GO ReserveとGO Crewについて

GO Reserveとは、配車アプリによる迎車専用車両です。GO Reserveの運転手をGO Crewと言います。その稼働から一か月が経過しました。

現役のタクシー運転手からは、批判的な声も聞かれましたが、順調なのでしょうか?批判的な声の原因は、GO Reserveの「配車だけ」という営業方法でした。つまり、「流し」が主体の都市部の運転手にとっては異質なものだったのでしょう。

アプリ専用車『GO Reserve』専用乗務員『GO Crew』が始動

地方の車庫待ち等の形態

しかし、多くの地方タクシー運転手は流し営業はありません。いわゆる「車庫待ち等」は、GO Reserveに近い営業形態なのです。

ということもあり、それほど驚きもしませんでした。それより「時給1,500円~」という数字に魅惑された運転手はいました。その時給で法定労働時間(1日8時間)、22日間就労すると、賃金額264,000円になります。悪くはない数字です。

その時給もですが、事前確定運賃は経路や運賃、乗り逃げという悩みを解消してくれます。さらに、時給という固定給は、出来高制歩合給が原因で起きる問題、例えば、乗車拒否や車いす利用者忌避の問題解消に有効です。

ここで少しまとめてみます。

GO Reserveの長所

トラブルの解消

事前確定運賃による経路、運賃、乗り逃げ等が少なくなります。

専門知識の不要性

どのように稼ぐか、営業のノウハウを必要としません。地理経路の専門性も(まったくとは言いませんが)従来のタクシーのように必要としません。なぜならば、配車された場所にナビで行き、すでに指定されている経路をナビ通りに走行するのですから。

賃金保証(最賃以上の賃金)

1500円~、となっているので、これからは1,500円という時給を基に、それ以上については歩合給で対応するような賃金設計を行うことも考えられます。

生産性の向上

マッチング率、時間実車率、距離実車率が改善されます。そのことにより、集客力が向上。経路決定により配車効率の向上で、生産性は高くなります。さらに走行距離が少なくなるため、燃費消費量が減少します。

迎車市場

迎車料金だけで8億円以上あります。(2023年1月度 次の表1参照)

東京無線グループ別配車回数 迎車料金表 2023年1月度
表1 東京のタクシー無線グループ別配車回数 迎車料金推計

安全性の向上

トラブルや専門知識から解放されることにより、運転に集中できる。走行距離の減少にともない、疲労度も軽減されます。

などが考えられます。

さらに、

乗務員不足解消という効果

GO ReserveとGO Crewのリリース時に次のように発表しています 1

雇用の間口を広げ、乗務員不足解消と多様化する働き手の受け皿に

 

本取り組みは、喫緊の課題となっている都市圏の供給不足を解消しタクシー利用の利便性向上を図るとともに、慢性的なハイヤー・タクシー業界の人手不足解消と、需給バランスに応じた効率的な運行を実現します。

国土交通省 自動車局長の見解 2

いろいろな形のサービスがあることで、運転手になる人のハードルが下がるのは非常に良いこと。従前通りの流しを含めたやり方も、もちろんいいが、アプリ専門になることで『タクシー運転手になるには少し自信がない』という人にもなってもらいやすくなるかもしれない。免許証を持っていて、『今、フルで働くのは大変だが、短時間なら」という人もいるだろう』という人もいるだろう」と成果に期待した。(国土交通省 堀内丈太郎自動車局長)

これまで運転手の抱いていた不満や不安を解消し、「ハードルを下」げたのが、GO ReserveとGO Crewではないですか?

運転手からの声

恣意的な配車により会社の利益率が上がる

例えば、高速道利用の長距離利用者の場合、GO Crewではどれだけメーターが上がっても時給1,500円です。そのような配車をGO Crewにすることで、会社の収益率が高くなるという理論です。

しかし、この恣意性は道路交通法で禁止されているのではありませんか? 3 さらに会社の利益率が上がることは、そこに属する運転手にとっても良いことではないのでしょうか?

例えば、

  1. 台替時期が早まる
  2. 福利厚生が充実する
  3. 歩率が上がる

配車と愛社

配車の問題や課題は「配車を受ける人がいる」ということではなくて、「配車を受けない人がいる」ことなのです。

地方のタクシー会社では、配車を受けないことは禁止されています。つまり、配車忌避行為は「車庫待ち等」という配車を基本としたタクシー事業を棄損する行為だからです。

さらに、上述の通り、迎車料金は東京だけで8億円市場なのです。迎車料金だけでです。

この(流し主体と配車主体という)地域性による配車に対する考えの相違は「偽装迎車」という言葉に表れました。その思考の根底には、流し>配車 があるからです。

配車主体の地方では「偽装迎車」はこれまでもありました。主に、駅などの待機場所に利用者が並んでいるときに、迎車ボタンや、実車ボタンを押して、配車を回避する行為です。

要するに、乗込み>配車ということなのです。

配車と愛社タクシーのGO化が進んでいます。正確に言うとタクシー配車市場の配車アプリGO独占化が進んでいる、ようです。 これからの移動サービスは、最初に配車ありきです。ということもあり、タ…
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配車と愛社

配車>流しの時代

タクシーの生産性は運転手個々人の能力に依存してきました。それを支援してきたのが出来高制歩合給という賃金制度です。しかし、個人の能力(体力や年齢を含めて)差があります。

その収入差を認めつつも、出来高制という成果主義で競争させていたのがタクシー事業です。

GO ReserveとGO Crewは、その差を少なくし平均化する仕組だろうと考えています。そして配車を利用した効率化こそ、安心安全な仕組みなのではないかと、考えています。

悪くはない、ということです

アプリ専用車『goreserve』専用乗務員『gocrew』が始動
アプリ専用車『GO Reserve』専用乗務員『GO Crew』が始動

  1. 【ニュースリリース】アプリ専用車『GO Reserve』専用乗務員『GO Crew』が始動 | 東京最大手のタクシー会社
  2. 東京交通新聞 4月3日付
  3. 道路運送法第14条(運送の順序)道路運送法 | e-Gov法令検索

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