モラルのない業界、組織論(2)

モラルのない業界でモラルを説く愚かさ……。

昔々、ある町に旅人がたどり着きました。
旅人はその町で4軒ある宿の一番きれいでセキュリティのしっかりしてそうな宿屋に泊まることにしました。
その夜のこと。

旅人は町の散策にでかけました。

宿に戻り、部屋の鍵を開けてベッドに座ったとたん、旅人はなにか違和感を覚えました。

「ん?なんだか変だな」
「誰かが入ったような……。」

そう思った旅人はすぐにトランクを開けて中の荷物を確認しました。

「あれ、カメラがない」
「あれ、いくつかの服もないぞ」

不審に思った旅人はすぐに近くにあった電話でフロントに連絡をしました。そして、「すみません、泥棒が入ったみたいなんです」「警察を呼んでください」と伝えました。

それを聞いたフロントの男性は「え?泥棒ですか?」「警察ですか?」
つづけてフロントが言いました。「泥棒って、それはいったいどういうことなんですか?」

旅人は「とにかく警察を呼んでください」と叫びました。

しばらくしてふたり連れの警察官が部屋にやってきました。そうして「泥棒って?なにか盗まれたってことですか?」「この町はみんな泥棒なので、泥棒をしても逮捕できないんですよ」

「どういうことですか?」と旅人はもう少し大きい声で叫びました。

「みんな泥棒なので、泥棒を捕まえたらこの町がなくなるんですよ。それにわたし達も、ここに来る前にコンビニで万引きしたし」

「ええっ!それってどういうことですか」さらにさらに大きな声で言いました。

警官は落ち着いた声で「この町ではみんな泥棒をするので、泥棒は犯罪ではないのですよ」

旅人は、なんとなくだけれど、納得しました。そんな町に来た自分が悪かったと思いました。そうして、部屋に荷物を置いて出かけた自分が悪かったと深く思いました。

その夜、旅人は少し緊張しながら眠りました。
次の朝目覚めた旅人はチェックアウトの準備をしてフロントへ行きました。

フロントで少し待っていましたし、声もかけたのですが、誰も出てきませんでした。

旅人は考えました。「荷物も盗まれたし、泥棒の町だからこのまま宿代を払わずに逃げるか」

そうして旅人は支払いをせずに外にでました。
歩いて20分ぐらいの駅まで、少しだけ速足で行きました。

駅に着いた旅人に声をかける人がいました。

振り返ると、昨夜部屋に来た警官ふたりでした。

警官は言いました。

「宿代を払っていませんよね?逮捕します」

旅人は20年の禁固刑を言い渡されました。

腐ったリンゴは腐らない……。モラルのない業界でモラルを説く虚しさ……。

腐ったリンゴ モラルのない業界

腐ったリンゴ、組織論(1)腐ったリンゴを取り除かないから、その腐敗した環境が組織や企業の風土となる。 腐っている、ということに気が付かない。だから、泥棒をしたとしても「盗人にも三分の理」なんてことを…
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腐ったリンゴ、組織論(1)

腐ったリンゴ – Wikipedia

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