地震

バス停には長蛇の列。「神立ち」どころか「神行列」になっている。こうなるとタクシーも忙しい。手を挙げて、なんてケチなことをしているといつまでたっても乗れないでいる。こんな時には一万円札二、三枚を振ると「お、上客だね」なんて運転手も停まってくれる。
「混んでますよ、お客さん」なんて言われて「どうしようかなあ」なんて逡巡していると「じゃ、降りてもらいますかね」なんて強気の運転手もいるだろうから、こんな時は「いや、時間はかまわないんだよ」と答える。ついでに「いくらかかってもかまわないんだよ。今晩中にでも着いてもらえばさ」なんて言うと、「はい、かしこまりました」なんて裏道抜け道を通って、思わぬ早い時間に着いてしまう。タクシー運転手も人の子、上手に使っていただければ…。
その行列、渋谷駅前の話。こっちでも新幹線が止まったから少しは忙しかったかもしれない。ボクはというと夜勤明けで、ウトウトと布団の中。「ん?ユラユラしてるね」「なんかふらふらしてるね」なんて自分の体調のせいかと思っていると、天井に吊るした電灯もグルグル回っている。
「地震だ」と分かるまでに少し時間がかかった。それからテレビのスイッチを入れて、その大きさに驚く。驚くのだけれど、どうしようもないので、再びウトウトとしてると、ユラユラ。ウトウト、ユラユラ。
被災者には申し訳ないのだけれど、クライストチャーチの地震も今回の東北地方の地震も、やっぱり画面の中での出来事でしかない。それどころか「新幹線止まって忙しいかねえ」なんて不謹慎なことを考えるのだから、きっとバチがあたる。
政治も経済も沈没状態。そろそろこの国じたい沈没するのかもしれない。それもやっぱり他人事のようでもある。戦争待望論みたいのがあったけれど、大地震で国が変わるかもしれないという期待をしている人たちもいるだろう。
家も車も家電もすべて、地震で失うとしたら、そんなもの買うんじゃなくて、そうだなあ、貴金属にしていつでも持ち運べるようにしたほうが良いのかもしれないね。この地震で東南海地震がドンと起こるかもしれないしね。明日にでも売っぱらって換金したほうが良いかもしれないか。持たないことが一番の地震対策、そう思うのだけれど。
管首相の「助け合いの気持ちを持って」というコトバがなんだか虚しい。

向山公園にて

5件のコメント

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    痛風さん、おひさしぶりですね。
    こんな形で再開するとは、思ってもみなかったです。
    無事でなによりです。
    確かにそうですね。避難所を安全な場所に設置して、そこに移送するということのほうが良いのではないかと思います。特に治療を必要としている人なんてのは、そのほうが安全ですしね。
    タクシー仲間でも、ガソリンは不足していてもガスはあるのだから、タクシーを利用して移動や輸送なんて手段に使えばという意見もあります。
    寛容さ、というか、機転というか、いろいろなことを考えられるイマジネーションというか、そんなことが非常時には求められるのでしょうね。
    まあ、とにかく、痛風さんが無事でよかったです。

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    お久しぶりです。
    実は現在放射線測定の仕事をしてまして、地震の時は福島第1原発のタービン建屋にいました。
    揺れと轟音とで死ぬかと思いました。
    宿泊先が原発から10km圏内だったので、2日間避難所で過ごした後、関西に脱出しました。
    避難所はマジで悲惨でした。
    電気も燃料も毛布も無かった。
    夜中に突然わずかなおにぎりが届いて、暗闇の中で奪い合い・・・
    ガソリンは地震の直後から手に入りませんでした。停電してると給油機が動かないからです。
    広い範囲で停電していたのでどこのガソリンスタンドも閉まっていました。車があっても脱出できない。これは辛いです。
    私は賭けに出て車での脱出を図ったのですが綱渡りそのものでした。5リットル10リットルと少ししか給油してもらえないので、常にガス欠の不安がありました。
    残った地元の仲間と連絡をとってますが、非常に厳しい状況です。
    燃料を真っ先に供給してくれていたら、県外にあてのある人は自力で脱出できるし、避難所の人数も減って手厚いケアができるんです。
    被災者を閉じ込めてロクな支援をしない政府は何なんですかね?

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    今井Kさん、無事でなによりです。
    そうですね。茨城や千葉はほとんど報道されません。県北、高萩の避難所の様子がNHKで流れていましたが。
    被災地格差みたいなものが心配です。なにか出来ることがあったら連絡してください。
    寒さが続いているので、体調を崩さないようにしてください。

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    あーどうも。
    被災しちまいましたよ!
    まぁ五体満足で不眠不休の復旧作業中です!!
    茨城が全っ然報道されてないマスゴミと
    命を守りたいとか国民の生活第一とかぬかしてた
    どこぞの政治家は無視して生きてく決意でございます

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    たまに拝見させてもらってます熊本のassorouteといいます。
    やっぱり自分が体験しないかぎりは人間は普通に寝れてしまう生き物なのかもしれませんね。
    子どもの頃種子島に三年いました。そこでは台風は当たり前で60mの風は当たり前。外に出ようとは思わず皆家で体を休めるきっかけにしてました。何かあれば動かなければならないのもあるからです。でも家族で熊本に帰ってきたらその常識は通用しませんでした。台風はかすめることが殆どの熊本では直撃の恐さは知りませんからね。
    地震のニュースを見ながら母親が「関東北海道の知りあいへ連絡とるのしなかった、被害あったと言われてもどうこうできないし回線パンクさせるから」
    安否が気になる人、心配される側の人とでは意識はずれます。新宿の駅で安否気遣う電話以外で長電話で雑談してピースしてる人の姿が映っていました。
    警告されても自分が水に浸かって泥にまみれる寸前まで手元のスナックを食べられる、自分も含め画面に頼ってるとそうなってしまいがちです。
    当事者になったときスナック食べて写メなんか撮らない自分であってほしいと願うことしかできないのが正直なところです。
    長文失礼しましたm(__)m

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