期間工という生活が嫌な理由

嫌な夢をみて目がさめる。
まだ日付変更線を跨いだあたりで、ほんの1時間ほどの眠りが途方もない時間のように感じる。外の湿った空気がそのまま部屋の中にも忍び込んでいて、嫌な夢の記憶に質感をあたえる。おそらくボクはボクの寝言で目が覚めているはずだ。それはいつものことで、残響だけが鼓膜の奥で、なんだか少し痒い感じで残っているのだけれど、それだけではない確かに大声を出した、という痕跡は、例えば記憶の(それは夢とは別の場所にある)どこかに残っている、ように感じる。
あの頃、期間工として生きていた頃、ボクはほとんどストイックな(と多くの人が表現する)生活をしていて、平日は工場と寮の往復、工程と休憩所や食堂、部屋と風呂や食堂、といった、ほぼ一定の、たぶん歩行数も一定の生活をしていた。そしてそれが楽だったのだ。
なんの美しさも感じられない生活、は、ただ、労働ということだけに振り分けられた時間だけをいかに規則正しくやり過ごすかだけという(たとえば「遅刻するから」早く寝るとか、たとえば「仕事を休むといけないから」酒を控えるとか、たとえば「作業遅れすると悪いから」栄養補給しないと、なんてことばかりの)生活様式という、単純化された時間だけが流れていた。
余裕がない、ということなのだ。だから、たとえば本を読む余裕もなくて疲れ果てて眠ってしまうという生活の中では、全ての楽しみを、その労働の対価としてのお金に振り向けるようになるのだろうと思う。
多くの人が表現した「ストイックな生活」というのは、そういう規則正しい日々の中で、禁欲という非消費生活を送ることを指すのだろうけれど、それはボクたちが、反吐がでるとこれまた表現するトヨタ生産方式(TPS)そのもので、(ボクたちの生活を)いかにコストカットするかということだけに、生きがいを感じる日々だったのかもしれない。
たとえ、その後(満了後)に「夢」なんてことがあっても、ボクたちのやってきたこと(そのストイックと表現される生き方)ってのは『高度資本主義社会における最大の美徳』(ハルキさんの表現なんだけれど)である「無駄」を徹底的に排除した生き方、そうそれこそがボクたちを苦しめる元凶であることを今さらながら気づくのだけれど、それをしてきたということなのだ。
「したきた」というのは少し違っているのかもしれない。実は仕事がきつくて(ボクの場合はそうだし、バンテリンの日々に歩くのも、面倒だったしね)「何もしたくない」という日々を強要されていた、ということなのかもしれないのだけれど、ま、それにしてもほとんどの人が「小金」を貯める、ということにアクセクしていたように思う。
そしてそれが期間工としての正しさなのだろうけれど…。
出稼ぎ労働はなくなったのだけれど、出稼ぎ労働という生き方だけは残ったという感じで、そのストイックと表現される生き方が、まさにそれなんだけれど、若い人はどうしてそこまでそういう生き方を自分に課すのかと、ボクは不思議に思っていたこともある。
だから、風俗に行ったり、週末は名古屋に出かけたりする人のほうが、とても健康的に思えたし、それが普通の若者としてのありようだし、正しい美意識(高度資本主義社会における)だろうと思ったし、正しい労働者の姿だし、正しい日本の将来を考えた行動だとも、思った。
阿片窟のような寮。
労働で疲れた果てた身体には、なにか麻薬物質(ドーパミンとかアドレナリンとか、あるいはカンナビノイドみたいなもの)が充満していて、週末になると意識が混濁するぐらいに効いていたのかもしれない。それはボクも同じで、今夜の感じ、自分の寝言で夢が妨げられ眠りから覚めた感じ、の週末を過ごしていたのかもしれないと思っている。痕跡だけは、残っているのだけれど。
将来に対する絶望感や閉塞感、それが放蕩ということには向かないで、使ったとしてもデイトレとかパチンコとかなんていう、少しどちらかというと高度資本主義の美徳とも、そして日本人の伝統的な美徳とも違う方向になってしまったということに、違和感を感じている。
そしてほとんど文化的な生き方とは別の方向を向いてしまっている、あの阿片窟では、何を思想するかというと、きっと満了までの日数とか、満了金の額とか、なんて、定年直前のオヤジ思考になっている、ということに気が付くと、自分が嫌になったり、悪循環だということに気がついて、驚いたり…。
寮のまわりの居酒屋なんてのは、あの人数が住んでいる割には儲からないというのは、そんなことで、ミマスとかコンビニぐらいしか儲からない、ということが全く今の日本の消費者を象徴するようで、そしてその割を食っている人たちが、そのシステムを頑強にしている、というのもまた皮肉にも事実なんだけれど。
上から下まで(ボクがそういう表現を使うってことじゃなくて、格差社会だからね)小金を貯めることが美徳ということになっては、今回のリーマンショックとか金融不安なんてのはそれほどの「不安」でもなくて、まだまだバッファ(考え中さんの表現でね)もストックもあって、どこかの大企業みたいに「7000人もあるあるよ」なんてことだろうしね。
ま、逆に、生産者消費者一体社会だから、トヨタの期間従業員だって、トヨタの株主だったりするから、誰も文句の言えない社会になりつつあるってことなんだろうけれど。そいう言う意味では、何も起こらないだろうと(テロとか戦争とかね)思ってる。目標が自分に向いてしまう場合が起きるからね。だって、正しさは「無駄」から「脱無駄」になって「消費」から「貯蓄」に代わって、そんで「労働」から「水位差(デイトレとかのね)」になってるんだから、ほとんどの人がブルプロなんだからさ。(ブルジョアのプロレタリアートってこと)そこが、この国で何も起こらないって根拠。あ、それに郵貯に国債とかもね。
ま、こうして、夜中に自分の寝言で目が覚めて、「そっか、そんな感じだよね」なんてブログを書けるほどの、Ultra pleasure island ってことなんだろうけどね。
さてと、寝るか。
#ま、トヨタが期間工に年収200万円しか出さない、となると、起きる可能性はあるけどね。
##てか話がばらけたね。怒られるから、寝ようっと。

