外国人の登用拡大・二種免許取得要件緩和で考えたこと

二種免許の受験資格が緩和

2種免許の受験資格が緩和される。

5月13日に道路交通法が改正になり、19歳以上、普通免許証等保有1年で取得できるようになる。

第二種免許等の受験資格の見直し 警視庁資料
改正道路交通法(高齢運転者対策・第二種免許等の受験資格の見直し)の施行に向けた調査研究報告書について – 警察庁

 

「待ってました」とばかりに、若い人たちがタクシー会社にやってくる、そんな気配は今のところない。

新卒入社→普通免許取得→内勤で1年経過→第二種免許取得→タクシー運転手→

というジョブローテーション、というか、待機期間を設定して高校新卒者を採用することも考えられる。

とはいえ、若年層にタクシー業界へ入職する動機付けがあるかというと疑問。

楽で稼げる、というのならば、タクシーじゃなくても・・・ユーチューバーとか。

それにこんな賃金カーブと年収を見てしまうと、夢も希望もなくなるか・・・。

エッセンシャルワーカーと言われても、相変わらず評判も芳しくない・・・。

危険な仕事だ…。

タクシー運転者(男)と全産業男性労働者の年間給与の推移

 

「タクシー業界において今後取り組む事項11項目」について

2016年に全国ハイヤー・タクシー連合会が「ライドシェア対策の深度化する項目として、『タクシーサービスの更なる高度化策の検討』を掲げ」、「今後新たに取り組む事項について(案)」として11項目の具体的提案がされた。(タクシー業界において今後新たに取り組む事項について – 全国ハイヤー・タクシー連合会

その11項目の9番目に「第2種免許緩和」があり、「若年層・女性ドライバーが増加」が期待できる効果として業界が推し進めて来た。

そのことについては『「タクシー業界において今後取り組む事項11項目」について – 道中の点検』に投稿した通り、ボクは賛成だ。

取得要件緩和については、賛成です。ペーパードライバーでも現在の経験3年はクリアするのですから、それよりも、安全性のためには、入社後の社内教育を充実させることのほうが重要なことだと思います。ということで、若年層や女性が働きやすい労働環境になることを願って

取得要件緩和については賛成だ。ただし、業界に本当に必要なのは、働きやすい労働環境、分かりやすい賃金制度なのだ。

2種免許取得要件を緩和しただけでは…

免許取得緩和だけでは労働力不足を解消できそうにない。

2種免許はタクシー会社に入社後に取得させてくれる。そして難しくもない。(二種免許は難しい?- 道中の点検

それならば、これまで取組んできた「外国人ドライバーの登用を拡大」に目を向け、技能実習生や留学生が2種免許を取得しやすい環境を整備したほうが良さそうだ。

二種免許緩和は2016年に策定された11項目に、そして外国人ドライバーの登用拡大は2018年の追加9項目に入っている。(「タクシー業界において今後新たに取り組む事項について」への追 加 項 目 – 全国ハイヤー・タクシー連合会

訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプランにも

さらに「訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプラン」には以下の対策が盛り込まれている。

  1. 中国人留学生等を定時制乗務員(週28時間以内)として採用
  2. 国際業務ビザのインバウンド対応ドライバーへの適用(要望)
  3. 英語・中国語等による第2種運転免許試験の受験(要望)
  4. 技能実習制度へのタクシーサービス業務の指定(要望)

訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプラン概要 – 全国ハイヤー・タクシー連合会

でもね、「労働力確保」ではなくて、経営者もそしてボクたちも、一緒に働く仲間を募集する、という気持ちで受け入れないと、技能実習生に対するイジメや差別が起きる。

そして世界のセイフティネットとしての役割

業界の本音は、外国人ドライバー登用拡大のために普通免許取得から3年という2種免許取得の壁をどうにか低くしたかったのだろう。

例えば、技能実習生を受け入れるためにも、今回の改正を行い、そして「母国で運転免許取得から1年以上」とすれば、すぐにでもタクシードライバーとして雇用できる。

ボクは、タクシー業界の、特に地方のタクシー業界の労働力不足を解消するためには、外国人ドライバーの登用を拡大することに賛成だ。もちろん、そのためには2種免許取得要件緩和にも賛成だ。

外国人の雇用と特定技能制度の利用

そして、今起きているウクライナ危機に、逃れてきた人たちに、帰る場所をなくした人たちに、あるいは生活が落ち着くまで、働く場所を提供し、一緒に働いてもらってはどうだろうか。だって、ボクたちも、すぐに社会に役立つことが出来たんだよね?

もちろんロシアからだって、どこの地域からの人たちとも一緒に働けばいいんじゃないのだろうか。

「ナイト・オン・ザ・プラネット」「リビアの白い血」なんて映画の中でも(実際にも)タクシードライバーが移民の就労先になっている。

そして今だって、セイフティネットとして、不況に強い業界だ。いつでもどこでも誰でも(この誰でもが緩和される)応募できる。

ボクも、あのリーマンショック後の就職困難時に、路上に倒れることなく生きることが出来たのは、タクシードライバーとして働く場所があったからなんだ。ボクだって、国内難民だったのだ。

公共交通として、そして人を支える業界として、きっと、もっとタクシーを、もっと優しさを、もっと平和を、なのだ。

 

ナイト・オン・ザ・プラネット – Wikipedia

 

ジム・ジャームッシュ監督「ナイト・オン・ザ・プラネット(Night on Earth)」

東ドイツからやってきたばかりのヘルムートは言葉も運転も上手く出来ません。でも、コミュニケーションは出来たり…。

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