梅雨空と父の日

「まだ夜の尻尾が山裾に残っていた」

あの頃の田原笠山は良かったね、なんてメールを頂いた。ボクもそう確かに思う。「四国遍路」の頃、2008年の秋から冬、そして2009年あたりのボクはと言えば、就職活動に疲れていて、というかもう人生に疲れていて、その疲弊した身体と心から澄んだ言葉がポロリとこぼれていた様に思う。

四国遍路

豊田勇造さんの「海の始まり」に「働き始めた友だちの目つきに寒気感じ旅に出た」という歌詞があるけれど、きっとボクたちは何かを得るかわりに何かを失うのだろうと思った。
でもね、まあ、文章を書くプロでもないんだから、しかたないじゃんね。

さて、気を取り直して……。

15日は父の日だった(そうだ)。スーパーの惣菜売場には「父の日コーナー」を設置していて、なんとなく「ふ~ん、父の日なのか」と気づいていたのだけれど、父もいなければ、父と呼んでくれる人もいないので、結局「ふ~ん」で終わってしまっていた。

「父の日に総菜コーナーの寿司かよ」なんてことも少しは思ったのだけれど、それとて他人事なのでやっぱり「ふ~ん」と通り過ぎた。鮮魚コーナーもそんなpopがあったかなあ…。

じゃあ、ボクが父だったら父の日に何をしてもらえたらうれしいか、なんて考えてみた。う~ん、う~ん、う~ん……プレゼントっていっても、好みもあるしね、惣菜コーナーの寿司もうれしいけれど、そんなの父の日ではなくて、食べたい時に食べたいし、どうせなら回る寿司のほうがうれしいし……。現金が一番、といっても、結局その現金の出所ってのは父の給料だったりするので、花見酒のようなもんだし。

と、まあ、父じゃないので、それぐらいしかイメージできんわな…。

でも日本中の父たちは、子どもからのプレゼントならなんでもうれしいんだろうね。「お父さん」なんて絵をプレゼントされたりして、喜んだりするのだろうね。でもそれも子供が小学校低学年までか。う~ん、父の日って昔からあったのかね。どうも思い出せん。母の日の想い出はいろいろあるけれど…。

父の墓参りに、もう10年は行ってないなあ。こういうのを親不孝というのだろうね。父が死んで、ボクたち兄弟は些細なことで仲が悪くなり、ボクはこうして豊橋に住んでいたりする。

いや、遺産相続なんてドロドロしたことではなくて、ボクたちは父親を中心にして家族というものを築いていて、その求心力をなくしてしまった、ということなんだろう。父が生きていれば、きっとボクはかなりの確率で説得されて自我なんてものを押し留められたのだろうし。

というか、絶対的な権限を持っているレフリーみたいなもんで、白黒ハッキリつけて謝るところは謝ることができただろうし、ボクの正当性もキチンと評価してくれたのだろうけれど…。

まあ、父親ってのはそんなものかもしれないね。レフリーみたいなものかもしれないね。たまには鉄拳で審判することもあるのだろうし…。

今のボクの年齢のころの父親はもっと大人びていた。きっと子供を育てるということは、大人になることなんだろうなあ、なんて思う。(当たり前か)という、ボクは、父でもなくて、親でもないので、きっとこのまま子供みたいなまま、老いてゆくんだろうなあ、なんて考えるいる。

それは、どうなんだろう、それでいいのかもしれないけれど、それは生物学的には異常なことなのかもしれない。そうしてボクのような親にならないヒトが増え続けれるのも、またヒトにとって不幸なことなのかもしれないと思う。

そう思ったところで、んじゃコンビニに行って、とか、スーパーに行って、なんてことで子供が出来るってことでもないし、育てる甲斐性もないのだから、う~ん…。誰かボクと子供作りませんか、なんて言っても、「わたしでよければ」なんて奇特な人もいないだろうし、まして作ったところで、今度は育児なんてこともあるし……。

「わたしが育てるので、あなたの子供を産ませてください」なんて女性いるかなあ…。ちなみに、もしいたらメールください。

はあ~、やっぱり昔の田原笠山は良かったね。じゃんじゃん。おしまい。

紫陽花 2014年

2件のコメント

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    415さん、どうも。
    そういえば、父の日には父のことを何度か書いていて、ちょっと探してみました。というか、いつも同じようなことを書いていて…。
    <a href="http://t-kikan.jugem.jp/?eid=1555">父の日に | トヨタ期間従業員に行こう</a>
    とか、
    <a href="http://t-kikan.jugem.jp/?eid=1912">父の日 | トヨタ期間従業員に行こう</a>
    とか。
    もっと昔に
    <a href="http://t-kikan.jugem.jp/?eid=96">父の日 | トヨタ期間従業員に行こう</a>
    とか…。
    ボクも昔は、家庭なんてことを夢見たこともあったかなあ。今はもう無理ですが…。
    きっと家庭とか家族ってのが、しあわせの素なのかもしれないなあ…。ひとりだと引きこもりがちになるし……。

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    はじめまして
    いつの頃からか、こちらのブログを拝読させて頂いています。
    心に響く、文章や写真なども多く風景写真、特に夕焼けや何気ない静物写真に興味をそそられます。
    私も多少カメラを趣味とするのですが風景や静物などは感性とかセンスでどうもその手の物は持ち合わせて無い様で納得がいく物が撮れた試しがありません。
    失礼とは思いますが、博学で、勉強家とお見受けする田原笠山という人物にも関心がありました。
    父とか親に関しての今日のテーマ・・・
    私も二児の親で、試行錯誤と自分の事は棚上げ方式で嫁さんと両親の多大なる協力の元なんとかやっています。
    何時までも、大人になりきれない思いは親をやっていても何となく同じで、落ち込みや反省も多いです。
    でも、子供がいるからこそ頑張れたり勇気が出たり、と言うのも事実で自分が教えられる事、してやれる事、自分の世代が伝えたり残してやれる事を常に意識しています。
    何が書きたいか分からない、とりとめのない文に成りましたが、これからも時に面白く時に為になり感心でき時にチョットちがうくないか?(笑)と思える素敵な書物を書き続けて下さい。
    仕事の合間に、タブレットからの投稿ですので、改行等乱文乱筆はお許しください。

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