遍路旅の準備(1)

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思い立って一週間が過ぎた。

その間ほぼ毎日歩いている。短い日は1時間、長い日は3時間約15キロほど歩いている。荷物を背負ってないので足への負担は少ないのだろう、豆も出来てな いしそれほどの痛みもない。ただふくらはぎの前の筋肉(前脛骨筋(ぜんけいこつきん)というそうだ)が初日、歩き始めてすぐ痛みを感じて、それが続いてい る。歩き方が悪いのだろうか。

八十三番札所一宮寺 香炉

歩く、という行為が難しい。

歩き方を考えていると、ぎこちなくなるし動けなくなる。

少し山歩きをしていたので歩くことには慣れていたはずなのだけれど、山道、登りと下りや起伏のある土の道とは違って、アスファルトの上は単調で、その単調 さが歩き方の癖なんかをピンポイントで狙う。前脛骨筋の痛みも、きっとそういった癖か、あるいは微妙な要因、例えば靴ヒモの結び方や締め方の調整が間違っ ていたりするのだろうと思っている。

3日間は今まで履いていた軽登山靴で歩いたのだけれど、どうもアスファルトの上には合わないように感じたし、ソールの接着部分が経年劣化なのだろうはがれ始めていたので、新しいものを買った。それで少し楽になった。歩くことに慣れたのかもしれないけれど。

道具については出発前に少し書いておこうと思う。

歩き遍路なので軽くしたいし小さくしたい。それには山道具を使うことだと思う。幸い少しは持っていたのでそのまま遍路旅に使おうと思う。最近の(いや以前 から)登山はlight and first というのが基本にあると感じる。

荷物をグラム単位で計る。もちろん減量化のためだ。例えば歯ブラシの柄までも短くする。わずか数グラム軽くするために。ま た山用品のカタログ(道具でも服でも)には重さが明記してある。軽量化と高性能ということを両立させるために、メーカーの努力は並々ならないものがあると 想像する。

その努力や開発費用に対しての価格を支払っている、という感覚がボクにはあって、それが企業に対する期待値だと考えている。株式というのも、ほ んとうはそういうものなのだろうけれど・・・。

驚くほどの軽量化された道具もある。例えばテントは1キロちょっと、シュラフは軽さもだけれど、3リットルぐらいに収納できるオールシーズン用のもある。

この冬のパタゴニアのカタログには防寒着、シェルを入れて衣類の重量が2353グラムという軽量化さてたものが「山のユニフォーム」として紹介されている。着てしまえば、荷物になるのは1キロも満たない重量だろう。

軽さを買う、というのが山用品の世界のようでもある。

グラム数が減ると値段が高くなる。普通の売買とは逆なのだ。限りなく0になればなるほど高価になる。 それでも比例しないものもあるし、逆に軽いのが悪いものもあって、そういった四国遍路のガイドブックを読むと「とにかく軽く」なんて書いているのだけれ ど、例えばザックは、あまり軽すぎるとぎゃくに肩や腰に負担がかかるし、それなりに重量があるものでも背負いやすいものは荷物の重さを感じさせないものも ある。そのあたりは背負ってみてしっくり来る方が良いと思うのだけれど・・・。

それでも、そうやって考えていると、結局は何ももたないことが最軽量化なのだと思う。何も持たないで1200キロを歩くことが出来るのだろうかと、考える。そこから増やす。減らすというよりも、0から始めるほうがいいのかもしれない・・・。

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