雲助

今日、東海道で駕籠を担いでいると思うと、次の日は鈴鹿峠で荷持ちをしている、またあくる日は大井川で川越人足をやっているというもんで、風のまにまに流れる雲のようやということから雲助、また、街道筋で網を張って客を待っているというところから蜘蛛助

と「雲助」のことを、吉朝師匠は「住吉駕籠」のマクラで説明しています。

雲助、蜘蛛助、運転の助

江戸時代においては駕籠かきを、そして現代においてはタクシー運転手を雲助と言うようです。現在では悪質な運転手に対して「雲助」と呼んでいます。

しかし最近ではGPSで監視されていますので、不審な動きをすればすぐにセンターから「615号車、何かありましたか?」なんて問い合わせがくるだろうし、お客様も携帯電話なんてものですぐにタクシー会社にクレームを入れたり、警察に被害届を出せるので、悪質なことも出来にくい(というのもなんですが)仕組みになっています。

まあそれでも、女性客にいたずらした、なんて事件があります。未だにそんな雲助ドライバーもいるようですけれど、最近ではタクシー強盗なんて被害者になる雲助、もとい、運転手のほうが多いようですけれど。

ねこタクシー

クラウンさんのコメント…

タクシーは酒を飲みに行った時使いますが嫌な感じの運転手がなぜかあたります。変に媚びて話すパターンか高圧的に悪ぶり客を威圧するパターンです

運転手には、まあ、細分化すればキリがないのですが二通りの人がいると思います。

『「人付き合いが苦手」そのせいか営業収入も最下位の間瀬垣勤40歳、そして成績トップの沼尻崇、ドラマの中だけではなくて、どこのタクシー会社にもいるパターンだと思う。もちろんボクが勤める会社にも間瀬垣も沼尻もいる。収入差は3倍』

ねこタクシードラマ「ねこタクシー」を観てタクシー運転手になった人もいると思う。きっと。 デニーロの「タクシードライバー」を観て、という人はあまりいないにしても。 日本一人付き合いが苦手な…
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ねこタクシー

なんて、映画「ねこタクシー」の中にもその二通りのパターンを抽出して描写していました。

媚びるドライバー

クラウンさんのおっしゃる「変に媚び」るという運転手が間瀬垣、そして「高圧的に悪ぶり」という運転手が沼尻です。「変に媚び」るのは、多くは新人さんで、道を知らないので、例えば鰻のさばき方も知らない素人が鰻屋をするようなもんで、素人鰻で代金をいただくのですから、そりゃもうなんとか「媚びてでも」その場を終わらせなければならない、なんて人間の防衛本能みたいなもんでしょう。

高圧的なドライバー

逆に、この道何十年、味に自信のある鰻屋だと、食べ方、どころか、箸の持ち方までいちいち命令して、味に注文なんてつけようもんなら「二度と来るな」なんて、お客様をたたき出す、なんてとても高い自負による人間の攻撃本能みたいなもんでしょうし。

タクシー運転手だけではなくて、どこの世界にもあることなんでしょうね。特に職人の世界にはありがちなことなのかもしれませんね。

お客さん、詳しいですね

まあ、タクシー運転手の悲劇的なところは、職人なのですが、お客さんのほうが詳しい場合が多いということです。

だって、そうでしょ、この世の中のすべての道路のことを知るなんてことは難しい。そして地元の道路についてはお客様のほうが詳しいでしょうし。さらに、道ってのは日々変化しているのだから。職人なのですが、お客様に聞かなければならないことの方が多いのです。(「経路」については聞くことになっています。お客様の希望や指示を優先します)

利用者の変化

「タクシー乗り方を知らない人が増えた」とベテランの運転手は言います。だいたいタクシーなんてのは贅沢品なのだから、ケチケチしないで酒手(チップ)なんてのを出すのが当たり前の関係だったのですが、今はなにか一般化されてしまって(それはいいのですが)、酒手なんてものを出す人も少なくなって(たぶん旅館の仲居さんに対してもそうでしょうけれど)ワンメーターについてとても厳しく言われるお客様が増えてしまって、運転手も荒んでしまっているのかもしれませんね。

だから、ベテランの運転手は「高圧的」になるのでしょう。そして、新人さんは「変に媚び」るのかもしれないと思っています。交通機関は街のインフラです。その街の人が育ててくれなければ、なんてボクは思っています。それを言うと、運転手の甘えなんだろうなあ、とも思っています。

というか、タクシー運転手を見れば、その街の文化程度が分かる。そうボクは思っているのですが、そのことについてはまた日を改めて…。

雲助問題

まあ、職人運転手が減った、あるいは育たない、ということが「嫌な感じの運転手がなぜかあたります」という最大の理由なのでしょうけれど…。

それでも、「お前ら、今でこそ運転手と呼ばれとるが、昔で言えば駕籠かき雲助やないか。」(横山やすしさんの発言 1)とか、「一般論でいえばタクシー乗務員の中には雲助(蜘蛛助)まがいの者や賭事等で借財を抱えた者がまま見受けられること」(京都地判平成11年10月18日同地裁平成11年ワ第602号損害賠償請求事件 2)なんて思われていることにも関係があるかもしれませんね。差別とか蔑視なんて言わないですけれど…。

千客万来 運を転がす、運助?雲助?

雲助(くもすけ)とは? 意味や使い方 – コトバンク

  1. 横山やすし「雲助」事件とは何? わかりやすく解説
  2. 京都地裁「雲助」表現問題とは何? わかりやすく解説

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