サービス品質の日米比較で考えたタクシー業界のこと
Made in Japanは、自動車や電化製品などの工業製品だけではなくて、サービスの品質でも優秀だということは、海外旅行をしなくても多くの日本人が分かっているはずだ。
「スマイル0円」なんてのは当たり前のことになっているて、トイレを使ったとしても、立ち読みをしたとしても、「いらっしゃいませ」で「ありがとうございます」なんて言ってくれるのだから、それは驚きでもある(時には不気味だったりもするけれど)。それにレジ袋だとか箸やおしぼりのサービスなどの、コストが生じているものに対しても「サービス」してくれるのだから、驚きを通り越して過剰とさえ感じることがある。
タクシー業界でも、例えば綺麗なシーツに安全運転、接遇の言葉や態度、ドアサービスなどのサービスの質は、例えばボクが旅をした海外の国よりはかなり高品質だ。値段交渉なんてしなくていいし、ぼったくりなんてことはないだろうし。まして乗車拒否や「ここで降りてくれ」なんて理不尽な扱いなんかされることもない、はずだ。
それを証明するデータが生産性本部より発表された。日本のサービス産業の品質は、アメリカより10%~20%程度高いという結果がでた。
サービス品質の日米比較 – 公益財団法人日本生産性本部
日本のサービス業の高品質が証明されたということなのだろうが、それが例えばボクたちの地位とか収入に反映されているかというと、そうでもなくて、「サービス」という外来語がいつのまにか「無料」に誤変換されてボクたちの生活に、そして文化に浸透したこの国において、そしてそういう精神風土になってしまった国家で、サービス業がGDPの7割を超した現在でも、そのサービスが不当に廉売されている。ボクたちはサービスの虜になってしまっているのだ。(「スマイル0円だし」)
そのタクシーに対する「サービス品質を評価する上で重視するポイント」として、日本人は「接客が丁寧」(51%)「正確で信頼できるサービス」(55%)を上位にあげ、アメリカ人は「設備の性能・見栄え」(47%)を評価する上で重要なポイントとしている。
アメリカ人が29%しか「接客が丁寧」を重視しないということが、国民性の違い、だけではなくて、サービス業の基本的な考え方の違い(上記の「サービス」の誤変換による当然なこととしての、不当な廉売と不当な強制)なのだろうと思う。そのことが、過剰なサービス傾向だったり、クレームの多さになったりするのだろうと考える。
タクシーに対してサービス品質を評価する上で重視するポイントをグラフ化してみた。
日本人がタクシーに対してサービス品質を評価する上で重視するポイント
アメリカ人がタクシーに対してサービス品質を評価する上で重視するポイント
自動車がそうであったように、サービス産業のmade in Japanの品質が認められたということは、サービスの輸出が始まるかもしれない。日本のタクシー運転手の質の高さが海外で要求されるかもしれない。そういった専門家がJICAで派遣されるかもしれない。
なにはともあれ「サービス」に対して正当な価値、とか、正当な評価をすることが、さらなるMade in Japanの品質向上につながるのだろうし、そのことがGDP7割というサービス業の生産性向上につながるのだろう。ということで「日本工業規格の法律の対象をサービス業にも広げる方向で法律の見直しを」経済産業省が進めていて、JIS規格が「日本産業規格」と名称を変え、ボクたちもその規格の対象になるはずだ。
その前に、ボクたちがタクシー運転手としての自負を持つこと、そうして「接客が丁寧」なこと「性格で信頼できるサービス」であることを、さらに希求することが、ボクたちの地位改善となる、そう思うのだけれど・・・。