昨日のエントリーで引用したMy News Japanの記事「ヒト余りトヨタ」の「ヒト」、カタカナで現したのは、商品語としての人間ということなんでしょうね。人ではなくてヒト。あるいは人間ではなくてヒト。ひとり、ふたりではなくてひとつ、ふたつ…。「ヒト」は労働力という商品となってダンピングされたり、切り捨てられたり、という現状においては、「人」よりも「ヒト」という記号にしたほうが正しいのでしょうね。
文学的なセンチメンタリズムのようなものとしての表現かもしれませんが。「僕」ではなくて「ボク」のような…。
あるいは、製造業では哺乳類霊長目ヒト科ヒト属非ヒト種、と正ヒト種とが別々の進化をしているのかもしれませんね。ガラパゴス現象なのでしょう。あのフィンチのように、地球が滅亡しなければ、吸血ヒトなんて種が登場するかもしれません。いえ、もうそういう集団も登場しているのかもしれません。

トヨタ剰余金１２．８兆円/０８年４―１２月期連結業績 ０．０７％で雇用守れる：しんぶん赤旗
トヨタの期間従業員の日給は約一万円。二交代制の手当を含め年収約三百万円（残業代除く）です。年間九十億円で三千人の雇用は守れます。九十億円は剰余金の０・０７％分にすぎません。五年前と比べた剰余金増加分の０・２％分です。

雇用が守れたとして、仕事がなかったら、それも苦痛ですよね。それは非ヒト、じゃなくて非正規労働者だけではなくて、正社員も同じだろうと思います。1日中掃除をすると言っても…。
個人的には、例えばいすゞ自動車が提示したような条件、残りの期間分の8割の賃金を保証するから退職するか、仕事はないけれど雇用は守る、での選択ならば、退職を取ると思います。ひと月ぐらいならば我慢できるかもしれませんが、数ヶ月毎日出社してとなると、いずれは期間満了で退職するのならば、8割もらうほうが…。
そういった提示がなくて「雇用は守」られて、毎日4S、掃除のばかりならば、少しの条件（例えば会社都合の離職理由と、ひと月分の賃金）あたりで手を打つと思います。
また、リストラが進めば、それが正社員にも及ぶとなったら、人情的には「期間従業員であるボクが辞めれば救われるひともいるかもなあ」と思うでしょう。それが根本的な解決にはならないと分かっていても、数ヶ月先には辞めることになるのが期間従業員ですから。
そして、延長の話があったとしても、ボクは断ると思います。仕事もないのに出勤して給料だけもらうということも、なんだかヒトのようだし「非」のように思うからです。その感覚が、人としての矜恃に関わることだと思っています。
「雇用は守れる」という先に、仕事や労働、それに伴う喜びがないと、「なにもしないけれど金はもらえる」ということが当たり前のようになると、ガラパゴス列島日本でのヒトの進化は「フィンチ」のようにはならずに、例えば「貘」になってしまうのではないかと思っているのですが…。