期間工そして失業者として

そう言えば(というのもおかしいかな:)ボクも失業者で、そして非正規労働者として働いてきたわけだけれど、ボクは自分自身の現状をある程度、自分に責任があると思っている。理不尽な使われ方からの退職(それも我慢すれば良かったのかもしれないけれど)そしてトヨタ自動車の期間従業員という選択、就職活動での失敗からの期間従業員としての再赴任、満了、再赴任という就労方法を取ったことが「間違いだった」そして「そういう選択をした自分に責任がある」と言われれば、きっと、そうなのかもしれない。
ボクの場合は、どうも「しかたないよね」と思っていて、それはボクの選択や世の中の仕組みや、政治なんてことに、対しての「しかたないよね」だったように思う。
ただ、多くの場合は、その道を選ばざるを得なかった、という事情もある。年齢、収入、そして地方の就職難(求人倍率の中には派遣会社の求人も含んでいるので、求人倍率をそのまま鵜呑みにはできない)ということ、それ以外に住居の問題などから派遣社員として働く人もいるだろう。
そういうことを理解して、そしてこうなることを予想出来ている人たちは、今回の雇用崩壊という問題に直面しても、冷静に対処するのだろうし、トヨタや大手企業から直接雇用されている期間従業員たちは、非正規という就労方法の中でも安全な選択をしたのだろうから、満料金や慰労金というまとまった収入が、その直近した退職と同時にあるのだし、そして失業保険の給付も多くの人はあるのだろうから、この状況にあっても冷静でいられるのだろうと考えている。
3万人という失業者のほとんどは、大小さまざまな、中にはペーパーカンパニーとも思われるような派遣会社に雇用されている人たちなのだろうと思う。そこが今回の問題の解決を難しくしている。
それに全てを労働者の責任にするのは、あまりにも、今度は逆に無責任だと思うし、あまりにも容易すぎると思っている。
このブログは、そういった責任の在処、というか、何が間違っているのかということを書いているのである。雇用というものを虐げてきたこの国の仕組みに、企業に異議ありと何度も書いているのだよ。トヨタだけが悪いのではなくて、そのような法律に変えてしまった政府も悪いだろう、そして何も言えない組合、ということだ。
虐げられた雇用の最大の被害者は非正規労働者だったのだから、善悪の観念などを問われることは、ボクは今回の場合はない、と思っている。各々のケースによってはあるかもしれない。しかしそれはここでは、そして雇用問題を語る時に必要ないことなのだから。
極論が多くなってきている。問題は、労働者の4割もが非正規労働者になったこと、そしてそれによって企業が利益を上げてきたこと、政治も企業も無策にも「切る」ことしかできないイマジネーションの喪失、なんてことを、何度も何度も書いているのだけれど、「お前は国が無くなってもいいのか」なんてメールもいただく。(返事はいちいちしませんが)、そうではなくて、はじめに国民(労働者あ)ありき、なのだということなのだ。
国がなくなってもトヨタがあるのが良いのか、国があってトヨタもあるのが良いのか、ということなのだよ。最悪は国もトヨタもなくなくということなのだけれど…。そのためには、昨日も書いたのだけれど、誰が苦しんでいるのか、誰がどうすれば良いのか、ということをイメージすること、考えることから始めないと、この国が終わると言っているのだ。

こっちも更新中。

四国遍路
少し驚いた。少し信じられなかった。少し怒りを感じた。少し不思議だった。少し苦しかった。……。よく分からない感情が少しずつボクの中にあった。雨靄が立ち込めていた。名残の雨が降っていた。
ボクは動けないでいた。

16件のコメント

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    怒りの種無し葡萄さん、こんにちは。
    イマジネーションの欠如というのは、もうほとんどの人に言えることなんだろうと思います。ボクたちは、もう目先の欲望にしか感じられなくなっているようでもあります。企業活動も、そして消費活動も。短期投資ということなんかも含めていますけれど。
    点は点で終わりそうにも思います。もうこの国自体が点描画のようですから。今日のエントリーで書きましたが、終わっているようにも思います。
    ありがとうございます。
    でも、旅と生き方はまた別問題ですから。行けば何かが得られるなんてのは錯覚です。

