配車と愛社

タクシーのGO化が進んでいます。正確に言うとタクシー配車市場の配車アプリGO独占化が進んでいる、ようです。

これからの移動サービスは、最初に配車ありきです。ということもあり、タクシー市場は「配車」への比率を大きくしています。その中で国内ダウンロード数No.1がGOなのです。

GO Reserveの登場

さらに、アプリ専用車「GO Reserve」が始まりGO化に向かっています。

【ニュースリリース】アプリ専用車『GO Reserve』専用乗務員『GO Crew』が始動 | 東京最大手のタクシー会社

と、ここまで書いて、実は地方では、もともと配車ありきだったのです。「車庫待ちなど」という営業形態には「流し」はありません。駅や待機場所で客待ちをするか、無線配車を受けるかです。いえ、無線配車の合間に待機場所での乗込み客を乗せる、という営業スタイルです。

ですから、無線は「了解」しかないのです。

アプリによるGO化ではなく、電話による配車化がこれまでの地方のタクシー事業の実態です。

少し、歴史を遡ってみたいと思います。

GOの前身である「全国タクシー配車」が2011年にリリースされました。それから各社自社アプリの開発の活発化しました。

しかし、自社アプリでは利用者を呼べない、状況になりました。例えば、名鉄Touchのように。どうしたかというと、結局、メジャーアプリに頼らなければなりませんでした。結局、自社アプリを開発した企業は、GO,Didi,Uber、S-Rideを併用するようになりました。インバウントに対応できるのも、メジャーアプリしかありません。いよいよGSDUの寡占化が加速しました。

配車アプリの選択

GOは日本交通が開発したアプリです。タクシー業界はみんながみんな川鍋さんが好きではありません。反発する人たちも多いはずです。そういった人たちはDidiやUber、そして国産のS-Rideを選択したはずです。

ところが、やはりGOなのです。なんといっても会長推奨の配車アプリです。その背景にはタクシー業界の事業規模があります。

タクシー事業者 各規模別事業者数
図1 タクシー事業者 各規模別事業者数

大手なんてのは5%程度です。その最大手が日本交通です。従業員数30人までが80%という、ほぼ町工場的な経営をしているほとんどのタクシー会社は、コロナ禍以前から儲からない状態でした。車両や配車設備の更新、昔と違ってタクシー経営には資金が必要な時代になっていたのです。

そして徐々に大手に合併され日本交通化、第一交通化が進んでいきました。現在も進行中です。そうした流れの中で配車アプリのGO化も加速されていったということです。

以上が、GO化の流れです。

配車アプリを選ぶ時代

そうして、利用者はタクシーを選ぶ時代を飛び越し、アプリを選ぶ時代になりました。そして事業者もどの配車アプリを選ぶかという時代になりました。運転手も同じです。

そうなると問題も生じてきます。これまで配車と言えば自社無線だったものが、他社無線が介在するようになりました。そして1回いくらの手数料を払いながら、他社無線に依存するようになりました。さらなるコスト高になっていきました。

1回いくらの手数料のほうが、自社無線でオペレーターを雇い、配車システムを構築し、なんて経費を考えると安価です。自社無線(自社配車)を捨ててGO化する事業者も出てきました。

タクシー会社は自社無線を疎かにしていきました。自社無線のほうが大切だったのです。顧客とその情報を無料で配車アプリ側に譲渡したのです。無料ではありません、配車ごとに手数料を払いながらです。

実は、

自社無線>自社アプリ>メジャーアプリ(GOなど)

ということではないのですか?

自社無線の存在

いえ、公共交通としてタクシーはひとつだ、運転手はみな兄弟だ、という精神ならいいのです。そしてそれは正しいことかもしれません。利用者にとっても、アプリひとつで数社のタクシーの選択権を得られるのですから、利便性は高まるでしょう。運転手も実車率が高まるでしょう。

それでも、現状においては自社無線もあり、自社アプリもあるのだから、他社を潤すことはないと思うのですが?配車が成立するために、自分の会社の利益がどこかへいってしまうのです。利益もGOなのです。

そのうち、タクシーという名称までGOになります。「タクシー呼ぶから」とか「タクシー拾う」は「GOする?」に代わります。それはそれでしかたありません。言葉も時代とともに変化します。

そして供給量の大きい事業者が、アプリ配車の利便性を最大限に生かし、中小零細のタクシー会社を食ってしまうのです。さらなるGO化です。

でもね、それでいいのでしょうか?

GO化という均質化

タクシー会社の特色なんてのは必要なくなり、GO化(均質化)してゆく。中小零細タクシー事業者は自社無線を、いえ自社無線まで捨てようとしています。そしていよいよUber的なものに近づきます。

ボクは、GOなんてのはまっぴらごめんです。自社無線一本勝負です。ポケモンじゃあるまいし、ボクGOなんて、なんだかなあ、なのです。

ボクが愛するのは自分の勤めている会社だけなのです。日本交通の下請けではないのです。愛があってこそ、その周りに世界が存在するのです。ひとつひとつの愛の集合体が世界なのです。きっとそうなのです。

だから、まずは自社無線なのです。自分の会社に電話かけて配車を依頼する顧客こそ、優先していいはずです。配車確定率が 自社無線>アプリ配車 になったほうが良いはずです。

でも、実際はGAFA状態になるんですよね?結局、タクシーも本屋さんのように、あるいは映画館のように、小さい会社はどんどん廃業してゆくのでしょうね。

それはそれで利用者に良いことななのかもしれません、ね?

無線グループ別配車回数 東京1月分
図2 無線グループ別配車回数 東京1月分

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