共有地の悲劇

共有地の悲劇のたとえとして、牧草地で羊飼いたちが自分の利益のために羊を増やし続け牧草がなくなってしまった、という話がある。

タクシー業界の共有地の悲劇

タクシー業界においても、台数規制をしなければ、同じように牧草地の悲劇が起きるとして、需給調整の必要性を説いてきた。

この場合、車両数を増やすな、という調整だ。時として車両を減らせ、という調整も行っていた。

あたらしい悲劇

ところが、その共有地で異変が起きている。これまでとは反対に、稼働台数を増やしたいが増やせない。運転手は羊と違って繁殖ができない。共有地では草が生い茂っている。そんな状況が今のタクシー業界のようだ。

草が生い茂るだけならまだいいのだけれど、運転手不足(供給不足)は利用者の移動を制約しながら、資本家の収益を減少させている。在庫があるのにチャンスロスを起こしている状況なのだ。

ただし、運転手はお腹いっぱいだ。

悲劇だ。

タクシー業界において今後取り組む事項

タクシー業界も拱手傍観しているわけではなく、2016年に「タクシー業界において今後取り組む事項11項目」を、そして2019年には「タクシー業界において今後取り組む事項追加9項目」の目標を掲げ、解決に取り組んできた(きたはずです)。

1.第2種免許緩和

「若年層・女性ドライバーが増加」が期待できる効果として、現在の年齢21歳を19歳 に、経験3年を1年にするというもので、今年の5月18日に道路交通法が改正され実現された。

「タクシー業界において今後取り組む事項11項目」について – 3ページ目 (3ページ中) – 道中の点検

2.労働力確保対策の推進

追加9項目では、

    1. 女性ドライバー・新卒を始めとした若年ドライバーの採用拡大と定着・育成を進める方策
    2. 高齢者ドライバーの活躍を推進する方策
    3. 外国人ドライバーの登用を拡大する方策の検討

という方策を定め取り組んできた(きたはずです)。

「タクシー業界において今後取り組む事項追加9項目」について – 道中の点検

それでも、運転手不足に悩まされるのは、人気がないだ。それだけの話。子どもたちの「将来なりたい職業」にタクシー運転手が入ったことがあるのか?

高齢者(に人気)の職場で、年金受給者に依存しているような低賃金の職場なのだ。

賃金だけではない、車内での長時間労働、事故のリスクがつねにつきまとう劣悪な職場環境。利用者からのハラスメント、事業者からの不当な搾取さえある。

新しい共有地のありかた

利用者が必要としていたのは、なにもタクシーという移動サービスだけではなかったはずだ。ただ、ファーストラストワンマイルやオンデマンド交通がタクシー事業の特性で、その利便性を必要としていただけだ。

そう考えると、共有地の移動をタクシーとバスに依存したのが共有地の悲劇の原因ではないのか?

連作障害のような症状、タクシー原理主義病が、共有地で起きているのではないのか?

実は、タクシー自体が移動サービスにとって邪魔者ではなかったのか?

交通死亡事故も交通渋滞も自動車がなければ起きないのではないのか?

なんて思う。

自動車を捨てよ町へ出よう

タクシーを含む自動車が共有地で邪魔になっている。

自転車危険、キックボードあぶねえ、なんてのは自動車目線なのだ。本当に危ないのは自動車のほうなのだ。そして地球環境にも自動車はあぶない。自転車安全、キックボード優しいではないのか?

現在の自動車主体の共有地の設計をあらためて、それ以外の移動ツールによる共有地を再構築を行う時期なのだ。自動車を捨てよ町へ出よう、なのだ。

名古屋市役所 タクシーが停まっています

コモンズの悲劇(コモンズのひげき、英: tragedy of the commons)とは、多数者が利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうという経済学における法則。共有地の悲劇ともいう。

コモンズの悲劇 – Wikipedia

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