自動運転で安全、タクシーも変わります

「自動運転化による安全性の担保こそ業界の喫緊の課題」タクシーも自動運転で安全になります。

自動運転とタクシー – 道中の点検

1年前に同じタイトルで自動運転のことを書いた(タイトルを書いて思い出した)。タクシー運転手の職を奪う自動車の自動運転化に賛成反対ということではなく、いずれはやってくることとしてボクたちが出来ること、出来ないことを考えたほうが良いと思う。

検索結果: 自動運転 – 道中の点検

過去にも同じようなことや違うようなことを書いている。日進月歩、日進日歩、ボクたちが想像するより速く物事は変わる。

昨年、日本交通の川鍋会長が「コロナ禍を生きる学生たちへ」というメッセージで(*1)「東京のタクシーを全自動にするのは20年は起きない。30年後も怪しい。」と言っていた。確かに「東京のタクシーを」「全自動にする」のは20年では難しいかもしれない。しかし、地方のタクシーを全自動に、とか、東京のタクシーを半自動に、というくくりにすると、そんなに怪しいことでもなさそうだ。

いずれにしても自動化は冒頭に書いたように「安全性の担保」のため、事故防止のために急がれる。

自動運転がタクシーにもたらすもの

事故防止だけではなく、

  1. 運転手の(肉体的精神的)不安の緩和
  2. 運行経路の自動化
  3. 2による運賃トラブル解消
  4. 2による経路トラブル解消
  5. 渋滞緩和
  6. 総じて生産性向上

と、良いことしか思い浮かばないんだが…。つまり、自動運転で安全な職場になる、はず。

川鍋会長のメッセージはタクシー運転手が持つ自動運転に対する警戒への含意があるようだが、経営側とすればタクシーの自動運転化は喜ばしいことなのだ。

なぜなら、

  1. 原価構成の70%を超える人件費削減
  2. 配車忌避や乗車拒否がなくなる
  3. 運行管理費削減

となるからだ。

タクシー経営は自動車整備が主な業務になります

タクシー会社経営は、原価構成に対する人件費73.1%(*2)かかっている。それが一気になくなると、それこそぼろ儲けになる。ということは、今のタクシー運賃の半額でも経営が成り立つのではないかと考えてしまう。

そのかわりに、車両費や車両整備費の構成比が多くなるにしても、現在の数%(車両償却費1.9%、車両修繕費2.4%、保険料2.8%)(*2)が数倍になる程度だろう。

経費が減るだけではなく、タクシーの自動運転化はタクシー会社の業態を違うものにする。これまでの運転手の管理、運行管理や配車は違うプレイヤーが行い、タクシー会社は自動運転化した車両の整備点検が主業務になる。整備工場に近いものになる。

自動化と無人化は違うのだ

ただ、完全自動化にはならない。アテンダントとして人が同乗するようになる。完全無人化が「30年後も怪しい」かもしれない。

今のタクシー業界は、運転手が確保できない、運転手不足、そういった状況が長く続き、解決できないでいる。

利用者も経営者も自動運転化を望む。二種免許の取得要件緩和なんてのが良い例だ。望まないのは運転手自身たちだ。廉価なタクシーが走り出す。ロボットという標準化、均一均質化されたサービス提供者が現れる。人によるサービスは負ける。セルフのガソリンスタンドのように。

本当に「20年は起きない。30年後も怪しい」のだろうか。

配車がアプリになり、遠隔点呼やIT点呼が始まった。少しずつ人の気配がしなくなっている。タクシー業界は、その周辺部から、形を変えつつある。こうしている間にもだ。

明日は明日の風は吹かないものだ

12年前(ボクが入職した年なんだが)、カーナビも装備されていなかった時代に、今日のこれまでの進化を、多くの人は「起きない」「怪しい」ではなくて、想像さえしなかった。ところがどうだ、ボクたちの目の前では、無線室はなくなり、運行管理者もいなくなる。

タクシー業界の変革は、来年は起きない、2年後は分からない。そんな世界なのだ。そしてこのコロナ禍が変革を加速している。

 

(*1)コロナ禍を生きる学生たちへ。日本交通会長・川鍋一朗のメッセージ

(*2)TAXI TODAY in Japan 2021 経営の現状「原価構成」より

森、道、市場2019 解禁しろ!- 道中の点検

家の神棚 左が砥鹿神社 右が金毘羅神社 安全を神に祈ります 自動運転と安全性

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