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    はじめまして。
    今更ながら、このエントリーに対してのコメントも何なんですが・・・。
    田原笠山さんのブログを最初から読みました。田原さんも記していると思いますが、わたしは、最大の問題は想像力の欠如だと思います。
    トヨタは多分、国家を目指しているのだと思います。もう日本には期待していない。いや、見捨てたという方が正しいのか。
    「企業は国家なり」、これが今の日本の大企業の目指すところだと思います。
    これほど全世界が経済的に結びついてしまった時代において、一グローバル巨大企業が「国」にこだわる理由なぞありません。
    あまりに巨大化しすぎてしまった。もう政府すらも従わざるを得ない状況があるのだと思います。
    もう、トヨタの経営陣は我らとは視点が違うのです。別の次元の視点からこの状況を俯瞰しているのです。
    しかしながら、日本の今の現実として4割にも及ぶ非正規労働者の問題は存在するのです。
    企業は生き残るが、日本は沈没・・・。あり得ない話ではありません。
    日本国内ではなく、世界戦略に切り替えてしまった企業に対し、期待することはほとんどない、いや期待してはいけないのだと思います。
    今や、資産の大半が60歳以上に集中していることに、もっと注意すべきです。
    しかもこの世代は人口が多い。若い、いや、中年以下の世代が臨界点を越えた時、
    今はまだ点と点ですが、いずれラインを形成する時代がくるはずです。
    5年後か10年後か。
    田原さん、生き延びて是非乱世を見ようではありませんか!
    田原さんは生き延びる術をお持ちだと思います。
    伊達にインドくんだりまで行っていないでしょ?
    すみません。ちょっと焼酎麦茶割りが効いてきました・・・。

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    葛田さん、こんにちは。
    ビックスリーの問題は、トヨタも絡んでくるのでしょうね。ビックワンになるのかもしれませんし。ま、それでも、解決にはならないでしょうが。
    4割、あるいはトヨタ自動車でも期間従業員が1万人もいて、関連企業を含めると数万人規模の非正規労働者がトヨタの街にいたということを異常だと分からないことも不思議でしたけれど…。

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    リーマンの破綻のとき、まさかと思いましたが、ここまでトヨタの業績に影響してくるとは全く想像していませんでした。ビッグスリーのうち、GMがかなりヤバいところに陥っていて、支援法案が廃案にされてしまったことも今後の経営を大きく左右しかねません。北米や中国などの市場自体が冷え込んでしまっているので、打開の目途が立たず、長期化すれば、ソニーなどの大規模なリストラが口を開けて待っている。それに比べたら、まだ何となく余裕が残っているように見えます。しかし、トヨタ城下町といわれる街の多くも、派遣や期間工を始めとして、地方から集まってきた人たちが去っていってしまったなら、商店街の客足がますます途絶えてしまう。仕事を失ってしまったなら、街を出て行かなければならなくなるという厳しい現実を、また、多くの人が味わわなければならないというのは悲痛なことです。アパートの家賃も滞納、電気も消されるという失業の苦しみも、人間を手段化した後での究極の差別のようなものかもしれません。おそらくこれも、味わった人でなければ分からないでしょう。

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    名無しさん、こんにちは。
    違和感、そうですね、ほとんどの人が違和感を感じると思います。
    ボクに「期間工に向いているから働け」と、このブログの趣旨をまったく理解していないことを堂々と言い放つし、今回のようなことになると「読みが外れていた」と平気で言う。
    そして「期間工急募の時期が来る」と、的外れのことを言う。
    今はその期間工をも含めた「非正規雇用問題をどうするか」ということが議論の対象になっているのに…。また来るから、働け、と言っているのでしょうね。
    そのあたりの、的外れな意見、ようするにピンボケした思考が、違和感に繋がっていると思います。正論を書いているようですけれど、ズレている、違和感といよりも。

