期間従業員の300円賃上げについて

「トヨタ労組、非正規も賃上げ要求」

昨年は日給200円、今年は300円を要求しているそうだ。300円というと月額にして6000円、トヨタ労組が正規社員に対して要求している6000円のベアと同額になる計算だ。
それは良いことなのだろうか?

結局、正規社員も6000円上昇してるので、格差は相変わらず縮小しないままでいる。いや正規社員の一時金の分を考えると同程度では格差は広がるということなのだ。確かに他の企業よりは高水準だったり、業界をリードするということでは意味深い行動ではあるが、この国の抱えている労働問題、特に非正規の問題は相変わらず先送りにされてしまっている。

何度もここで書いてきたのだけれど、非正規雇用と言うのを廃止しろ、というのではなくて、期間従業員という常用従業員を正規従業員のために低賃金で調整弁として利用しているということが問題なのだ。要するにこの国の若者を、同じ国民である「正規雇用」という人たちのために「非人」化しているということが問題なのだ。格差ではなくて差別ということをまだ理解してないのが、トヨタ労組をはじめとする多くの労働組合なのだ。

労働組合というのが正規社員のためにある、としても、このままではこの国は衰退の一途をたどる。その原因をみんな知っているはずなのに、それでもカイゼンどころか目先の利己のために、目先のニンジンのために、思考停止している。

確かに労働組合に公益なんてことを考えろというのは無理があるとしても、国家の成長と企業の成長は切り離すことができない、ということは経済なんてものを学んでいなくても分かることなのだ。トヨタの社訓「産業報国」とは、企業と国家の関わりあい、企業と国民の関わりあいの重要性を説いたものだ。

正規社員として働きたいと考えている非正規労働者をそのまま長期間にわたって放置すること自体人権問題なのだろうし、非正規労働者を自己利益のために見捨てることになんら罪悪感もないとしたら、それは労働組合というよりも、カルト集団と呼ぶのが相応しいと思う。

トヨタ2年連続国内生産減少
NHKニュース(1月28日)

トヨタのベアと増税後の期間従業員の採用予定を考えてみた | 道中の点検

それでもこれを読んでいる多くの期間工諸君には感謝感激の出来事で「さすがトヨタ労組」なんて泣いているヤツも多いのだろうね。マスコミもそうだけれど、誤魔化されるなってことだ。「特別手当10万円」につられ「日給200円アップ」につられ、おまけに「登用制度あり」につられるんだから、まあ、おまえらはやっぱり愚か者ってことだ。ボクには「期間従業員募集」が「愚か者募集」に見えるけれど、ホイホイとそんな甘言に釣られてはダメなんだよ、ってことで、今年も去年並みに愚か者、もとい、期間従業員の募集はあると思うよ。

いすゞ自動車の臨時従業員 | 道中の点検

トヨタがこの春、期間従業員の日給を200円上げたとしても、非正規という被差別集団にこの国の若者を追いやりそこから抜け出せなくする罠を拡げたぐらいにしか見えない。被差別期間は長くなり、もう固定化するに至ってはシアワセなんて人としての権利さえも奪われてしまっている。非婚率は上昇するばかりで、孤立化する社会では、犯罪は狂暴化する。

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