糸こんにゃく丼。かんたん、おいしい、へるしー。

11件のコメント

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    なめこそばさん、こんばんは。
    今日は午後から、サイクリング、最近はポタリングって言うのかな、でぶらぶらしてました。
    夏場は、そっか、なかったかなあ。ま、あっても、そうだなあ、溶けるかあ。田原では火曜日(水曜日だったかな)がアイス特売日で、食べてましたけれど…。
    確かに、作りが独身寮しか使えないかなあ。
    ワンルームマンション(アリビオみたいな?)だと、賃貸できるかもしれませんけれどね。
    刑務所にするとか…。

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    笠山さん、こんにちは。台風一過ですね。
    チョコボールも好きなんですが、夏場は売店に売ってなかったんですよね。
    暑くて溶けるからかな?
    スニッカーズみたいな、チョコバーも姿を消してました。なので、m&m’sです。
    今日は夕立があるかもしれない、とのことなので、掃除・洗濯を満喫してます。
    こういう寮って、使い道が限られてしまいますよね。
    民間に売り出すこともできないし…。

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    なめこそばさん、こんにちは。
    ああ、それはありますね。
    「なんで」というのは、今もあるかなあ。きっと、なんていうか「家族がいるから」なんてのが答えになったりするのでしょうね。「子供のため」とか…。
    ああ、どうですね。チロルとか。どっちかいうとスニッカーズを毎日一本は食べたいかなあ。目標として…。
    でも、空けとくのも無駄だから、貸すか、なんて。混合という形になるかもしれませんね。
    今日はきっと布団干し日和のはず…。

