別れの金曜日(2)

ボクの初めてのトヨタでの満了も金曜日でした。今でも憶えています。高岡工場の正門バス停、雨。田中地区行きのバス。田中和風寮に着いたボクは、風呂に入って、部屋の掃除をして、荷物を寮事務所に持って行き、そして時間は19時前でした。雨は降り続いていました。ボクは歩いて土橋駅まで行きました。暮れ行く街、ヘッドライト照らす雨の糸…。
とにかく一日も、いえ、1時間1分も早くトヨタから逃げ出したかった、あの金曜日。ボクにとっては嫌な嫌な日々でした。TさんやNさんが満了することなく退社した日々。猛暑の夏…。別れの日の雨は、歌のように思い出を洗い流すことなく、それどころか、思い出を更に印象深くしてしまったようです。その嫌な思い出を消し去るには、もう一度トヨタの日々を過して、上書きしてしまうことしか方法がないと思ったのかもしれません。
金曜日。そして満了日。今日も多くの期間従業員たちがそれぞれの思いを胸に満了していったのでしょうね。楽しかったり、寂しかったり、辛かったり、悲しかったり、虚しかったり、切なかったり、悔しかったり、情けなかったり……、人のもつありとあらゆる感情が思い出と一緒に織り込まれているのでしょうね。
「もう来るもんか」なんて思っていても、また来ることがあるかもしれません。ボクのように。でも、ほとんどの人にとっては、最後のトヨタなのでしょうね。一期一会。もう逢うこともないのでしょうね。というか、あなたもボクも、誰だか分からない出会いだったので、それはなんというか、とても切ない感じもしています。
またどこかで会えるといいですね。そのどこかは、ボクがボクらしく、そしてあなたがあなたらしく振舞える場所であると良いのだけれど…。じゃあ、さよならだ。

別れの金曜日
あまりにもあっけない幕切れ、従業員証と保険証を返し、少しの挨拶、「別れ」というセンチメンタルな感情は、多くの「週末」という喜びの感情に打ち消され、別れという有史以来もっとも悲しむべきだろう行為は、朝起きたら顔を洗うというほどの行為と同程度に扱われることに多くの期間従業員は戸惑うのでしょうね。
そしてやはりいつもと同じバスに乗り込み、何事もなかったようなかったようにバスから降りる。それが最後の日ということを知っている人はいない。そして時間が過ぎると自分のいたという形跡までもが無くなってしまうのでしょう。

7件のコメント

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    >エルフさんへ
    そうですか。そういう再会というのも、また良いもんですよね。ま、今は携帯やメールで満了後も連絡を取ったりするのでしょうが。
    やはり嫌な思い出や出会いよりも、良い思い出なんかのほうが楽しいでしょうからね。
    それぞれの出会いがあって、きっとその出会いや思い出を、みんな、人生の何かに変換して生きていくのだろうと思っています。そういう意味では、半年間というのも、無駄ではない時間なのかもしれませんね。
    >衣浦ノ助さんへ
    どうもありがとうございます。
    なんていうか、読んでくださる人が多くなると、比例して反論ってのもあったり、面白くない人も出てくるのでしょうが、ひとつの意見として…なんて自分に甘えていたりもするのですよ。
    GWは普通電車に乗り継いで…。往復しました。九州新幹線が開通すると、も少し便利になるかな。名古屋から直行便で帰れる日もあと少しですね。でも、やっぱり博多乗換えかなあ。
    >北斗星さんへ
    お疲れ様でした。
    そうですね、就職活動次第では、ってことで、最赴任もあるだろうし…ボクもそうでしたが。
    寮、生活環境ってのは、大切ですよね。ボクも初回の田中和風寮の時は、うんざりでした。帰って来て落ち着かないから、休みの日も出かけたり。
    募集年齢は、そうそう、49歳までになっていますよ。えっと、北斗星さんが赴任してすぐぐらいだったのかなあ?
    落ち着いたら、富士見寮のことを書いてください。
    今、長野なんですね。まだ寒いかな。でも、ちょうど旅行には良いシーズンで、ボチボチ帰郷する旅ってのも、やはり満了後の楽しみですよね。また旅先ででもコメントして下さい。

