北斎が来てくれました

「真景累が淵」の圓生師版を朝から8時間弱聴いた。怪談噺なのだけれど、「ギャー」とか「キャー」なんて悲鳴を伴ったものではなくて、「う~ん」なんて唸ってしまう怖さ、というのが日本のこの手の物語の手法のようでもある。

ドラキュラが出てきて血を吸うのでもなければ、復讐に燃えて破壊するのでもなく、「怨めしい」のであって「祟る」のである。それも人の手をかりて、何世代にも渡る。「水戸黄門」や「忠臣蔵」のテーマであるボクたちが大好きな勧善懲悪の裏にある、これまた大好きな因果応報というものが根底にあって、何代もの間これでもかというぐらい、あるいは根こそぎ血を絶やしてしまう(実はそれがボクたちの美徳の裏側にあるものだけれど)、その執拗さがボクたちをゾッくとさせる。日本の怪談の恐ろしいところななのだ。

お昼までずっとその「真景」を聴いていた。外は今年一番の暑だったらしい。お昼ご飯に蕎麦を食べて、それから二川まで出かけた。二川宿本陣資料館で「葛飾北斎展」をやっているからだ。怪談噺のあとは浮世絵に決まっている。(決まってないかもしれないけれど)

「凱風快晴」や「神奈川沖浪裏」なんてのを見ると、やっぱりゾッくとする。怪談噺のそれと同じような感じ。少し前ホッチキスと話したのだけれど、きっとボクたちってのは洋画を見るよりは日本画を見るほうが、すんなりと理解できるのだろうと思う。それは言語において「bawbaw」が「ワンワン」に「cock‐a‐doodle‐doo」が「コケコッコー」と聞こえるのと同じで、根本的に感じ方が違っているからだろうと思う。

あ、女子マラソンが始まった。

葛飾北斎展二川宿本陣資料館

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