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    こんばんは。
    まぁ、そんなに深く考えない日がほとんどなのですが、「俺は何でこんな所に居るんだろう?」なんてことを自問自答したりもしますね…。
    それでも、やっぱり楽しいこと、例えば「昼休みは『m&m’s』を一袋全部食べようかな」とか考えて、なるべく自分を盛り上げようと努力はしていますが、ね。
    寮は、ま、噂ですし(だったら広めるなって話ですが…)、転寮になる頃には僕も満了かな、なんて思ってます。
    今はとりあえず、布団を干したい願望が…。

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    なめこそばさん、こんばんは。
    そうですねえ、ボクも、あのバスの中で「楽しい」とか「今日はがんばるか」なんて思った事がないです。
    「ミスなく、不良品を流さないで、無事に一日が終わりますように」とか、始業前は「ボルトをかじりませんように」なんて祈りはしたけれど…。
    楽しむ余裕なんて、というか、考える余裕がなかったのかなあ…。痛みもあったし…。
    ま、そんでも、黙黙とすることの楽さってのは感じましたけれど。
    寮、またですか。

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    今まで600日くらい(計2年半)、期間従業員として出勤しましたが、毎日、1日も欠かさずにバスの中で思うのは「今日という日が早く終わらないかな…」ってことです。
    仕事に対して、こんなことを毎日思うのは、きっと異常なのだと思います。
    しかし、考えてしまう…。
    その「考え」もまた「無駄なこと」なのですが…。

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    今井Kさん、こんばんは。
    きっとストレス肥りですよ。食事が不規則になって、けっこうドカ食いするのでしょうし…。
    中にはとても楽しそうな人もいて、それは正解だなあ、なんて思ったりもしました。ま、事情があってお金を使えない人も大勢いたのですが・・・。
    なんか、もう少し、ゆるく生きても良いんじゃないかと思ったりもしていて、ぎりぎりの生活してたんじゃ、せっかく愛知に来てるのに愛知見物もしないで…なんてね。
    そういう人が多かったですしね。
    楽に考えると、キカーンも、そこそこの給料ですしね。10代や20代前半だと、けっこうな給料だし…。そういう若者は面白おかしく暮らせばいいのにってね。
    仕事かあ~…。

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    ラインってダイエット筋トレには最適な日々でしたが
    ただそれだけだったのかも知れませんなぁ・・・
    現在、就職してなんで過信無いけれど結構偉い人になったのですが
    正直頭を小狡く回して立ち回って
    身体はブクブク肥える日々でして・・・
    果たしてあの頃(キカーン書いてた頃)と比べてどっちが楽しいかが
    寝る前の自問自答になりつつあります。
    いっそいまの仕事やーめたーとか言って 
    家の近所のフォークリフト製作会社でもー1回やろうかとか考えちまう昨今です

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    >まとこさんへ
    宮島口、競艇場の遊園地には何度か行ったことありますよ。
    ボクも年間数日という休日数なんて年もあって、それはそれで、何かに憑かれていたんでしょうね。身体は壊さなかったのですが、やっぱり精神的になんだか…。そんでプツンと。で、トヨタでした。
    ま、確かに、モラルとか常識とか、ま、生活の規則性なんことも含めて、正しいことなんてのは、ちょっと分かり難いですもんね。
    恋愛なんてのも、きっとそうなのかもしれないし。恋愛というか情愛というか、ま、そのあたりは、まことさんの世界なのですが・・・。
    >佐藤さんへ
    そうですね。
    仕事があるということは、それだけで良いことだと思います。先のことは分からないにしても、明日のことや来月のこと、ま、今年のことは分かっているでしょうから。
    逆に、とても良いことがあるかもしれないし。とても考えられないことが、明日起こるかもしれないし、と考えると、のんびりが良いのかもしれませんね。

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    リーマンの破綻を見ると正社員だから安心なんて事、あり得んですね。ま、のんびりとやるか。

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    そういえば一ヵ月連続休みなしとかありました。
    完全に思考能力を失い
    能面みたいな顔をした自分がいました。
    規則正しくはあったのですが、身体を潰すような規則正しさはおかしい話です。
    不健全こそが健全とか思ったり、今も試行錯誤です。

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