ポロメリア、四月の風

桜 ポロメリア、4月の風

四月の風、あるいは、Coccoのポロメリアをずっと聴きながら……。

街灯に照らされて公園の桜は少しだけ頬を赤らめている。

満開の桜はその公園に一本だけの桜。

冬はひっそりと枯れている。

夏はその哀しみに打ち震えている。

岬へと続くその道沿いの公園はいつも季節を問わず、例えば雨の日に打ち捨てられた雑誌のように、時間の片隅に置き去りにされて、そこにある。

夜、ひっそりと散歩する。

ウォークマンを聴きながら歩く。それもかなり大きなボリュームにする。まわりと聴覚が遮断される。目だけは風景を確認する作業を続ける。いつもだいたい似たようなコースになる。その公園の傍を通ってたまには駅前に行ったり、通り過ぎて岬に向かって歩いたりする。逆方向へはほとんど行かない。不思議なもので、その方向(北になるのだけれど)は本能的に避けるのだろうか、行かない。

そして帰ってくると、またタメ息をついてしまう。

もう哀しみが居ついてしまっていて、この部屋にいるとそいつらにしがみつかれてしまう。

結婚もしなくて、子供もいなくて、よかったと思う。

あるいは結婚していて子供がいたなら、こんな状況ではなかったかもしれないけれど。自分ひとりだけのことを気にしていればいいのだから。自分が生きている間のことだけしか興味がなかったりもする。それは悪いことなんだろうけれど。

地球環境なんてことに興味がなかったり、この国の将来のことなんかどうでもよかったりする。とりあえず明日の食べ物があれば、なんてレベルだったり。「この子の将来のために」家族が大切なのは、そういう思考をすることが大切だからなのだろう。

今のボクにはほとんど欲みたいなものがなくて、人を羨ましいと思ったりすることもなくて、恥かしいと思う部分も消えかかっているようにも感じる。

春になれば、春になれば。その春が来たのだけれど。何も変わっていなくて、いよいよ何も感じなくなってしまっているような…。
そういえば岬へ行く途中にボクはその公園を見ていた。日曜日。

いつも通る公園なのにまったく違う公園に見えていた。

時速40キロほどで流れてゆく風景。

もう繋がってはいられない過去とか今とか明日とかの関わり合い。

風もその車の速さで動き始めていた。

ふと思い出していたんだ。

繋がれた風さえ動き始める
岬にやさしい雨の跡
強い光は影を焦げつかせて 冷えた
愛から覚めるように

ポロメリア Cocco

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ひきこもれ-木漏れ日の引き蝙蝠

8件のコメント

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    gomapapaさん、こんばんは。
    いつもありがとうございます。
    桜も明日あさってまでかなあ、なんて感じですね。落ちた花びらが綺麗な頃ですけれど。
    今年は暇でしたので毎日公園に行って桜見の日々でした。
    リンクはどちらでも…。
    すみません。

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    大変失礼しました
    写真元のリンクですよね
    初心者なのでご容赦お願いします
    ONEDAYの桜おみごとです!
    写真だけ見てもいろいろなストーリーを感じさせる
    なかなかできないことだと思います
    これからも楽しみです

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    gomapapaさん、こんばんは。
    鬼束ちひろも良いですね。
    coccoは最近聞き始めたのですが、ずっと「ポロメリア」ばかり聞いています。リピートさせたままで聞いているので…。
    ありがとうございます。

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    ありがとうございます
    さっそくリンクさせてもらいました
    ポロメリア 
    以前出ていた鬼束ちひろの月光
    ともに自分にとって魂を揺さぶられる曲です
    そして管理人さんの文章も僕にとっては
    とても心が落ち着くものになってます
     

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    gomapapaさん、こんばんは。
    ありがとうございます。
    最初の頃のほうが良かったかなあ。最近は失業中で自棄気味に殴り書いたりしているので…。
    画像は煮るなり焼くなり揚げるなりして下さい。
    リンクしていただければありがったかったりします。
    三島の日大には昔行ったことがあります。三島駅でわさびを買ってお土産にしたことを思い出しました。一本500円とかで、もう十数年前ですけれど…。

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    はじめまして
    ネット検索しててたどりつきました
    今は最初から読んでてやっと07年3月まできました
    僕は4月中に管理人さんの過ごされた田原市にある笠山や姫島に旅行に行ってみたいと思ってます
    以前のエントリーの写真を僕のブログに使わせて頂けないでしょうか
    桜の写真です
    こんなに感動したブログは初めてです
      

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    あまり聴く事はないのだけれど、この歌が一番好きかなあ。
    情景表現も素晴らしいのだけれど、対比させながら強調する手段もうまいなあと思いました。「繋」「強」なんていう韻を踏みながら、風景を浮き上がらせる(風とか雨とか影)なんてことや、やさしい、強い、冷えた、なんて形容詞でのたたみかけとか…。
    「繋」がれた(風)さえ動き始める
    岬に<やさしい>(雨)の跡
    <「強」>い光は(影)を焦げつかせて 冷えた
    愛から覚めるように
    なんて使い方とか…。
    このあとのフレーズ見上げれば 終わりをみたこともないのほうが有名なのだけれど、ボクはここにCoccoのすごさかなあ、なんて思っています。

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    Coccoのポロメリアは、10年前中学1年の時に初めて聴いて、歌詞の意味を理解できる様になった頃、とてつもない寂しさに見舞われましたね。笑
    (雪が溶けて春が咲けば、夏を殺し秋が生まれた)
    詩が怖いと言う意見もありますが、彼女の表現には本当に考えさせられるものがたくさんあります。

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