派遣の品格(2)

もう2年も前のことだったのですね。「派遣の品格」というドラマ。
その年にトヨタやソニーなどの日本の製造業は「史上最高の利益」を計上するのですが、それに合わせたように番組が制作され放映された、と振り返っています。
その番組について書いた記事をふたつほど読んでみました。全文引用したかったのですが、長くなるので一部だけ。

期間工の品格
となると、どうもやはり国家と企業が手を組んでいるのではないかと考えたりしています。あの手この手を使って、って言うよりもこうなりゃなんでもありって感じで、国家の品格を考えてしまうのですよ。国家と企業の利益が全てを優先されて、そのプロパガンダに公共電波が利用されるとなれば、これはもう時代の逆戻りってなもんで、そのうち「戦争に行こう」とか「笑って戦争」「なる戦」なんて番組が、大企業のスポンサーの下に放映される日が来るのかもしれませんね。

派遣の品格
大前春子という名前は「Oh my 春子」と言うことでしょうね。Oh my Godという感じで作者が名付けたのだろうと考えています。春子は派遣の神様になって、派遣という職業の救世主になるのかもしれません。そして派遣を日本中に広める役割を担うのかもしれません。そして実は非正社員も同一の条件で雇用されるという目的の達成のために現れたのかもしれないですね。それがタイトルに現れるエンジェルの意味なんだと思います。

そして日本中に広まった派遣社員は、全労働者の約4割、1700万人ほどにも膨れあがりました。救世主はとうとう現れなかったようですね。身ぐるみはがされてこの寒空の下に放り出されてしまった「派遣狩り」の被害者たちは、そこに至までにも人格を否定されていて、多くは「パートさん」(中にはパートと呼び捨てる人もいますよね)「派遣社員」なんて名前で呼ばれていたのですが、今度は狩られて、物のように捨てられる。人格どころか命まで切り捨てられる。
1ヶ月や2ヶ月という住宅支援、臨時職員としての雇用、資金の融資…。その後の、その先の長期的な施策は行われていない。いずれは追い出されて、こんどは臨時切りが行われ、国家による借金取り立てが始まる。
というのが現状なのでしょう。
ただ、だからと言って、昨日も書いたように交渉する企業の経営者たちを「キミたち」と呼んだり、アポなしで事務所に押し込んだりするような真似は決して「品」のある行動ではないと思います。
それは礼に反するでしょう。それどころではないと言うかもしれません。でもね、せめて最低限の礼節は持っていないと「派遣の品格」なんてことを、また言われてしまうと危惧してしまうのですよ。表に出ている人の何十倍、何百倍の派遣労働者が狩られています。それは解雇されたということだけではなくて、職場にいながら人格が狩られている場合も含めてです。
脅すように交渉して、その力で何かを獲得しても、それは格差などから脱したというよりも、なにか区別されるという感じを受けるのですけれど。こんどは隔離されることを、そして永遠に支援されてそれをあてにして生きてゆくのでしょうか。
大前春子はこの国の今の現状を予想していたのかもしれませんね。「国家の品格」という本がベストセラーになった年でもありました。日本という国から「品」というものが喪失した年だったのかもしれません。
品のない経営者、品のない政治家、品のない人々。今こそ、もう一度「派遣の品格」について考える時期だと思うのですけれど…。

【年が越せない!】「派遣切りやめろ」要望書を経団連が受取り拒否
-JanJanニュース

「受付からアポを取らせて下さい」とするユニオンと「いいえ、外から電話かファクスでお願いします。手続きをしてからにして下さい」と頑なに拒否する守衛の激しいやりとりは45分間も続いた。

なぜ「外から電話」しなかったのでしょうか。それだけのことで45分も「激しい」やりとりをすることを疑問に思うのです。そこを考えると「ただのアピールか」「次は街宣車か」なんてことを思われてもしかたないでしょう。

派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「死にそうな労働者が大勢いる時に『手続き』はないでしょう?」と迫った。だが、チーフ格の守衛は「アポを取ってからにして下さい」の一点張りだった。
 佐藤さんが怒りを露にした。「俺なんて昨日『あすでクビだ』なんて言われたんだぞ」と守衛につかみかかった。
 「お前、暴力をふるうと警察を呼ぶぞ」と守衛が応酬し、現場は一時緊迫した。

守衛さんに言ってもしかたないのだろうし。気持ちは分かりますが。それに守衛さんも派遣社員の可能性もありますしね。
そのやり方でどれほど世の中が変わりましたか?手続きをして「会わない」というのなら、そのことをアピールしてください。品のない経団連のタヌキにその手が通じるわけないのだから。
マスコミもネットでも、腫れ物に触るような扱いになっています。それがどういうことか、もう少し考えてもらいたいと思っています。

