トヨタ自動車労働組合がいよいよ非正規社員である期間従業員の組合員化を決定しましたね。

トヨタ労組加入、期間工約４千人を対象　来春以降
トヨタ自動車労働組合（鶴岡光行委員長、約６万人）は来春以降、国内工場で１年以上働いている期間工を組合員化する方針を固めた。来春に資格を得るのは、期間工９０００人のうち４０００人となる見通し。非正社員の組合員化は、大手スーパーを始めとする流通業界で本格化しているが、トヨタ労組の方針は他の製造業に影響を与えそうだ

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予想通り期間従業員として1年以上勤務しさらに1～2年間の契約をしたいわゆるシニア期間従業員を対象にするようです。驚いたのは期間従業員の半数近くの4000人ものシニアがいるのですね。
雇用保険法の改正によって10月からの延長者が増えるでしょうから、来年はシニアがさらに増加すると予想しているので、半数以上が組合員になるのかもしれません。

期間工は自動車産業などで定着した雇用形態。トヨタでも生産台数の急増を背景に増加傾向にあり、現在９０００人に達している。期間工は組合員になることで組合費を負担する必要がある一方、組合を通じて会社に待遇改善を求められるようになる。

待遇改善と言っても、車の持ち込みとか個室寮や家族寮への移動（仮設に住んでいるシニアもいますからね）、ウェルチョイス、正社員並に2年目の年休17日付与、あと何がある？賃金はどうだろう？
こうしてasahi.comの記事を読んでいると、さも素晴らしいことのように思われますし、思っている人も多いでしょう「さすが世界のトヨタ」なんて言ってる人もいると思いますが、組合費を払わないと組合を通じて待遇改善を求められなかったこれまでの組合の姿勢っていうのはどうよ、ってことなのですよ。同じ職場にいてですよ。
非正規雇用者として「使い捨て」にしてきた数十年、そして社会が格差問題を取り上げて、その一因が期間工というトヨタ自動車の雇用形態にもあると言われ始めると、さらりとこういう手を打ってくる身軽さに対して、ボクは、「どうよ」なんて思うのですよ。
ことの本質は、そんな「待遇改善」なんてナマヌルイものではなくて、同一労働同一賃金ということだし、それは何もシニア期間従業員だから、組合費を払っているから、なんて問題ではなくて、同じ職場で働く者同士という「人」としての基本的な考え方だと思うのですよ。
では、今後は期間従業員間の格差が生まれてくるのですね。組合費払ってないばかりに。「だからシニアになれ」ってことなんでしょうか？期間従業員の期間組合員ですか？いつまでたっても、どういうシステムになっても期間は期間なんですね。（かもめはかもめ、って歌あったけど:)
問題の本質は違うところにあって、期間従業員をまとめて考えないと、非正規雇用という問題を、ただ希釈しただけになるでしょうね。
雇用保険法が変わって、1年以上の雇用期間がないと失業保険が支給されなくなりました。これからは期間従業員という単位は1年か2年という長期的なものになるのでしょう。青春の2年、それはどれだけ意味のある時間なのかは人によって違うでしょう。
でもね、社員になりたくて、再チャレンジで、2年、3年という20代の日々を非正規雇用という形で働いて、結局トヨタが社員として登用してくれなかったら…、そんな若い人が多いってことも確かで、結局トヨタはJOIN3っていう下請企業に就職斡旋という手切れ金を渡すってことぐらいしか出来ないでいるんではないのですか？
雇用難のご時勢、それでもいいじゃんね、なんて言う人もいますが、んじゃ、騙すように3年も使うなよ。どこかで、例えば2年目の時に「トヨタの正社員にはなれませんよ」ってことを告知するべきじゃないかと、ボクは思うのですよ。
それが世界のトヨタ、企業の倫理だと思うのだけれど。期間従業員の利益よりも、企業の利益を優先し過ぎているのですよ。組合に対しても、同じようなことだろうと思うのですよ。期間従業員の利益を考えている組合であるのなら、すでに「待遇改善」に対して行動しているだろうし、それをしなかったのは要するに組合員である社員の利益は期間従業員の不利益の下に生じていると認識していたからではないのですか？
なにはともあれ、組合員化になったら強制加入でユニオンシップ協定で拘束されるのだから、「オレは組合なんてはいらないもんね」なんてことは出来ないってことも覚えとかないとね。そんで組合費は、たぶん、払った分還るってことは、どうなんだろうなあ。メグリアの組合員みたいに、期間満了時には2000円返金します、ってことにはならなくて、きっと「組合の活性化」のために使われるのだろうと。
コンパニオンかあ。
組合員化問題