かに実需との差があります。しかし「配車アプリを使わない予約、流しのタクシーを含めていない」のは、ライドシェアを導入した場合の「実需」です。

つまり、ライドシェアは配車アプリを利用します。そのため、現状のライドシェア需要、というデータには相違はありません。結果、ライドシェアが導入された場合に供給過多、それによる大きな弊害2を防ぐために、ライドシェア側の供給調整をする、ためです。

また、データ収集の期間の「ズレ」、そして天候・イベントなどの未考慮ということについては、11月末から年末という繁忙期を含めています。つまり、最も需要のある期間が含まれています。(年平均の1.5倍の需要量)ということは、大きく見積もっている、ことにならないでしょうか。

ただ、おっやる通り、実需とマッチするかは不明なのです。このことについては、「天候・イベント」などの特需に対して供給を満たすことは、つまり需給ギャップの解消は、ライドシェアを導入しても解決できません。なぜならば、特需だからです。(ライドシェアだと解決できると言う人もいますが、それは時間の話だけです。根本的な解決方法にはなりません)

「持続的なドライバー確保への懸念」について

持続的なドライバー確保への懸念 ・タクシーのドライバーが敬遠する地域や時間帯を(全国には普及していない)配車アプリで抽出したデータで募集をかけるので、稼ぎたいのに時間、曜日の働ける時間の制限が強すぎる(=稼ぎづらい) ・車両の毎日点検・点呼が隙間時間の稼働に対して負荷が高い(近くのタクシー営業所へ行って車両検査をしなければならないぽいので往復時間のロスが大きい)

これは、はじめにタクシーありき、なので…。それに「移動難民」問題が本質であって、ライドシェアドライバーが「稼ぐ」ことではないですよね?

ということを言うと、「稼げなければドライバーが集まらない」と言うのですが…。しかし、ギグワークって、本業ではないはずですよね。副業として、週末に、と言うのはマッチすると考えます。そして、ライドシェアが稼げ、本業になると、雇用問題が発生します。その行き着くところは、雇用破壊です。

ということもあり、ギグワークだけで生活する、のではなく、本業でしっかりと稼げる、そのような雇用制度が求められているのではないでしょうか。

「募集枠」について

募集枠が既存タクシー会社の利権化→制度の空洞化の懸念 ・募集できる枠が、現在のタクシーの保有台数にリンクする為、どのタクシー会社も枠確保の為に申請はするものの実稼働はしていないみたな事が起きる懸念。(タクシー事業そのものが運転手不足で実稼働率が既に低いので、同じ構造にならないか?) ・国交省もそれは理解していて、実稼働していない枠を他の営業区域のタクシー会社に振り分けるなどの調整を行うでしょうが、真面目に準備をしているがドライバーが集まりきらないタクシー会社の運営インセンティブを下げたりなど、混乱が起きるのではないか?

この「保有台数にリンクする」とは、今回の自家用車活用事業で使用できる車両数が「営業所の保有台数」と言う制限のことでしょう。調査の結果、タクシー不足(ライドシェアが呼ばれるであろう時間、地域)が、とても限定的でした。そしてマッチング率が低いと言っても60%台です。

このことを、例えば東京特別区・武三交通圏を例にして考えてみます。法人事業者のタクシー・ハイヤーが三万千台、個人タクシーが九千台、合わせて四万台です。実働率は100%ではありません。せいぜい65%、良くて70%です。つまり、二万八千台しか動いていません。

国の指定する台数で最も多のは、土曜日の0時〜5時台、2540台です。これは、タクシーの実働率を6%程度増やせば良いだけの話なのです。いえ、実需は違う、と言われると、どうしようもありません。では、実際の需要量、マッチング率は、となると、川邊氏側のデータを出す、と言うことになるのでしょうか。きっと、そうなるのでしょうが…。

以上、リツートをしてみました。ところで、自家用自動車活用事業、この申請をしているの事業者はあるのでしょうか。まあ、川鍋会長の日本交通やるでしょうが…。

日本版ライドシェア4区域で導入 4月解禁、台数や時間帯も公表:東京新聞 TOKYO Web
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自家用車活用事業、国土交通省指定台数、指定地域

 

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