トヨタのベアと増税後の期間従業員の採用予定を考えてみた

期間従業員の日給が200円アップするらしい。これは月額にすると4000円で、労組が春闘で提示していた正規社員の満額回答4000円と同じ数字だ。アイシン、トヨタ織機などの系列企業の非正規社員についても日給、時給が上がると思う。きっとみんな喜んでいるのだろう。ほんとうにそれで良いのか?
トヨタ自動車の2014年度新規採用計画が発表されて、13年度(1352人)とほぼ同数の1350人だそうだ。2年連続世界一になって来年度も世界1043万台を計画しているとはいえそれは世界でのこと、国内の生産台数は4月以降減少するだろうからこの数字になったのだろう。4月以降の生産計画も発表されていて1日あたり12000台、昨年より1000台ほど少ない。今現在(14000台)よりも2000台も生産台数が減少する。
リーマンショック後の09年度以降と同じ1200~1300人台が今後も続くのだろう。だって今後国内販売数が劇的に増えるなんてことも考えられrないし、生産拠点はグローバル化しているわけだし。ベアがあったのも増税景気での増産ということだけで、今後またなにか国家による増税とか減税なんてものがない限り劇的にクルマの販売数が増えるなんてことはないのだから、増税ベアと言ってもいいと思う。
ということは期間従業員からの登用数も例年並みで、募集人員はその差分、12/14、15%ほど減少するのだろ、と単純に計算されるものではないとしても、また期間従業員の募集が恒常化される。ボクが初めてトヨタの街に来たときのように、アルバイト情報誌の背表紙一面に「募集」の文字が躍る。それは決して良いことではなくて健全な姿ではないとしても、需要はあり、この国の雇用問題にはじき出された人びとにとっても必要不可欠な藁となっている。それがたとえ中毒性のある阿片だとしても、この国の経済というヒエラルキーのもとでは、底辺は、その巣窟にすむ住人は不可欠なのだ。阿片窟の住人の低賃金によって、その格差によってこの国の繁栄は約束されている。トヨタの利益も生じるし、経営の安定も約束される。国民の三分の一が「非」なんて国は、それおどあるものではない。
ボクたちタクシー業界にとっても、その阿片窟の住人は、豊橋に飲みに来ては帰りにタクシーを使い、遅刻するからと言っては通勤にタクシーを使うのありがたい存在なのだ。期間工に来るぐらいの愚か者なので経済感覚なんてものもどこかブチ切れていて、その200円アップの効果というものは恐らく2000円分ぐらいはある。9000円×3%=270円なんて計算も出来ないのだからおめでたい。で、結局、期間工スパイラルに陥ってしまう。期間工スパイラルなんて言うとカッコ良いけれど、要するに格差の固定化だ。貧困の連鎖だ。国も衰退する。
結局200円アップなんてトヨタが「どうよ」なんて顔をしても、それは消費増税分にも満たないということなのだ。おまけに愚かしいので200円以上の消費を増やす。国家にとってこれほどありがたい人たちはいない。まあ、そういう人たちを製造しているのも自動車ラインなのだけれど。
まあそれでも一日200円、時給にして30円弱も昇給したのだからおめでたい。というか、その額って、758円から780円に改正された愛知県の最低賃金アップ分と同じぐらいなのだから、まあ、それぐらいは普通は上がるはなあ、なんて額なんだから、あまりありがたくもないということが分かる。
それでもこれを読んでいる多くの期間工諸君には感謝感激の出来事で「さすがトヨタ労組」なんて泣いているヤツも多いのだろうね。マスコミもそうだけれど、誤魔化されるなってことだ。「特別手当10万円」につられ「日給200円アップ」につられ、おまけに「登用制度あり」につられるんだから、まあ、おまえらはやっぱり愚か者ってことだ。ボクには「期間従業員募集」が「愚か者募集」に見えるけれど、ホイホイとそんな甘言に釣られてはダメなんだよ、ってことで、今年も去年並みに愚か者、もとい、期間従業員の募集はあると思うよ。
トヨタ自動車 生産計画
春闘 トヨタ、ベア2700円で決着 ダイハツとスズキは見送る方向
トヨタ、14年度の新規採用1350人 13年度比横ばい、技術職中心  :日本経済新聞
愛知県の最低賃金が改正されました – 設楽町ホームページ

1件のコメント

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    愚か者ホイホイというより行き場の無い人のブラックホールのように感じます。愚かな私も「非」から出られないです。

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