タクシーのキャンセルについて考えたこと
急な山路を登りながら、こう考えた。急に予定が変ることもあるだろうし、急に具合が悪くなったり、事件事故に巻き込まれたり、とかくに人の世はままならぬ・・・・・・。タクシーのキャンセルについて考えてみました。
「タクシー配車アプリ」が複数登場するなか、多重予約や無断キャンセルが増え、業界がマナー向上を呼びかけています。ドライバーが敬遠する、配車マッチング率に影響する可能性があるなど、マナーを守る乗客にも悪影響が考えられるのです。
1.キャンセル率4割
ホテルの予約キャンセル率が4割とか5割あることに驚く。とりあえず予約しとけ、ということなのだろうなあ、なんて考えている。
【調査】ホテルの予約キャンセル率が4割にまで上昇、OTAの「キャンセル無料」の影響か | ホテル・旅行クーポンメディア Airstair
どの時点でキャンセルが発生しているのか?キャンセル料の発生する日以前に集中するのだろうと思っている。例えば「7日前 宿泊料の20%」というキャンセルポリシーだとすると、宿泊前8日にその4割のうちの8割程度がキャンセルするのではないのだろうか?
そうだとすると、予約全体の8%がキャンセル料を支払っているのではないだろうか。
宿泊日8日以前のキャンセルやキャンセル料を支払ってなどの節度ある、あるいは、常識的なキャンセルなら店舗側の被害は少ないのではないだろうか?
2.悲しきタクシーのキャンセル
タクシーのキャンセルも前日や配車前なら、被害は少なくてすむ。
ただ、到着しているのに、予約時間を過ぎているのに、キャンセルする人もいる。というか簡単にキャンセルをする人が多い。
ホテルや飲食店に例えると、利用者が来店しこしらえた料理をテーブルまで運んだ時点で「キャンセルします」と言っているようなものだ。それを平気でする人もいる。
また、2社呼んでおいて、早く着いたほうに乗車する、たまたま来たタクシーに乗ってしまう、などなど、血も涙もない人もいる。
3.キャンセルが発生する理由
なぜ、そのような血も涙もないキャンセルが発生するのか?
- キャンセルポリシーがない
- したがってキャンセル料がない
- 回送車両への配車、あるいは空車率50%という高さがキャンセルによる損失を過少見積もりする傾向にある
- 歩合給での賃金なのでタクシー事業者の損失は少ないということが原因と考えられる
- 運転手もキャンセル時の配車優先権による営業損失相殺があるため声を上げなかった
- 人的配車による恣意性の利害関係
事業者側の損害が少なく、運転手側も次の利益を期待する利害関係があるので声を上げにくかったことで、問題を先送りにしてきた。組合も同じだ。
4.ピンチのところで角盈男
運転手にとっては「血も涙もない」し、キャンセルによって被る被害は無限大だ。というのは、そのキャンセルがなかったら「ロング当ててたのに」となるからだ。その日、その月の不調の原因にしてしまう。「あれさえなかったら」
いや、ロングがなくても、行って戻る、その30分間程度の時間がムダになる。
前回書いたように「ピンチのところで角盈男」だとしても、不満を抱えるようになる。
時間のムダに関しては、利用者との間にキャンセルポリシーはないのだけれど、車庫待ちなどの営業形態、配車メインの地域だと、キャンセルによる配車優先権が発生するので、車庫待ちの「待ち時間」が無くなる/少なくなるということでその時間損失が相殺される。
5.そして問題化してしまった
キャンセル問題は深刻化してゆく。そのうち経営を圧迫するものになってくる。なぜならば、それぐらい配車率が高くなっているからだ。配車アプリの普及により都市部のタクシーも地方の車庫待ち形態に近づいている。
らにはMaaSでは(その概念では)タクシーは配車されるものなのだ。配車主体の業務形態になると、配車キャンセルは今まで以上に深刻化する。例えば
- 運転手の配車忌避による利用者の利便性の毀損
- 実車率の低下
- 供給不足
- 運転手のロイヤリティやモチベーションの低下
- 無線係の萎縮によって、利用制限や配車を断るケースが増える
になる。結局、配車アプリで便利になったのに、無断キャンセルで不便になる。
6.配車アプリ(GO)のキャンセルポリシー
配車アプリ「GO」のキャンセルポリシーを概観してみる。
1. キャンセル料金の請求について
(1) 以下の場合に、キャンセル料金500円(税込)を請求致します。
(ア)タクシーの配車確定後3分以上経過後にお客様都合で配車をキャンセルする場合
(イ)タクシーが迎車場所に到着後お客様を特定できずに5分以上経過したため乗務員が配車をキャンセルする場合(2) 前項各号に定めるキャンセル料金は、以下の場合には請求致しません。
(ア)前項(ア)および(イ)における、初回キャンセルの場合
(イ)タクシーの配車確定後に提示される目安到着時間よりタクシーの到着が一定時間遅延した場合
(ウ)お客様が配車したタクシーに別のお客様が乗車された場合
(エ)当社が定めるキャンペーンカー等の配車の場合
(オ)タクシーが、お客様が指定した迎車場所から一定距離離れた場所に到着した場合
GO キャンセルポリシー │ タクシーが呼べるアプリGO 《ゴー》 │ 株式会社Mobility Technologies(MoT)
キャンセル料金が発生する(1)の場合、(ア)では、すでに運転手は指定場所へ向かっていて、(イ)では到着後5分も経過している。そしてその代金が500円だけだ。
その500円も運転手には支払われない。それも問題で、せめて500円が運転手の売上になるのならば、多少は我慢できる。
配車アプリ経由ならば、このような請求も可能だが、従来のGPS-AVMなどの電話受注の配車システムではキャンセル料金の請求も困難で、せいぜい顧客情報に「配車NG」とし、次回からの配車を制限するぐらいだ。
7.そして解決方法を考えてみた
アプリ経由ではなんとかなりそうだ。では、従来の受電方式による配車におけるキャンセル問題の解決策を考えてみた。
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- 配車主体の業態変更を行う(配車を取らないということのない仕組み)
- 運送約款にキャンセルポリシーを加える
- キャンセル時の運転手負担をなくす(キャンセル料金の売上加算)
- キャンセル料の徴収、利用者から徴収できないのならば、会社負担にする
- タクシー運賃改革を行う
- 迎車料金を距離に応じたスリット制にする
- キャンセル料の明確化(スリット料金+迎車料金+初乗運賃など)
1はどういうことかというと、タクシーは乗場か呼んで乗るものにする。なぜなら
- 迎車料金の発生率を高める
- キャンセル時のキャンセル料金の徴収と利用制限によりキャンセルを抑制する
- 行き先の確定(事前確定運賃)で、配車効率実車率の向上=生産性の向上
などで対応をしてゆくのはどうだろうか?
配車アプリの普及と一般化が進んでいるのに、旧態依然とした業務形態と経営者の思考回路・・・。
キャンセル料を利用者からもらうことができないのなら、事業者負担にすれば良いだけの話。お迎え料+初乗り運賃を支払えばいいだけの話なんだが・・・・・・。
早い話が少しは考えろ、ってことなんだが。で、まあ、これも歩合給じゃななければ、運転手負担にはならない。高い(高そうな)賃金と自由度の高い(高そうな)業態、歩合給は良さそうで、弊害だらけなんだが、どうしても離れられない。
そしてキャンセル問題も、歩合給という制度が問題を希釈していただけなんだけれど。