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    >入社試験10連敗さんへ
    その削減がどこに向いているかと言うのも疑問ですね。それで雇用が守れるのならばいいですけれど。
    確かに正規社員にも影響はあるでしょうし、すでにあるのでしょうね。アメリカのように組合が強すぎるのも問題ですが、日本のように弱いのも問題ですよね。
    非正規労働者もそうですが、正社員の賃金も抑えてきたのが自動車産業ですから、ボーナスは抑えても賃金は守る、という協定はできているのかもしれませんね。まだ、余裕はありますしね。内部保留に資産も。
    期間従業員の次にはパート切り、生産に直結していない部門の閉鎖、影響はあるにしてもまだ先なのかもしれませんね。
    >名無しさんへ
    今回の件を「政治災害」だという人もいるようですね。志位さんだったかな。人災に対して自己責任論を押し付けるのはむごいってもんで。
    努力は報われない場合もあるでしょうけれど、それでも努力しなければ、というのがボクの考えです。
    そうですね、痛みを分からない人が多いように思います。
    >衣…父さんへ
    おひさしぶりですね。お元気そうでなによりです。
    父さんも、今となっては、良い時期に就職されたかなあ、と感じています。これからはまだ厳しくなるのだろうと思いますし。
    そういう意味では良かったなあ、と思ってるんですよ。また近況など教えてください。
    >まことさんへ
    ええ、読ませていただきました。
    えっと、きっと本当の寂しさとか、弱さを分からないと、まことさんの書いていることも分からないかもなあ、と考えています。
    人ってのは出来ないことのほうが多いし、無理なこともあるのでしょうし。自己責任論だけで片付けるのなら、医者も教師もなにも必要ないと思ったりもします。
    >負けないさんへ
    そうですね。最後は切られて、捨てられたのですからね。その数も問題ですよね。なにがなんでも差別しましたから。容赦ないイジメのようにも感じています。
    >通りすがったさんへ
    「影響してくる」のではなくて、すでに影響していて、企業は少し先を見ていますからね。
    その「手段」も特別新しい考えでもなくて、よく言われることで、ニッチな業界への進出ってのも、今はかなり難しいのかな。
    ま、下のコメントのように、あまり気持ちの良い言葉ではないですね。前も言っていたのですが、そんなに興味があるのなら、あなたが期間工になってあなた自身が体験談を発表するべきですね。
    ボクが言おうとしていることも理解してないで期待されても…。
    >通りすがったへさんへ
    ま、通りすがったさんは、ボクに非正規になるように強引に推薦していて、そしてボクがどうなるかを、楽しみたいと公言していた人ですから。
    そして「読みがはずれた」と無責任なことを簡単に言う人ですし…。
    世の中にはいろいろな人がいますから。
    >ダ・モンデEXさんへ
    あ、このHNは、良いですね。フランス人みたいで。
    ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。
    というか、ジャン・ダラリン、なんて人はいないのかなあ。
    もうすぐしたら冬季休暇ですね。

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    通りすがった須藤DEATHは池沼ちゃんだからスルーしておけ

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    通りすがったのコメントにどうしてこうも違和感を感じるのか?
    俺はやっとわかったよ。
    上から目線どころか、相談・質問に対する返答のスタイルをとっているからだ。
    駄目だ。コイツは知能が足りない。
    どうするのかどーするのか?
    って、まず自分がどーするのか書きなさい!

