「夢持っていたが」契約解除のトヨタ派遣社員、語る -asahi.com（朝日新聞社）
　非正規労働者の雇い止めの問題を受けて、福岡県内の超党派の市町村議員らで作る「地方議員交流会」の緊急集会が１７日、宮若市であり、市内のトヨタ自動車九州の工場で働き、契約を解除された派遣従業員が現状を語った。
　「頑張ればトヨタの正社員になれると思って、夢を持っていた」という男性（２４）は、０６年から部品の組み立てをする派遣社員として勤務。

この記事について、『「期間工-社員」はあるけれど「派遣-社員」はないのでは』ということを聞かれたのだけれど、トヨタ九州では期間従業員という直接雇用をしていなくて、派遣社員から社員登用していたので、トヨタ自動車本体とは事情が違っています。前に書いたかな。↓

トヨタ自動車九州からの応援者の問題なのだ
トヨタ自動車九州は期間従業員の募集はなくて、派遣社員で雇用調整をしているようです。ですから社員登用も派遣社員からで、派遣会社の応募要項にも「1年間トヨタ自動車での研修後、社員への登用あり」なんてことを書いています。派遣社員としての募集年齢も35歳ぐらいまでと、トヨタ本体と違って若い人だけを採用しているようです。
この2週間に応援にきたトヨタ九州の人たちを見ていても、20代前半の人が多いように思います。きっと、初めて九州から出る人もいたりして、故郷を遠く離れた田原の地で、寂しい気持ちでいっぱいだったり…。

と、理由は分からないのですけれど、本体と違って直接雇用をしなくて派遣社員、そしてそこからの社員採用を行っていました。
またちょうど一年前には新しいラインも新設して増員を行いましたし、予定では今年度からのフル生産に移行することになっていましたから、多くの派遣社員は社員に登用される期待もしたのでしょう。そして求人の方法がいかにも登用を前提としたような書き方でしたので、トヨタ自動車九州の派遣社員については、きっと「詐欺にあったような」感じもしていると思います。確かに登用を前提としていない派遣採用もありましたが、恐らく今回の場合は「あり」という広告だったのでしょう。

トヨタ九州　５００人雇用へ
asahi.com：トヨタ九州、エンジン生産能力を増強　５００人雇用へ
「　トヨタ自動車九州（福岡県宮若市）は３０日、エンジンを生産する苅田工場（同県苅田町）に第２ラインを新設して生産能力を倍増すると正式発表した。同工場の従業員は現在約７００人で、新たに約５００人を雇用する計画だ。
　新ラインは０８年春に生産を始め、１～２年でフル生産に移行する。生産能力は現在のラインと同じ年間２２万基で、投資額は約２５０億円。宮若市の宮田工場で生産しているハリアーやレクサスのＥＳなどに搭載する３．５リットルエンジンを生産する。」

ボクの知り合いも「トヨタの社員になる」ということを考えて、派遣会社の募集説明会に行きましたし、その時の話では「半年から1年、豊田市か田原市で働いてもらうけれど」なんてことだったようです。そのことをトヨタ自動車九州の人事部が認識していたとしたら、問題ではないでしょうか。確かに派遣会社との雇用契約なので、今回の派遣切りのように「関係無い」と言えばそれまでなのでしょうが。
こういった不透明な雇用の仕方を大企業が黙認している自体、問題であったのに、そこを何も考えずに、「誘致誘致」「雇用拡大だ」と騒いだ地元自治体にも責任の一端があるのは当たり前のように思います。自治体、企業とも若者を食い物にした、ってことです。
この記事に出ている青年のように裏切られたとしても、前向きに考えていることは、とても立派だと思います。一部「甘すぎる」なんて意見もあるようですが、トヨタ自動車九州の派遣社員の場合は、そんなことはないということです。
おそらく議員たちもそういう事実を知っているから問題にしているのでしょうね。
＃16時45分、一部加筆・訂正しました。