規制緩和と減車、タクシー4万5千台余分、国交省が減車求める

規制緩和して増えすぎたので、今度は減車しろ、と言うことらしい。市場の失敗、共有地の悲劇、2002年の緩和が失敗したから増えすぎた。そして今、45,000台も減らせと言っているのだ。どうやって減らすのだろう。そして2車3人体制で車両管理しているとして、30,000人のタクシー運転手が「余分」になる。1車2人体制でも、22,500人が余る計算になる。大リストラ、にはならないのもタクシー業界の不思議。

さてさて、ETC割引やエコカー減税、エコポイントが環境のためではないことは分かった。

では一体何のためのものか、と言えば、簡単なこと、「経済」のためなのだ。資本主義国家であるということの宿命は経済が何事にも優先するということ。それは人権や人命なんてものよりも大切なことだということを、ボクたちはすでに知っている。

エコという国策

自動車産業や家電産業への景気回復のために「エコ」の名を冠した国策が行われる。連休、高速道路は渋滞でノロノロ運転、停車と発進を繰返す。それまでは電車やバスで移動していた人たちも、1000円につられて長距離を移動する。大量の車がCO2を発生しやすい状態で高速道路に密集する。

エコカーでもCO2は排出する。結局は同じことで、エコカーを増やしたところで、CO2はそれほど削減できないでいる。

ただ、自動車産業は儲かる。エコカーに買換える、そして高速運転をして走行距離を増やす、買換え時期を早める。事故の確率も増える、そうなると今度は事故替え。メーカーにとっては、どういう形でも売れればいいのだから。壊れないのならば、とにかく10万キロというデッドポイントまでいかに早く到達させるか、簡単なことだ。

高速道路無料化

高速無料化なんてなると、もっと長距離を高速で走行する人が多くなる。

高速走行のために整備もしっかりするようになるだろうし、不安感から早めの新車購入になるかもしれない。ユーザー車検は廃れディーラー車検でたっぷりと安全を買うようになる。

国の大掛かりな政策で電車やバスを利用する人が減少する。GWの豊橋駅はガラガラだ。自動車メーカーの多い愛知県では自動車保有率も高い。そして街の公共交通機関が未発達なところも多い。

タクシーが減車の理由

電車やバス利用者の減少がそのままタクシー利用者の減少に繋がる。駅前が寂れてゆく。高速無料化ではなくてJR無料化にでもなったら、多くの人がJRを利用して旅にでる。そして駅からバスやタクシーを利用する人も増えるだろう。

そう物事は単純ではないにしても国の政策というものは矛盾していることもある。

規制緩和でタクシーを増やして、そして過剰になったからと減車を求める。

タクシー4万5千台「余分」 国交省が減車求める :asahi.com(朝日新聞社) 社会
全国で約27万台が走るタクシーの適正台数を国土交通省が利用客数などに照らして試算したところ、約6分の1にあたる約4万5千台が「余剰」となったこと が分かった。国交省は地域ごとの余剰台数をタクシー会社などに提示して減車を促す一方、個人タクシーの新規開業を当面凍結する方針だ。

タクシー減車

「余剰」だからと言って、例えば国が企業にリストラを求めるのだろうか?企業に工場の閉鎖を求めるのだろうか?設備投資の縮小を求めるのだろうか?

隠れ需要の顕在化

パイは減少したのだろうか?もしそうだとしても配分を問題にするよりも、パイ自体を大きくしようということを第一に考えることが肝要だと思うのだけれど。例えばETC割引やエコカー減税のような政策をタクシー業界に対して行うことが出来ないものだろうか。

通院、入院のためにタクシーを利用するときには保険を適応できるなんて健康保険法を新設するとか。身体障がい者割引を1割なんてケチなことを言わずに5割引きにする、高齢者割引も5割にするなんてことも考えられるのだけれど。

「減車を求める」ということは、タクシー運転手にとっては良いことなのだろうか。人員が同じならば労働時間は短縮されるかもしれないけれど、収入も減少する。減車に伴い人員削減するのならば、派遣切りならぬドライバー切りではないのだろうか。それも国が要求するとしたら…。

やっぱり人権や人命よりも、この国においては経済が最優先されるのだとうと思う。派遣法によって企業利益のために労働者を使い捨てにしたように、規制緩和して増車し、増えすぎたら減車というのは運転手の使い捨てのように聞こえるのだけれど。タクシー運転手が雇用のセーフティネットになっていることを考えると、簡単に減車と言えないと思うのだけれど。

水上ビル、夜明け
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