個人タクシー開業の話
36歳の中村さんが名古屋市内で個人タクシーを開業する話
中村さんは、24歳で豊橋市内のタクシー会社に入社しました。最初に入ったA社を3年、次のB社で4年間勤務しました。ところが事故を起こしたことがきっかけとなって、B社を退職しました。その後2年間、名古屋市内でアルバイトをしました。
ある日、Twitterで知り合ったKさんに勧められて名古屋市内にあるタクシー会社C社に入社しました。仲間にも恵まれ、事故もなく3年間が過ぎました。そんなある日こと、個人タクシーのNさんと世間話をしていた時のことです。
個人タクシー開業ができるの?
「中村さん、個タクに興味ないの?」
「名古屋の地理も分からないところ多くて」
「でも、けっこう長くやってるよね?」
「3年しかないですよ。それに最初の会社の時、駐停車違反で2点減点されているんです」
「あ、でも豊橋で7~8年やってたんじゃないの?」
「ええ、7年かな」
「それに名古屋での3年があるから、合計10年」
「そんなりなりますかねえ」
「違反も申請日以前3年をクリアしているし」
「まあ、でも、法人のほうが性に合ってるみたいで…」
その時はそれで終わりました。
次の日は非番でした。アパートに帰って、いつものように白波のお湯割りを飲みながら、自分のこれまでの運転経歴をメモ書きしてみました。
その時、中村さんが書いたメモです。
汚いので、清書してみました。
審査基準について
「合計10年」と口に出してみました。すぐにネットで「名古屋 個人タクシー 中部運輸局」と検索をしました。見つけたのが次のサイトです。
その内容をまとめたのが次の図です。
中村さんの場合、一般旅客自動車運送事業用自動車の自動車運転者、つまりタクシーの経験だけで10年あります。申請日(予定)以前3年以内で2年以上の営業区域内(名古屋市)の乗務期間があります。
「審査基準を満たしている」そう、不安ながらも、確信しました。そして「おおっ」なんてはしたない声を上げて、そして、酔った勢いもかりて、Nさんに電話しました。
「Nさん、個人タクシーなります」
「どういうこと?」
「なれるんです。ありがとうございました」
人の良いNさんは、なんだか分からないままに「ああ、よかったね」と、応えました。結局、2日後に改めて中村さんからの報告を聞いて、いろいろなアドバイスをしました。
中村さんは、その日から、来年の試験にむけて準備をはじめました。受かるといいですね。
40歳の上野さんが個人タクシー開業を申請した話
上野さんは大学を卒業した22歳に、運送業者に入社しトラック運転手として38歳まで約16年間勤務しました。
腰痛になったのをきっかけに辞職し、その後実家近くのタクシー会社に運転手として就職しました。この5月に満2年が経過しました。そして個人タクシー開業の審査基準を満たすので、申請することになりました。
上野さんの運転経歴をまとめたのが次の図です。
中村さんと違って、上野さんの場合はタクシー経験が2年しかありません。しかし、トラック運転手としての経験が16年ありました。この16年の50%が自動車運転専業期間に加算されます。つまり、タクシー運転手としての2年と、この旅客換算の8年で合計10年以上になり審査基準を満たす、ということです。
このように、タクシー経験が少ない上野さんも、自動車運転の専業期間があるため個人タクシーを開業できます。そして10年無事故無違反というのは35歳未満の人たちの基準であって、35歳以上では3年間という短期間になります。自動車運転を職業としてきた人たちにも機会があるということです。(タクシー運転手として2年の経験は必要ですが)
それにしても自動車運転の専業期間が最低でも10年、タクシー以外だと16年を要するとなると、やはり長くて長い道のりだと思います。要件の緩和についてはまた項を改めます。
上野さんも個人タクシーを開業できるといいですね。