まるで孤児のよう

順がガンという診断をされたのが、ちょうど一週間前の水曜日で、その摘出手術が月曜日の午後にあった。その間、一番苦しかったのは本人なんだろうし、電話すると泣き出してしまうのは、その苦しさとか悲しさとかやるせなさなんかを全部ひっくるめた「どうして」という感情を伴ったやり場のない気持ちだったのだろうと、そしてそんな5日間だったのだろうと、思っている。
無事に手術も終わって、やっと本人からメールが来て、ボクも少しだけ落ち着いて、まとまったことを考えられる集中力とか、人と逢って普通の会話が出来るぐらいの思考力とかを、なんとか取り戻したと、思っている。

ま、毎度のことホッチキスには迷惑をかけました…。
ボクにとっては唯ひとりの家族で、実は今住んでいるアパートだって順の名義だし、トヨタに来るときの保証人だってそうだし…、なんかある度に保証人になってもらってるし…。そして何より、帰る場所がどこかにあるってことが、ボクにとって世間と繋がりがあるという実体みたいなもので、帰る場所がないと、ホームレスとか難民になってしまって、ボクがこの世界の構成員のひとりであるというアリバイみたいなもんだと、考えている。
「おかえり」という言葉が聞える風景というか、場所が、人には必要なのだろうと思う。(「おかえりなさい、ご主人様」でもいいのだけれど…。)その帰る場所、ホームは、故郷であったり実家であったり、そして新しく作った家庭だったり……するのでしょうね。(メイドカフェでもいいのだけれど…。)
当たり前のことなんだろうけれど、人はひとりでは生きていけないのだろうし、一匹狼とかひとりで生きていけるなんて思っているうちは、まだどこかに人との関係があって安心しているのだろうと思う。ホームレスのひとだって、難民と呼ばれる人たちだって、けっしてひとりではなくて、世間とどこかで繋がりがあるし、豊田市の仙人だって霞を食べているのではなくて、しっかりと営業までやってるんだから…。
貧困ということで一番に問題になるのは「人間関係の貧困」ということだろうと、ボクもそう思う。(どこかで誰かが書いていたのだけれど)例えば、ホームレスになって、あるいはネットカフェ難民になって、貧困=お金、みたいに言われるけれど、結局、人間関係が希薄になる、貧困化するするとそこからなかなか脱出できなくなるのだろうと思う。
よく「働いてアパート借りるくらい」なんて言う人がいるのだけれど、それもやはり保証人のいることだし、また「保証人協会があるだろ」と年間1万円ほどの費用を出せば保証人も付けられるということを言うのだけれど、アパートに就職その他で数万円を保証人という無形のものに出せるかというと…それにそんなお金もないということもあるだろうし。
それよりも、そういった手続きを踏むということも煩わしく思うくらい、人間関係を構築するという煩瑣を嫌うという、それはただ億劫だからということではなくて、恐怖を感じたりするような精神状態になっているのだろうと思うと、人との関係を絶って生きるということは難しいのだけれど、一度すると今度は脱け出すのに難しいということで、それが人間関係の貧困という問題を金銭の貧困よりも複雑にするのだろうと思う。お金とか食べ物は援助できても、人間関係を援助するってことは、難しいでしょ?
そう考えていると、ボクなんかはもうほとんど人間関係が貧困化していて、結局は順しかいないような状態なのだろうと。普通ならそんなガンの手術の後だと、家族だと、兄妹や親戚から「無事に終わったからね」なんて連絡も入るのだろうけれど、ボクはそんな人たちを知らないので、それはそれで困ってしまって、結局、昨日本人からのメールで手術の無事と経過なんてのを聞いた次第で…。
「まいったなあ」なんて考えながら、それでもどうしようもない時間というか日々というか…。
ボクが、どこか知らない街で意識不明になったら…ボクはどこに連れて行かれるのだろうか、なんて思うと、やっぱり人は住む場所じゃなくて、帰る場所が必要なのかなあ、なんて思ったんだ。

道に倒れて誰かの名を呼び続けたことがありますか
人ごとに言うほどたそがれはやさしい人好しじゃありません
中島みゆき「わかれうた」

えっと、長々と書きましたが、励ましのメールやコメントありがとうございました。ボクは元気です。

6件のコメント

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    こんにちは
    >衣父さんへ
    おまけ付きになりましたね。あとは健康診断なのでしょうが、無事に合格されることをお祈りしています。
    暑くなるので、今からが一番大変な時期かもしれないですね。でも、すぐ夏休みだから、気持ちは楽かもしれないですね。
    >蘭さんへ
    えっと、ま、気持ちというか、することは子供みたいなもんですから。そうよく言われるし…。
    いつも心配してくださって、ありがとうございます。またコメントしてくださいね。
    >山頭火さんへ
    結局、いつかはひとりになるのも人間なのでしょうね。自分の気持ち次第なのでしょうが、どうも、やっぱり人との係わり合いも面倒だなあ、なんて思うのはダメなんでしょうね。
    >kemamiさんへ
    そうですね、帰る場所は自分なのだと、ボクも思いますし、そして働いたり生きているということも、やはり自分という場所があるからだと思います。
    たくさんの人が、たしかにいるのでしょうが、はたしてその人たちは証言をしてくれるのかは、とても不明なことなんだろうと思っています。
    深さも含めた奥行きってのが…ないかもなあ?例えば警察の聞き込みで「ああ、そういえばそんな人いましたよ」っていうアリバイみたいな…。
    >僕もです。さんへ
    お久しぶりです。って、ボクのほうが久しぶりだったのですが。えっと、痛みとかはなくなりましたか?今日なんか暑いですよね。でも、最終日。明日はお休みで、頑張りましょう。って、ボクも頑張らなければ…。

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    管理人さん、更新待ってました。
    色々あったんですね…。

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    私も保証人問題をよく考えます。
    でもまさに、管理人さんのおっしゃる通り
    血縁関係でなくたって保証人はたてられる。
    でもそこまでの関係を構築できてますか、って
    話だと思います。
    傲慢かもしれないけど、帰る場所は自分の中で
    いいと思っています。帰る場所が自分の中にしか
    なくても、管理人さんがこの世に存在するという
    アリバイ証明は、実はたくさんの人がしてくれる。
    管理人さん気づいてないだけかもしれない。
    それともその程度のアリバイ証明じゃ、何か
    深さ的に物足りない感じがしちゃいますか、、ね?

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    んー、僕も似たような空しさ分かります。明日の事考えすぎず、きっとトヨタも100年後はわからないから必死です。誰かが見ています、あなたを

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    ホッとしました。毎日覗いては…今日も更新がない…とため息をついては閉じる繰り返しでした。何か事情があるんだとは思ってましたが…。なんだか息子を思う母の心境だったりして…けど多分歳はそんなに離れてはないと思いますが。(汗;) とにかく無事でなによりでした。失礼しました。

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    いやぁ御心配致しました。更新が無かったもので…募集おまけ付きが始まり7月に赴任します。Hさんへの再会は叶わなかったですが…さてどうなる事やら…

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