時の旅人

Tちゃんからお中元が届く。
年に2度、それが生きているという合図のように届く。十数年会うこともなく、その2度の合図だけの付き合いが続いている。いろいろなことがふたりの身の上に起きた。Tちゃんの場合は普通なら起き上がれないほどのダメージを受けたのだけれど、そこから大逆転をした。結婚もして子供も今年生まれたそうだ。
ボクたちは30を過ぎて大学に入学した。Tちゃんは学校の近くにアパートを借りて、そして新聞配達をしながら卒業をした。この国は豊かだ。貧困を知るとそのことが良く分かる。それはなにも物だけではなくて、学ぶということについても言える。例えば発展途上国では小学校すらいけない子供たちがかなりの数いる。食物だけではなくて、教育にたいしても飢餓状態にある。学びたくても学べないのだ。
日本は豊かだ。ブックオフに行けば100円で学べる本が売られている。高校や大学も通信制や2部なんて方法での機会もある。飽食の時代、と同じで、飽学の時代でもあると思う。格差が拡がり、貧困層が増加しているとはいえ、食も学も飢餓状態に陥っているという人は少ないはずだ。
ただ気持ちが疲れてしまって、学習への信憑性が薄くなっている時代だとも思う。そんな2部とか2流なんて学校を出たからって、どうせ非正規雇用でしか働けないのだから、という気持ちが蔓延していると思う。努力しても報われない、と多くの人が考えている。切られて終わりの世の中なのだから。
それでも努力しなければ何も始まらない。信じられなくても、裏切られても、それでも信じなければならないということなのだ。ボクもそう思ってきた。そして去年はパソコンの資格も取った。そんなもの必要ないという人も多いだろうけれど、そして確かに資格よりは使えることのほうが重要なのだけれど、使えることを証明するものが欲しかったのだ。
そしてやっぱりこの世の中には学べる方法や場所が潤沢にある。それも廉価でだ。あるいは無料で、お金をくれる職業訓練まである。
今はこんな雇用状況でなかなか就職も決まらなくて、気持ちも折れそうになる人も多いのだろうと思う。最初のうちはまだ希望もあっただろうけれど、不採用が重なると人格まで否定されているみたいで、外に出るのも億劫になると思う。そしてハローワークに行くのが怖くなる人もいるだろう。まだハロワに行って面接を受けている人はいいのだけれど。
ボクは、行かなくても良いと思う。ハロワ行ってもあまり変化もないしね。週に1回、散歩がてらに行くぐらいで良いと思う。ハロワラテを飲みに行くだけでも良いと思う。そのかわりに、少しだけ何か学ぶことをすればいいかなあ、なんて思っている。前にも書いたけれど、失業うつにならないためには、何かしていたほうが良いと思うのだ。
Tちゃんからは「時の旅人」と「のみちょれ」という焼酎セットが届いた。大分県にある藤居酒造というところが作っている焼酎だ。ボクはその酒造所も焼酎も知らなかった。
「時の旅人」そんな感じで、いつかきっと非正規で働いたことが、派遣で切られたことが、期間工で雇い止めされたことが報われる時が来れば良いのにね、なんて思っているのだけれど。閉じこもっても良いから、何かを学ぶ姿勢だけは捨てないほうが良いと思っている。
Tちゃんのように、40を過ぎてから大逆転が出来る人もいるのだから。そうそうそのまんま知事も40を過ぎてからだったね。そういう意味では夢や希望はまだある、と思っている。頑張れ<オレ。
時の旅人、のむちょれ、焼酎セット

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