台風15号
2015年8月25日
九州に上陸して各地に被害をもたらしているようだ。台風のニュースを見ていたら朝になった。台風のニュースに、見なれた風景が映し出されて懐かしくなった。
朝ごはんはサツマイモをレンチンして食べた。子芋だったのだけれど、これぐらいのほうが甘さ控えめでオジサンには優しい。昨夜干した洗濯物が風に吹き飛ばれそうだ。こちらにも同じ台風の風が吹いている。
見なれた風景は内部腐食をしていたとしても頑強に見える。ビルは、鉛色の空を背景にパルテノン神殿のようだ。
子供の頃は、台風が来るとなんだかワクワクしていた。停電してロウソクの灯りで過ごした時間が懐かしかったりする。ラジオの台風情報を聞いていた。かまどがあったので、それに五右衛門風呂だったので停電してもそれほど不自由ではなかった。街は今よりも涼しかったように思うし、空気は今よりも澄んでいたように思う。全てが機械式ではなかった。
台風は来るものだった。停電も起きるものだった。避難勧告なんてものも出たことはなかったし、そういった概念もなかった。こんなに大騒ぎすることも、あの頃はなかったように憶えている。
たぶん、街が脆弱化したのだろう。人々も同じように自然に対して弱くなってしまったのだろう。体力的にということではなくて感覚的にということだ。
巨大な建造物と豊富な食物を手に入れても、ボクたちは神にはなれぬ。