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    昨日の2直明けでそのまま渥美線の始発に乗り、富士見を後にしました。
    最後の勤務は…キツかったですね。ラインをカラにするために他より残業長かったし、実習生に教えながらだったので。
    でも、自分の組だけでなく反対直の人たちにもひととおり挨拶できたし、最後の1台を仕上げた時は小さくガッツポーズしましたよ(笑)
    とりあえず半年無事に勤めあげましたが、それほどの充実感も寂しさもなく、満了した瞬間に失業者になってしまった現実は認識していても、しばらくは満了金と失業保険(自分は出稼ぎ手帳を持ってるので、一時金を申請するつもりですが)で食いつなげる余裕があるから焦りもなく…
    次にまたトヨタに来るかどうか。来なくてもすむようにがんばろうとは思ってますが、ダメだったらいつでも逃げこめる安心感はありますね。
    今はただ、疲れたなぁと。それしか考えられないですね。仕事の疲れ以上に寮生活の疲れが大きいです。とりあえずは一人でぐっすり寝たい。
    昨日は高山に来ましたが、観光どころではなく死んでました。
    これから少し旅をして、今週中に帰郷します。半年留守にしているので帰郷したらけっこう雑用で忙しいでしょうから、ちょっとだけ骨休めです。期間中はあまり遠出もできなかったし。
    トヨタに来るにあたって、こちらの情報は大変役に立ちましたし、管理人さんのコメントにもずいぶん励まされました。ありがとうございました。
    落ち着いたら、富士見関係の情報を整理して書き込みたいと思っています。
    当分期間従業員の富士見入寮はなさそうですが、実習生や派遣の人たちで運悪く、いや運良くここを見る人がいたら少しは役に立つように、などと考えてます。
    トヨタの期間従業員募集記事見ましたが、未経験者は44才から49才まで年齢が引き上げられましたね。
    現場ではオッサンはいらん!という意向が強いものの、まともな若者は集まらないんでしょうね。
    これから信州へ向かいます。

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    管理人さんコメントありがとうございます。
    管理人さんの言う(書く)事は、目を背けてはならない事としていつも読ませていただいています。その中で、トヨタ社会をいろんな目線で見ている管理人さんが、例え御本人が失礼と感じていても、こうして記事にして教えて下さる事はとても勉強になります。
    共に、管理人さんのプライベートな記事も大変楽しみに拝見しております。
    G/Wは帰られたのですね。僕も実家の鹿児島に帰りました。

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    お疲れさまです。
    今回もいいお話ですね。
    自分も共感出来ます。 期間工は3社経験しましたが、満了の日は3社とも鮮明に覚えています。何か特別な感じがしますよね。
    ほとんどは一期一会ですよねぇ。しかしそれを打ち砕こうと思い、なんと!来週末、田原工場の友達のお別れ会に飛び入り参加してきます!!久々に行くからワクワクしています。
    これで「また会いましょう」が実現されますvここで会わなかったら悔いが残りますからねぇ…
    久々の東京IC~豊川ICの旅です

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    >衣浦ノ助さんへ
    こんばんは、お久しぶりです。
    なんだか懐かしいですね。
    もう見捨てられたのかと思っていましたよ。
    見捨てられる、というか、ま、勢いで書いてしまうこともあって、知らず知らずに失礼なことも、書いているのかもしれないと、思ったり…。特に社員の方には…。
    結婚、そのほうが、入社よりも大切なことかもしれませんね。それに入社よりも難しいことなのかもしれないと思っているのです。
    >muko47さんへ
    えっと、ボクの返事は記事として書いてみました。
    規制緩和の悪影響ってのが、いまの運送業界に出ているのだろうと思っています。
    事故が多いのも、やはり過労が原因なのかもしれないですね。

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    本当。満了の迎え方は人其々なんでしょうね。私としては満了してトヨタを離れる人が、先に不安を抱えた門出で有ろうと無かろうと羨ましくて仕方なく感じます。それが若い方なら尚更です。
    私のトヨタ期間従業員として働く日々は目先だけに捕われたものに過ぎません。大概の人は そうなんでしょう。ですが同じ職場で同じ作業をしていても、個々の時間の重みは年齢や立場によって大分違ってます。私たち40代50代の様に選択の余地なく期間従業員する人、以前の勤め先を仕方なく離職し、繋ぎで期間従業員する人なら兎も角、自分が何をしたいのか、適職が何なのか分からないまま目的もなく期間従業員する20代の人達には時間をもっと大事に使って欲しいと考えます。他人事、大きなお世話と謂われれば其までなんですが。最近、可能性のある若い人を観ると生唾が出るほど羨ましいんです。
    トヨタでの経験は目的がある人以外にとっては〈停滞〉にしか過ぎない様に私には感じます。トヨタには沢山の長所が有ることは認めます。ですが世界一のトヨタだから通用している非常識も目につくのです。人生経験の少ない若い人達が、単純にトヨタの社員と比較して期間従業員の境遇を嘆くのも考え物ですよね!
    管理人さんは どう思いますか?
    昨日、1直の時と2直の時両方で見掛けるメーカーのドライバーさんが居たので、“何時間働いてるの?”と訊いたら“19時間”だって。因みに“家で 2時間寝れる”って云ってました。
    これ、ホントの話し。

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    おひさしぶりです。
    今日は、期間従業員で共に働き試験にトライして入社出来なかった友達の結婚式。めでたい日です。
    何となく書いてみたり…
    披露宴いってきます。

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