コストカットが従業員の身体に負担をかける

トヨタのCCC21とは「コンストラクション・オブ・コスト・コンペティティブネス21」の略で、和訳すると「21世紀コスト競争力構築」とでも言うのでしょうね。21世紀までにいかにコストカットして価格競争を勝ち抜くかというようなものでしょう。そういった全社的活動を行って、例えば下請け業者には30%のコストカットを実現させたのです。また、部品の共有化などもかなり進めてきました。その共有化という弊害が大規模なリコール問題となっているのですが。

陽も三河湾大橋を渡ってやってくる。笠山からのこの風景がやっぱりいいですね。

そうした企業努力によって、トヨタは2兆円とも言われる利益を上げてきたのでしょうが(それが全てではないですよ)、考えてみれば30%なんていう数字は下請けにとってはそれまでの利益以上の数字だっただろうし、実質下請け業者では30%のコストカットが出来てなくても、納品価格は30%カットで収めるという値引き販売が行なわれたということもあったと思います。
そういった「絶対目標」は、トヨタを世界一にしたかもしれませんが、その関連企業下請け業者は世界一になったのでしょうか?winwinなんて関係と言われますが、結局一人勝ちだったのではないかと思っています。この「一人勝ち」というのは、そういった家族とも言える下請け業者を置き去りにして一人勝ちしたということで、日産やホンダ、GMやフォードに対して、また他の企業と比較して圧勝したということではないのです。そこが問題なると思います。
このコストカットは何も下請業者の経営を圧迫していて、そこで働く人たちの生活もカットしているということだけではなくて(例えばトヨタ自動車は1兆円の利益 30%コスト削減の陰で‥常態化するサービス残業 長時間労働でクタクタだなんてことです)、トヨタで働くボクたちの身体にさえも負担を強いているのです。

かじった – とある派遣社員の日常
またまた今日も壊してしまった。今日はエンジンのミッションにボルトを締め付けるのだがそのボルトをかじってしまった。かじるというのはボルトとねじ穴がかみ合わずに、入らなくなることだ。かじった時点で、締め付けをやめれば何とかなるのだが、なんか今日のは入ってるぞと思っていたのだが、最後まで入らずにずっと空回りしつづけた。そのあと呼び出しをしたが時既に遅し、何をしても最後までしまらなくなった。最悪だ。

ボルトが昔に比べて“かじり”やすくなっているのだと思います。ボクも1日に何千本もボルトを締めますが、だいたい多い日で10回とか15回ほどかじります。その場合タップがけ( 穴の周囲に再度雌ねじを切る)をして、ボルトを締めなおすので、壊すということはないのですが、かじる度に5秒~10秒なりの作業遅れになるので、その遅れを取り戻すために身体を更に激しく動かすことになります。どうしようもなくなったら「職制呼出」を押しますが。
このボルト自体がCCC21によってコストカットされていて、ボルトのテーパー加工がなくなっていたり、面取りが行なわれていなくて、全体にザラついたものまであって、かじる確率が高くなっていると思います。それをかじらなくするために、作業する人の手の動きや腕の動きに負担をかけるようになるのです。
下請業者から現場の期間従業員までが犠牲になってのCCC21は達成されたということなのです。そしてトヨタが増収増益する。確かにトヨタ自動車の社員はボーナス増額、ベアアップとその恩恵に与るのでしょうが、下請業者や期間工にとって、その増収増益は何か良い話なのでしょうか。
ボクとしては、なんかリコール出てくれ、そしてトヨタがこのコストカット至上主義を悔い改めてくれ…なんて激しく思って作業していたりするのです。

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