タクシー物語(2013年)

その日暗し

その日暗し

2013年10月13日
あれから11か月が過ぎたんだね。 こうして眠れない夜の発狂しそうになりそうなる闇の中で、時間にしがみついている写真を探し出している。 あの杉並木、ポツリポツリと点在する記憶、ボクたちの間に吹いていた風の音や転びそうになっ[…]
Feel so good

Feel so good

2013年10月8日
夕方19時過ぎのスーパーマーケットはその日最後の混雑をむかえる。客層は16時あたりのそれとは違って、まだ塗の施されていない木地のように刹那的な光りを帯びて並んでいた。船ならばすでに傾いて沈没していると思えるほど、人々は同[…]
藍と美香

藍と美香

2013年10月6日
宮里美香は泣かない女だと思っていた。時代が彼女のイメージをそうさせたのかもしれない。 14番のラフは彼女の足に絡みついていた。それはまるで彼女とゴルフの関係のようでもあった。もがけばさらに足だけではなくて彼女の身体全体へ[…]
秋刀魚の味

秋刀魚の味

2013年10月2日
ヨクがなくなってしまっている。 食欲なんていうあのヨクだ。 食欲なんてのはなくても、それはそれで経済的にけっこうなことだし、健康にも良いことなんだろうと思う。人との出会いなんてこと、なんていうヨクなのかは分からないけれど[…]
「愛のりくん」で考えたこと(1)

「愛のりくん」で考えたこと(1)

2013年9月30日
いったいボクたちは愛し合うことができて、「愛」という箱舟に乗ることができるのだろうか? 「愛のりくん」とは明日10月1日から始まる、豊橋市南部地区(細谷・小沢・高豊校区)におけるデマンド型タクシーの愛称である。デマンド型[…]
死にたいぐらいの夕暮れ

死にたいぐらいの夕暮れ

2013年9月24日
もうすぐ10月だね。 飛び降りても死ねない高さの安アパートの2階でボンヤリと窓の外を見ている楔を打ち込まれた時間。ため息で窒息しそうになる繋がれた空間。空には昼間の哀しみをたっぷりと吸った雲。殺気立ったタクシーは通行人に[…]
目黒のさんま

目黒のさんま

2013年9月23日
子供の頃、食卓に秋刀魚が上ることはなかった。秋刀魚がなくとも海辺の街の市場にはそこで捕れた魚が溢れていたし、朝食に刺身なんてこともよくあることだった。 はじめて秋刀魚を食べたのは、たぶん、ずいぶんと大きくなってからだと思[…]