陸を敷いてはねむれない 2014年10月1日 豊橋漂流 「陸を敷いてはねむれない」というのは、山之口獏さんの詩「生活の柄」の一行である。布団ではなくて「陸(おか)」を敷いて、その上では眠れないというだ。少し前のエントリーに引いた「座蒲団」でも どうぞおしきなさいとすすめられて[…] 続きを読む
まるで孤児のよう 2014年9月30日 タクシー物語 「花子とアン」が最終回を迎えた。十数年ぶりにキチンと観た朝ドラ、終わったのかと思うと、なにか寂しい。 152話、孤児二人を引き取ったかよが言う「世の中を渡ってゆくにはそれぞれ割り当てられた苦労をしないといけない」と。 そ[…] 続きを読む
秋 2014年9月21日 タクシー物語 アラ炊いて焼酎二杯、泣く腹の虫黙らせるためにもう一杯。 眠ってしまって寒さに目がさめる。 マッチ擦るつかのまの海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや (寺山修司) ただ泣く腹の虫を黙らせるためだけに生きている[…] 続きを読む
東大寺×2 2014年9月8日 タクシー物語 記憶の膜をめくる瘡蓋の手掛かりのない焦燥感があって、それが原因でボクは軽い憂鬱を引きずったまま暮らしている。 その膜が、たとえ剥がせたとしても、ボクが思い描いていたものと絶望的に違っていたりする。なぜならボクたちの記憶は[…] 続きを読む
帰省、そしてまた哀しみの日曜日 2014年8月17日 タクシー物語 帰省、そしてまたボクたちの哀しみの日曜日がやってきたね。 あの頃、どうして帰省なんてするんだろうと思ったことがあった。夜行バスに揺られて名古屋駅に着いたボクは、まだたっぷりと熊本の下町のニオイがその記憶の中、というよりは[…] 続きを読む
帰省ラッシュ 2014年8月17日 タクシー物語 しがみつく蝉の切なさ盆帰り 抜殻の確固たる色蝉しぐれ (笠山) もうずいぶんと帰省なんてものとも遠ざかっているのだけれど、それでもまだ帰る場所があるだけマシなのかもしれないと思っている。なんだかボクは疲れていて、それはき[…] 続きを読む
夏休み 2014年8月3日 豊橋漂流 蝉の声切なくて夕立は哀しくて夏休み 朝顔は脆くて青空は儚くて夏休み かき氷冷たくて向日葵は悩ましく夏休み ボクたちは悲しくて恋しくて 相変わらず時は押し黙ったまま過去を弔う 盆踊り寂しくて太鼓の音虚しくて夏休み 故郷は遠[…] 続きを読む
ナツガキタ 2014年7月13日 豊橋漂流 キミとボクがウラブレた部屋でイチャイチャと愛を確かめ合っていた午後にも窓の外にはキチンと夏が来ていた。夕立の生臭いニオイとともに夏が来ていた。そのニオイはムザンにもその夕立によって叩き落された花びらの死臭で行き場を失くし[…] 続きを読む