期間戦闘員募集

「期間戦闘員募集」「派遣戦闘員募集」

街にはそんなポスターがいたるところに貼られている。ある雑居ビルの1階にも「今なら入隊一時金20万円支給」なんてポスターが貼られていて、その向うには派遣会社の入り口がある。数人の若者が並んでいた。「月収、国内戦闘員30万円プラス手当・残業代、月50万円可。海外戦闘員50万円プラス海外手当、実戦手当、月100万円可。正規自衛隊員登用制度あり」

その求人広告に並んでいる若者たちだ。戦闘員募集のおかげで失業率は世界一の水準になり、貧困問題も改善された。正規登用される人たちもかなりの割合でいて、法案が可決される前に懸念されていた「徴兵」の必要はいまのところなさそうだ。

行くのは君たちたちではない。行くのはボクたちなのだ。

実は、多くの若者は、あの国会前のデモとは裏腹に、それを待ち望んでいた「グレート・サイレント・マジョリティ」だったのだ。ボクも実は望んでいた。これでやっと貧乏から脱出できる。
あのデモの集団は何も分かっていない、SEALDsなんて学生運動はおおよそ他人事で、たぶん自分たちが戦争に行くなんて考えていない。行くのはボクたちだ。そうして死ぬのもボクたちだ。

派遣法と戦争法案はセットで改正された。

ボクたちは工場で一生搾取されながらこき使われるしか生きる道をなくしてしまった。それならば、期間従業員よりは派遣社員よりは、期間戦闘員や派遣戦闘員になり、インパクトを握るよりは機関銃を握って、ボルトを打ち続けるよりは、弾丸を打ち続ける方が、幸福だ。

なによりも国家は自衛隊隊員と同一労働同一賃金でボクたちを雇用してくれる。そして勤続3年で正規登用もされる。どこかのケチな企業とは違う。それが仮に「徴兵制」ということを含意していると分かっていても、幸福だ。やっと生きる意味を見つけたのだし、やっと「非」なんて差別的な扱いを受けることなく生きられるのだから。

行くのはボクたちだ。

そして死ぬのもボクたちだ。

出番だ。ボクたちの時代だ。この国を守るのはボクたちなのだ。
そんな夢を見た。

浅草寺からスカイツリー
浅草辺りを歩くといきなりのスカイツリーで驚かされる。

2件のコメント

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    テルさん、どうも。
    まあ、おっしゃる通り、人は利己的なので、自分に関係ないことは他人事で済ませてしまうことが多いのかなあ。
    ボクなども、感動することが少なくなったし。
    「感動しなければ人間やめだ」
    って拓郎が言ってたことを思い出しました。

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    田原笠山さん、こんばんは。ご無沙汰しております。今週は1直なので体は楽ですが来月と再来月は1直が休日出勤2回ありますので今よりも忙しくなってきます。
    これ以上きつくなると結構体の負担も増えてしまいますが…
    実際に安保に関係するのはデモを起こしている人達ではなくしっかりとした給与と職業を求めて自衛隊に入隊する人達だと思います。派遣法についても学者やコメンテーターの方達ではなく非正規雇用で生計を立てている人達だとは思ってしまいます。
    スカイツリー懐かしいです。また機会があれば東京に行きたいものです。

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