夜の底
木犀の香りと猫の鳴き声が溶け合って路地を転がっている夜の底にいた。昨夜の話だ。少し古い想い出、もうこの頃では過去を更新するような新しい想い出もデキナイほど、ボクはすっかりと孤独と仲良しになってしまっているのだけれど、その少し古い想い出を、ところどころ欠けているので、なにか受験勉強の時のように、少し焦って、そして、少し必死になって思い出していた。「ああ、また過去が張り付いてしまったなあ」なんて考えていた。それも強力に、そして現在という色を少し加えて。
想い出なんてものは、そうやって脚色されてゆく。ということは、あくまでも主観的な事象なのだろう。
猫は、たぶん、この甘い香りに発情している。この香りがスイッチとなるのかもしれないと、そう思っていた。想い出がそうさせている。
ボクとキミの秋はといえば、海月の帰りに電車に乗って、そうしてこのあたりで降りて、少しだけ歩いて、そしてボクはまた電車に乗って…。もうあの木犀は切り倒されて、その断片さえなくて、そのことはハッキリとしているのだけれど、ボクたちはいったどんな話をしていたのだろうか、それともしていなかったのだろうか、思い出せないでいた。
あの頃のボクはといえば、キミからもらった唄をいつも、通勤のあのバスの中でさえ聞いていて、もう全部カラオケで歌えるほどになっていたし、その唄もだけれど、もうボクの一日は全てキミに依存していた。そうして、あの電車の中で、薄ぼんやりと、この街に住むことを考えていたし、なんとなくだけれど、少しだけの希望みたいなものを、夜の向こうに抱いていた。
でも、それも、本当は、こうして想い出の中で脚色されてしまったのかもしれないね。
……。
なんだかいきなり秋になってしまった。
もうクリスマスソングが流れていたりしてビックリする。東京ディズニーラインドのCMだったかな。
なんだか忙しい秋で、うんざりする。もう少し簡単に生きていたいのだけれど、集団にいるとそうもいかないようだ。「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい 」ってやつだ。ボクの場合は、「智」があるわけでもなく、それが「芸術」に昇華するわけでもないのだけれど…。
結局「安保関連法案」は採決された。「もっと説明を」なんて多くの人が言うけれど、説明したら解りますか?と思う。いよいよ分からなくなって、「どうでもいいや」なんてことにならないのか?あるいは逆に洗脳されたりはしないのか?
安保法案よりも派遣法のほうが問題だと思うのだけれど、誰ひとりとしてそのことに対してデモなんてしない。まあ、この2つの法案がセットで存在して、この国の若者を食いつぶしてゆく。老人や中年は他人事なのだ。と言うボクも他人事なのだけれど。景気が全て。
今日から愛知県の最賃(最低賃金)が800円から820円になる。ボクたちの生活が2.5%良くなるのかというと、これまた疑問。というか、地方(例えば九州との格差、約120円)をどうにかならないのかと思う。それほどの実生活差はないのに。コンビニの商品が地方に行けば安くなるのならば理解できるけれど。これについてもデモだ。
あと、中部電力の値上げ幅が他の電力会社より大きいということ。んじゃつまらないCMするなよ。CMしなくたって、電力会社選べませんから…。「原発がなければ電気代は上がりますよ」なんて市民に対する脅迫か、と思っているのだけれど。中部電力しか使えないという、この独占事業の悲劇。というか、文明の悲劇なのか。
……。
そんな秋。
なんだか、秋は哀しいね。
テルさん、どうも。
秋祭りの頃で、花火の音がしています。秋ですね。二直のお昼の頃は寒いくらいかもしれないですね。なんだか、なつかしいですが。
まあ、ほとんどの人は他人事なのでしょうけれど。自分に出来ることを出来るだけというのが、良いのかもしれないですね。
田原笠山さん、こんばんは。明日で1直勤務の週が終わりますのでほっとしている所です。
思い出はいつも美化されるものですよね。それがまたいいのですが。
今の日本の状況なんてものは新聞やニュースを見ている私自身からしても他人事ではあります。
きっと日本が危機的な状況にたとえなったとしても似た様な感じなんだろうなと思います。