7件のコメント

  • blank

    >北斗星さんへ
    そうですね、「臨時」という支援ばかりで、その時期が来たら、また切られるのか、そして返せないと取り立てられるのか、と心配しています。
    海外拠点も増やして、そっちに移行していたようで、ボクも期間従業員のグローバル化みたいなこともありかも、とか書いたことを記憶しています。ものつくり、人しか資源がない国ですから。
    それに新興国問題は、中国ほど外交がうまくなかったですしね。ODAなんてその効果も疑わしいし。
    生産と消費、消費活動と賃金、労働者と経営者、なんて関係も崩壊してしまって、仰るとおりバブルだったのでしょうね。
    国内販売は昨年がピークだったようだし、人口は増えないだろうし、となると、内需の拡大は望めそうにもないし、となると、難しい問題ばかりだなあ、と思っています。
    >ラオウさんへ
    ま、そういう方もいるでしょうね。ボクも知っていますが、それでも楽ではなかったように感じています。精神的な部分での苦労もありますしね。
    >ラグーナさんへ
    ええ、ボクもそう思うところがありますね。ご指摘のように前に書いた「NHK喫煙シーン」とかね。
    「答えありき」で話をしてきますからね。もう最初から決まっている方向へ、時には強引に持って行きますからね。煽りや誘導もありでしょうね。
    でも、その場には若い人だけではなくて、年配の方が多かったのに、もう少し冷静になれなかったのか、なんて思ったりもしています。
    >人は宝ださんへ
    「都合が悪いコメント」ではなくて、名前も書かない、誹謗中傷だけの内容は削除しますよ。あなたのような、後から斬りつけるような恥知らずなことをする人が増えました。
    今回のコメントも、何言っているのかさっぱり分からないのですが、情けです。せめて、もう少し常識を身に付けて人前に出てください。
    >消してもいいですよさんへ
    というか、そんな思想もないでしょうから。たぶん「共産主義」の意味も分からないと、日本語のレベルから想像しています。

  • blank


    権威の味方ばかりする「へたれ保守」は黙ってください!

  • blank

    つごうが悪いコメントは削除するのね。「派遣の品格」ですかぁ。時代は「OLにっぽん」です。今月までドラマやってたぁ。同じ作者でコッテス
    いつまでも批判的なブログで、まるで共産主義

  • blank

    こんばんは
    ぼくは、今日から年末年始休みといった処です。
    “労使交渉(?)”の様子をテレビで見ていてぼくは、“こりゃぁ、映像屋に乗せられているなぁ?”急造組合で、要求を短期決戦で聞いて貰うやり方じゃないぞ、そのやり方は…。
    映像屋:“現場の激しいやりとりのカットがほしい”だけ。
    聴衆:“いま、言いたいことってそういうことなの?”、“窮地だって言ってるけど、なぁ~んだ、まだ結構元気じゃん”、“生活苦なのはあんたたちだけじゃないんだぜ”で、派遣従業員の『代表意見』と解釈され、一般大衆を味方につけられなくなってしまうのでは…。と思ってます。(これは、以前、管理人さんがNHKの特集番組放映後に感じてておられたこととほぼ一緒かな?)
    立場をよく考えて、“生の窮状”を偽りなく“ポイント絞って”伝え、“歩み寄り”しなければ、『あなたたちには、交渉の“時間”も“回数”ないのだから…。せっかく、蓋が開いてしまったこの機会に』と思って見ています。
    思いつくまま書いてしまいました。すみません。

  • blank

    >>ラオウさま
    ご両親が働かなくても食べさせてくれたとありますが、仕事をしなくても収入があったという具体的な方法を教えていただきたいです。

  • blank

    派遣や期間従業員やリストラされても 生きていけるさ。 私の親は働かなくても 食べさせてくれた。

  • blank

    名無しコメントは、荒しとみなして削除してほしいです。
    この問題、国家や大企業に品格がないから国民に品格がないのか、あるいはその逆なのかは定かではないですが、マスコミの扱いも一面的すぎますよね。
    派遣切りの是非だけでなく、問題の根本をよく考えないと、いくら対症療法的に救済しても、また同じことを繰り返すだけだと思います。
    要は、過剰な輸出依存、自動車業界依存が問題なんですね。明治以来、確かに日本は輸出で国を支えてきましたが、生活レベルの向上とともに人件費もコストも上昇し、かつての日本のような「新興国」が増えてくると、もはや輸出依存ではやっていけないはずなんです。
    まして、自動車や家電製品は、必ずしも生活必需品ではありません。資源もなく、人口が減り始めたこの国で、アメリカ式の大量生産大量消費型経済には限界があるはずです。
    国内販売が頭打ちになり、そのままの適正規模で経営するか、海外に活路を求めるならば海外で生産すればまだよかったかもしれません。
    でも、配当の問題もあるし、国内で生産することに固執した結果、コストカットは下請けに押しつけ、非正規雇用の大量雇用で人件費を削減するという歪んだ生産形態になり、売上を伸ばしたことで、人も企業も輸出産業に集中してしまいました。前提になったのは、アメリカ産業の不振と円安という実に不安定な要素だけ。
    結局は自動車バブルだったのですね。
    そもそも金融危機だったのに、日本では自動車危機になってしまったのは、政府に長期的なビジョンが全くなく、海外に活路を求めた自動車産業を安易に後押ししてしまったのが原因だと思います。
    国内に限って言えば、もう車は売れないでしょう。都市化が進めば車を持つメリットがなくなるし、少子高齢化で運転人口自体が減ってきます。安易な支援は危険だと思います。
    輸出依存を是正し、内需拡大を図るには、政治のムダをなくしたうえで、ヨーロッパのような高負担高福祉社会を指向するしかないと思いますが…。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA