タクシー値上げ 11月から運賃~タクシー規制について(4)~
タクシー値上げとタクシー規制について考えてみる。
「タクシーの運賃はかつて、同一地域同一運賃制度に従い、原則として同じ地域では会社を問わず同じ運賃であったが、1993年(平成5年)にこの制度が廃止されている。
現在では、地域ごとに定められた金額を上限とする一定の範囲内であれば、各社の裁量により運賃を自由に決めることができる(日本のタクシー – Wikipedia)」のだが、どういうわけか同一運賃で運行されている地域が多い。それも公定幅運賃の上限で設定されている場合が多いのは、タクシー事業のもつ特殊性(例えば総括原価方式による運賃設定)なのだろう…。
同一地区同一運賃
いまだに同一地域同一運賃に設定されていたとしても、例えば新潟交通圏のように価格カルテルとして法の裁きをうけることは稀である。
狭い地域のことなので、それがどういう理由だろうがどういった方法によるものだろうが「同じ」に設定した方が利用者も事業者も、そしてボクたちドライバーも安心安全、そして便利なのかもしれないと思う。
タクシー運賃がスーパーの野菜のように設定されると混乱してしまうし、価格競争の弊害がそのまま利用者の安全とドライバーの生活を脅かすものになるので、法による規制と事業者の規制は必要だと思う。
特定地域解除
それがこの秋から変わる。これまで長く続いていた法則とか秩序とか紳士協定とか風土なんてものが崩壊して、というか、特定地域という法規制が解除されて自由という「春」がやってくるのだ。
そのことについては前回、11月からこの東三河南部交通圏において東海交通が運賃値上げをすることを書いたのだけれど(規制緩和と値上げ~タクシー規制について(3)~、今回は値上げ後の運賃と現在の運賃を比較してみたいと思う。
*東海交通の申請運賃
初乗り600円(1.2キロまで)爾後90円(246メートルごと)
*現状(同一地域同一運賃)
初乗り700円(1.5キロまで)爾後80円(246メートルごと)
それを表にした。(画像を横向きに置くと見にくいので縦向きに添付した)
初乗り距離短縮運賃
初乗りが安くなっているので距離にして1446キロメートルまでは申請運賃のほうが安い。しかし、メーターが2回更新されたら高くなる。1.5キロ、自宅から近くのコンビニまで、という買物難民と言われる人たちには有益な値下げになるのだろう。1キロ程度の範囲にコンビニが出店しているのだから。
逆に中長距離で言えば、248メートルでの10円という差異は、豊橋駅から田原駅までの利用でおよそ750円程度の値上げになる。
当然長くならばなるほど割高になる。帰宅難民と言われる人たちには不利益になる。トヨタ田原工場の期間従業員の人たちにとっては、春闘で「勝ち取った」日給300円の2日分相当になる。
タクシー値上げ
恐らくこの距離短縮運賃が利用者に浸透してゆくと、長距離の利用者が東海交通以外を選択するようになるのではないかと思う。
長距離ではなくても、1446メートルなんて距離を利用する人は全体の利用者の1割未満だろうから、他社を選択するようになるのではないのだろうか。
安いと思ったら(初乗りが100円も違うのだから)、結局高かった、なんてトラブルも増えるに決まっている。時間距離併用制運賃なのだから、道路状況によってはメーター2回なんてすぐに上がる。
差別化という強者の理論
圧倒的なシェアが物を言って売り上げは増加するのだろうけれど、逆に他社にとっては差別化のチャンスだと思うと、これまでのように阿吽の呼吸で同一地域同一運賃にしてほしくないと思う。というか、規制緩和や自由化がドライバーの利益、そして利用者の利益に繋がってほしいと思うのだ。
いや本音は各社タクシー運賃の値上げして、更に値上げして、再規制がかかってほしいと思っているのだ。そうして街場の人たちが「やっぱり規制がないと料金が上がってしまうね」と、緩和とか自由なんてものの怖さを実感してもらいたいと思っているのだ。
神の手によって人びとは不幸になる。という事実がタクシー業界によって証明される…、というか、もうすでに非正規問題とか格差なんてものは規制緩和とか自由化によってもたらされているってことをみんな知っていはずなんだけれど…。
Uberが普及しないたったひとつの理由~タクシー規制について(1)
共有地の悲劇~タクシー規制について(2)~
規制緩和と値上げ~タクシー規制について(3)~
さといもさん、どうも。
ハイヤーとかもその高級路線なのかもしれませんね。つばめタクシーのチームエクセレントなんてのは、同一運賃で高品質。
個人的には高級と言われる接客よりは、簡素な接客で最低限のサービスのほうが良いんだけれど。その格安理容店やセルフガススタンド、居酒屋なんてのもそうだし…。
こんにちは。
タクシーに馴染むかどうかはわかりませんが高級路線を前面に出して他社より高い運賃で営業するのも場合によってはアリなのかと思ったりもします。結果的に収益が上がるのであれば悪くないわけですし。
通常営業は従来通りとして貸切などではそういった方法を取り入れたりなど。
かつては同一地域同一料金だった従来の銭湯に対するスーパー銭湯が多数ありますし理美容店も安い店が増えてる一方相場よりかなり高い高級路線の店が一部見受けられますし。
公共的なものだと飛行機みたく閑散期の各種格安運賃が充実した一方割引のない普通運賃がかなり上がり繁忙期はさらに上がるなど時期により極端に差が付いたり仕組みを知らない方が損をする仕組みはあまりよくないように感じます。