セーフティネットとしての期間工とか派遣社員とか

全ての期間工、派遣社員ということではないということを予め言っときますが。
期間工や派遣社員という非正規労働が「なくなったら困るだろう」なんていう理論の人は、セーフティネットとしての存在意義をその論旨にしているのでしょうか。
例えば30代以上の人に「なぜ期間工や派遣社員になったのですが」という質問をしたとしたら、恐らく「失業して」という人がほとんどではないかと思っています。
「失業者」が「非正規労働者」となるのは、例えばトヨタ自動車の期間従業員を例にすると、資格も経験もなしに離職時の賃金を確保できる、2週間後という就業開始時期が早いということや、それほど厳しくない面接、ということが挙げられると思います。
また失業するということは、かなりの精神的ダメージも受けます。人間関係への不信感や集団への嫌悪感なんてことから、引きこもりがちになるのだろうし、失業後の就職活動の失敗(入社試験に不合格になったり)は、自分をも否定されるわけだから、「もうダメッぽ」なんて右アッパーをもろにくらって、その後に左フックもクリーンヒット、そしてダウン、という感じで、身も心も打ちのめされて、起き上がれないという人も多いのではないかと思います。。
そういった心の傷を癒す期間として、一時的避難所としての期間工や派遣社員としての就労ということもあると思います。
ブログで「期間従業員の孤独」なんて書くと、それは逆にそういう人たち(ボクもそういうところはありましたが)にとっては、慰安場所のように感じられたのだろうと思っています。仕事中だけではなくてプライベートな時間までも孤独という選択を出来るということを望んでいる人も多いのだろうし、それで期間工という選択をしたという人も多いのだろうと思います。
また寮付きの企業や派遣会社が多いので、住むところが無い状態であったとしても、取りあえずそれは確保できるのだし、初回の給料日まで日数があったとしても、従業員証で食事はできるのだし。
シェルターとして有効だったということなのでしょう。トヨタ自動車村、細分すると田原村とか田中村、高岡村や衣浦村、という期間工村があったのです。日比谷の派遣村のように。
90日分収入が確保できる失業給付と同じで感覚で、その期間を考えていたのかもしれません。「ありがたいね」なんて言う人も多かったのかもしれませんね。確かに、トヨタの雇用力には多くの人が感謝しているのだろうし。59歳まで雇ってくれるというところは少ないですからね。特に、あの派遣村の人たちと同じ中高年にとっては。
そして派遣社員、社会人としての適正に欠けると思われる人たち、例えば無断で遅刻欠勤する人や、犯罪を犯す人たちの受け皿として、あったのかもしれないと考えると、その功罪というのは、一概に言えないのでしょうね。
セーフティネットとしての非正規雇用…。
でも、元を正せば、これだけ多くの人がセーフティネットを必要とするような仕組みにしたことが問題なのでしょう。非正規雇用を増やして、優しさとか愛なんてことを現場から排除してしまい、そして非正規雇用ということから抜け出せないようにした法律や、「同意製造工場」や「ストレスによる管理」なんて人をどう「使うか」ということを賃金とは別にコストとして考え出した生産方法など、大量生産大量消費という時代には起こったのですから。
今、セーフティネットを必要としている人たちは、どうも精神的なケアも必要ではないかと思っています。上記のように、生産方式というシステム確立のために、効率やコストを優先したために、労働者がモルモット化されて、動物実験が行われていたのですから。それが労働力のシステム化ということ、なのだろうと思います。。
ラインダンスと表現した同じステップを繰り返しや、タクトタイム内でタイトに決められた標準作業、ラインの動く方向、職制呼び出しボタン、そして薄暗い工場の灯り、沈黙の休憩所、カイゼン、QC活動、あるいはPコンやふれあい活動、などという全てを利用して、企業の利益(それはほとんど非正規には配分されないのだけれど)を追求し、労働という手段はその利益ののために研究されたのだろうと思います。

そう言えば、今年は恵方巻きを食べた。

4件のコメント

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    >渡久米さんへ
    お久しぶりです。
    ボクも、あの沈黙は楽でした。それに飲み会も参加しなくても良かったし。30歳を過ぎた人たちの多くは、飲み会なんて、と思っていた人が多かったような。
    寮でも、付き合いがなくても平気でしたし、ないほうが面倒臭くなかったですよね。ムダ使いもしなくて良かったし。そういう人が多かったように思います。
    >田原服役囚さんへ
    おひさしぶりです。
    昨日今日と出勤している人も多いそうですね。事務系医療系は出勤らしいですけれど。
    そうなんですか。それは嫌がらせみたいなもんですよね。これからは、そういうことも多くなるかもしれないと思っています。
    例えば休憩所でもそんなことが起きるかもしれないですね。肩身が狭くなるというか。リストラの噂が立つと、嫌なこともあるかもしれませんね。
    残るのも地獄のかなあ、なんて思っています。満了まではがんばって下さい。

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    お元気ですか?
    久々にコメントさせて頂きます。
    非正規社員と感じた出来事が・・・
    出張者受入拡大に伴う転寮のお願いという紙切れをもらいました。
    会社の都合で2度目の転寮です。
    正社員の出張者受入のために期間従業員が転寮させられる。
    確かに、今の寮は期間従業員が少ない。
    で、この寮の期間従業員をどかして社員を受け入れる。
    俺達は物と一緒で簡単に動かせると言わんばかりに紙切れ一枚で。
    愚痴言ってすいません。

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    管理人さんのおっしゃる通り、仕事を普通にこなしていれば、プライベートな部分に踏み込まれないという安心感が、期間工時代にはありましたね。
    世の中にうまく馴染めず傷ついてしまった自分には、その孤独が心地よかったのだな、と記事を読んで思いました。

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