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    赴任したての教育期間にこのブログを発見して以来、ファンになりました。
    田原さんは、期間工、非正規労働者の代弁者だと僕は思っています。
    自分では表現できない心の中のモヤモヤとしたものを、美しい日本語で綴ってくれるから。
    いつもありがとう。

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    自分の期待やら要望を皆の期待だとかなんとか勝手な屁理屈つけて押し付けるな

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    日本の自動車産業も波がありますから。
    円の動向、原油の高い、安い。米国の株価…いろいろな条件が日本の自動車産業に影響してくると思います。
    期間工という選択肢は確かに現時点では厳しいでしょうね。
    ただし、いずれ、それがいつかは分かりませんが、また日本の、トヨタの期間工急募という状況は必ず起こるでしょう。
    その時どうするか?
    その時の自分はどうなのか?
    未来に期待するというのも非現実的だとは思いますが。トータルな自分の人生?みたいな物を有る程度考えていく必要はあるでしょうね。
    以前、終身雇用というシステムよりも、実力次第で稼げる年俸制とかもてはやされた時代もありました。特に外資系とか。
    ちょっと景気がぐらつくとやっぱり終身雇用だよな…って移ろってしまう。
    もっと景気がぐらつくと終身雇用すらありえなくなってしまう。
    あまり参考にならないかもしれませんが、いずれの状況にも負けない仕事というかお金を手に入れる手段で言えば…
    自身が雇用主に成る或いは、常に売り手市場の業界に身を置く ではないでしょうか?
    ここまで書きましたが、僕は以前、管理人さんに、トヨタ以外の自動車メーカーで再度期間工をしてはどうか?と書いた経緯があります。
    その読みが大きく外れたわけですね。
    いずれ、トヨタが期間工急募の時期は来ますよ。必ず。
    ただし、それまで時間は経つ、管理人さんも歳を取る。
    さて、どういう選択肢を取るべきか?
    管理人さんの具体的な方法論を物凄く期待しております。

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    「区別」→「分断」→「差別」というふうに正社員と非正規社員の関係は変化したんでしょうね。

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    田原さんの復活からコメントしているうち
    久しぶりに更新しました(一日だけか続くかわかりませんが)
    これも田原さんの影響するものが大きいのかもと思ったりします。
    自分も動けないでいます
    心が動けないのです。
    愚痴ですいません。。。

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    本当にご無沙汰致しました。
    田原笠山さんのブログは日課の様に愛読させて頂いております。
    あれから父さんは一年で満了となり故郷に帰り家族と共に暮らしております。仕事も収入は減りましたが隼社員として暮らして居ります。
    トヨタショックに始まり大変な時代になりました。新しい職場でもトヨタとは違った質の人々と関わり様になりました。
    今は様々な人種に負けぬ力強さが必要な父さんです。

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    運の良し悪しでどんだけ勉強してもそれなりの学校に行っても人生に期待出来ない(コネ)社会ですね。
    世の中に政治家や国家公務員だけの人間しか居なくなったら庶民の痛みを分かるのでしょうね。
    そして、トップの役員達が汗水たらして車を作る時代だが来た。
    な感じします。

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    管理人さん、こんばんは。
    トヨタは期間従業員の削減に続き、今度は役員・管理職の賞与削減(役員は賞与ゼロ、管理職も10%削減、約10憶円の削減)、この影響は今後、それ以下の正社員にも及びますね。
    人事考課もさらに厳しくなって、今後の賞与にも影響します。
    同期入社同士(正社員、新卒採用)での「格差」「差別」が一層強まりますね。出世レースというか・・・
    自分も最初の会社にいた時に人事考課がありました。しかし、入社3年目で人事考課の方法が変わって、全く関係ない第3者(他工場から異動してきた嫌われ者)に改ざんされていました。自分のみならず、先輩・後輩までもそうでした。
    その頃賞与も減額になったので、いつかは勤続年齢関係なく貰えなくなるだろうと・・・
    ちなみに、都内大手ディーラーに勤務していた知人(セールスマン)は「年齢関係なくボーナス貰えなかったひともいたよ」と言ってました。
    給与・賞与は「下げるのは簡単だが、上げたり元通りするのが難しい」
    これは賃金面のみならず、仕事やスポーツ、組織の編成面などでもいえることです。
    例えば、日産がいい例です。
    業績悪化で賞与カット、さらに経営陣刷新等で人事考課が一層厳しくものになり、業績回復するものの、社員の賞与は思うように上がりません。こんなところです。
    ひょっとしたら、人事考課に嫌気がさし、派遣に転じた人がいるような気がします。

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