新生活の季節。はじめての独り暮らし。携帯電話でいつでも家族とつながっているようで、実は繋がっているのはネットの世界なのかもしれないと、切り干し大根を戻しながら考えた。
切り干し大根の戻し方を知ってますか？

今までお湯で煮て戻していたのだけれど、そうすると風味がなくなるので、水で戻した方が良いと言うことを、今日ネットで調べて知った。ついでに水で戻しただけで煮なくても食べることが出来るらしい…。

切り干し大根を水でもどして…

ネットなんてなかった時代、ボクが独り暮らしを始めた頃はそうだったのだけれど、その頃だときっと母親に電話して「切り干し大根ってどうやって食べる？」なんて聞いたに違いない。同級生や職場の女性に質問をすることもあったのだろう。そうやって母親には無事を伝えることができたし、質問したことから恋に発展する、なんてこともあったに違いない。

今は、今日のボクのようにcookpadやnanapiなんてところへ質問をし答えを求める。母親がいなくても家事の問題は解決する。家事だけではなくて、ほぼすべてのことについて即座に解決してくれる。コミュニケーションが「Hey,Sili」だけで完結するのだ。

それはそれで便利なことなんだろう。それはそれで幸せなことなんだろう。それはそれで豊かなことなんだろう。

でも、なにか違和感がある。ボクたちの先生はいつも、検索で上位に表示されるサイトやブログやSNSで、検索エンジンとかそのSEOなんてものが決定するとても機械的なモノなのだ。地域性とか季節とか人の温もりなんてものを一切合切省略して機械的に合理的に論理的に「表示」してくれる。

ボクたちの選択は人間らしさみたいなものを排除しようとしているのだ。そのうち電話なんてものもいらなくなる。タクシー配車アプリのように、とてもシンプルに欲望が充足されるようになる。

でも、やっぱり、分からないことは、いや分かっていることでさえも、母親に尋ねたほうがいい。同級生や同僚や、近所の人に聞いたほうがいい。そのほうが良いに決まっているし、そこの部分を捨ててしまったらヒトはヒトでなくなるように思う。スマホを投げつけるように、他人を簡単に切り刻んでしまうようになる。そう思ったのだ。

新生活をはじめる君たちには、家族や人間と「つなぎ放題」であってもらいたいと、思っているんだ。そのほうがきっと幸せになると思っているんだ。きっと。さてと、ネットのレシピ通りに作った夕ご飯だ。オイシソウダ。

牛肉と炒めて食べた。