期間従業員の組合員化(4)

今回トヨタ自動車労働組合が発表した期間従業員の組合員化について、なぜか嫌な感じしかしない原因は、きっと「シニア限定」としたことだと思うのだ。
1年間雇用された期間従業員がさらに延長してトヨタで働きたいと思う場合、2年目は1年間という長期の契約期間を締結することになるのだけれど、このような2年目、3年目の期間従業員をシニアと呼んで、1年とか2年、合計2年11ヶ月もの長期に渡って労働者を拘束する雇用形態を期間工として扱っていいのかということが、疑問なのだ。10年雇うが期間工なのか、終身期間工なんてこともあるのか、ということなのだ。
普通に考えれば、期間工と言われる労働者の期間とは半年とかせいぜい1年だろうと思うのだけれど。
非正規雇用という不安定な雇用状態に2年11ヶ月もの長期間置くということ自体、果たしてトヨタという日本を代表する企業がやっていいのかと思うのだけれど、短期雇用法を改悪させてそれまで1年間だった期間従業員を2年11ヶ月まで使えるようにしたのは、実は日経連で、当時の会長は、奥田前トヨタ会長だということになると、この格差や貧困の要因である非正規雇用の長期化はトヨタが作ったものと言われてもしかたないのではないかと思っている。
それを今度は組合員化して「待遇改善」なんていうのは、組合費を徴収しなくても、そして組合員化しなくても、そもそもトヨタが優先して行なわなければならないことなのだと、ボクは思っているのだ。自分たちがまいた種は、自分たちで刈らないといけないということなのだ。トヨタの工場では4Sが出来ていても、社会的な場所での4Sは今までできてなくて、要するに企業の利益が優先されて、世の中がどうなろうと知ったことではないよ、という姿勢だったということなのだ。

トヨタ労組加入、期間工約4千人を対象 来春以降 -asahi.com
期間工は自動車産業などで定着した雇用形態。トヨタでも生産台数の急増を背景に増加傾向にあり、現在9000人に達している。期間工は組合員になることで組合費を負担する必要がある一方、組合を通じて会社に待遇改善を求められるようになる。

企業は利益を追求するのは当然のことだし、その分配を従業員や社会に向けてくれれば良いだけの話なのだけれど、組合が金をもらわなきゃ従業員の「待遇改善」も求められないというのは、さすが利益優先主義トヨタ帝国の御用組合だけあって、組合までも利益優先、商売上手、顧客第一主義ですか、と、チャンチャラおかしくて、へそが茶を沸かしているんだよ。
トヨタ自動車労働組合は、1年未満の期間従業員に対しては、何の行動も起こしてくれないそうだ。ま、いままでもそうだったんだけれどね。
あ、そうそう、トヨタ自動車労働組合に入らなくても、全トヨタ労働組合(ATU)に加入するってことも出来るから、それにATUならそんな「銭、銭、世の中銭やで~」なんていわないはずだからさあ。

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