タクシー酔客の対応についての一考察

先日、愛知県警が名古屋市のタクシー協会に、「(お酒を飲んでタクシーに乗り寝込んでしまった酔客は)まずは自助努力で起こして」と申し入れをしたことが、朝日新聞のデジタル版に出ていた。

タクシー酔客「自分で起こして」警察要請に運転手の悩み 朝日新聞記事

タクシー酔客「自分で起こして」警察要請に運転手の悩み

 

お酒を飲んでタクシーに乗り寝込んでしまう。こうした酔客への対応について、愛知県警が県や名古屋市のタクシー協会に「まずは自助努力で起こして」と申し入れをした。

タクシー酔客「自分で起こして」警察要請に運転手の悩み:朝日新聞デジタル

酔って寝る人たち

タクシーは寝る場所ではないので、酔客が悪い。悪いのだけれど、この時期、いや一年中こうしたお客様はいる。いるのだから、その対策と対応を考えなければならない。ということで、対応と対策を含めた私見を述べたい。

まず「車内で寝たお客様を起こすのに警察官を呼んでいいのか」ということなんだが、ボクはそのことについて懐疑的だ。いったいどういった理由で警察案件になるんだろうと思っている。

傷害事件とか窃盗事件、交通事故とかが起きたのなら110番する。緊急性がないものについては、警察署に電話する。「タクシーの中で寝た客を起こす」ためだけに、と考えると、やはりまずは「起きてもらうよう努めなければならない」が正しいように思う。

愛知県警の申し入れ

今回の愛知県警の申し入れも「まずは自助努力で起こして」なのだ。そして「起きない場合、運転手が同僚を呼んだり、営業所に戻ったりするなど、タクシー会社で対応するよう協会側に申し入れした」のだ。

普通のこと、正論ではないのか?

今回の問題は警察官を呼ぶ、という行為よりも、寝込んでしまった乗客への対応に問題がある。安易に警察官に出動要請をすることに問題があるように思う。

「昨年12月に寄せられたタクシーの寝込み客に関する通報は146件。全件で警察官が出動し、客を目覚めさせる手伝いし」そのことで「パトロールや事件の初動対応の妨げ」になった。だから、今回の申し入れになった、ということなのだ。

タクシー酔客への対応

では、タクシーで寝込んでしまった酔客のためにボクたちはどういった「自助努力」をしなければならないのだろうか。

ドアや天井を叩いて起こす方法のほかに、夏は暖房、冬は冷房を効かせて起こす、なんてことも先輩運転手に教えてもらったこともある・・・・・・。また、引きずりおろすなんて武勇伝を聞かされることもある。そうして今もそういった方法で起こす運転手もいる。中には「触ったらダメなんでトランクに棒を積んでいる」という人もいる。その棒の使用目的は不明だが・・・・・・。

いや、その前に、目的地をピンポイントで聞くということも必要だろう。家に着けば家族の方が対応してくれる場合もある。

そして、どうしても起きない場合は、タクシー会社が対応することも考えなければならない。いや、そうしてくれと求められているのだから、近くのタクシーが応援に行く、営業所や警察署や交番へ回送するなどの方法を考えなければならない。

警察官を呼ぶのではなく、警察署や交番へ行き「触ってはいけない」とされる危険性を排除し、自分達で起きてもらうことのほうが良いと思う。待つよりも行くほうが早く終わる場合もある。営業所への回送や同僚の応援も同じことだ。

業界全体での対応を

以上、タクシーに乗り寝込んだ酔客に対しては、(1)起こしてみる(2)応援を頼む、警察署か交番に行く、という方法、そのマニュアルをタクシー協会で作成し各社統一して対応するようにしたほうが良い。

運送約款の改定も必要かもしれない。「お客様が車内で寝込んだ場合は、乗務員が起こす場合があります。また、起きない場合は最寄りの警察署や交番に行く場合がありますが、その場合の運賃、待ち料金はお客様負担になります」とかの…。

この年末、コロナ禍で日本中どの都市もお客様が激減している。昨年の出動回数146件は上回らないと思う。愛知県警もこのコロナ禍で「あまり飲むなよ」とけん制しているのかもしれないし、警察官のコロナ対策なのかもしれない。

12月11日、ボーナスが出た週末金曜日、暇だ。

酔客と睡客

「触ってはいけない」「触るとトラブルになる」という意見も多い。しかし、ドラレコも付いていることだし、会社も庇ってくれるだろうし、なによりも愛知県警が自助努力を促しているんだから、「揺すってみました」で良いんじゃないかと、個人的には思っているし、警察署によっては「揺すらないと起きないでしょ」という見解のところもあるので、棒を使わなくても揺することは良いと個人的には思っている。

だって寝込んで迷惑かけているんだし…。
ボク?ボクは、だって迷惑かけられているんだもん、引き……以下自粛。

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