マスクの転売が罰則付きで禁止され、オークションサイトから消えた。

ヤフオクに出品され、１枚１００円だとしても、「ある」ということは「安心感」になっていた。ところが、ヤフオクにも、薬局にも、コンビニにも、スーパーにも、どこにも「ない」。必要としている人たちの不安はさらに募る。コロナ鬱になってしまう。

マスクが必要なほんとうの理由

マスクが必要な理由は、もしもボク（たち）が、新型コロナウイルスに罹患した場合に及ぼすまわりへの影響が、どうも甚大そうだからだ。ボクの生活や、ボクの身体に対する影響なんてものは心配はしていない。仮に感染し死んだとしても、天涯孤独の身、哀しむ人もいないだろうし、困る人もいない。

ボクが罹患することによる、この街への風評被害。あるいはタクシー業界に対するイメージの悪化。そしてなにより営業停止になった北九州の第一交通産業のように、同僚の生活までも、そして会社の存続までも脅かし、奪いかねない、ということなのだ。

運転手感染のタクシー営業所再開　接触305人の経過観察終了　北九州市｜【西日本新聞me】

従業員のタクシー運転手が新型コロナウイルスに感染した「第一交通」曽根営業所（北九州市小倉南区）は16日、約2週間の営業自粛期間を終え、営業を再開した。市は同日、運転手の濃厚接触者らに二次感染は確認されなかったと発表した。

そうなることが恐怖なのだ。

ボク自身が罹患し、アパートにマスコミが来る。住所や名前がさらされ、自宅待機が２週間。なんてことは我慢できたとしても、北九州ように４８人には迷惑がかかる。償うことができない。そう考えると、罹るわけにはいかないのだ。

もしもマスクをしていなかったら

さらに、罹患した時に「マスクをしていなかった」「車内の消毒もしていなかった」なんてことになると、さらに責任は重くなる。「それを許していた会社の在り方」まで問われ、「やっぱりタクシー業界はだらしない」なんて世間の人から白い目で見られる、ということを考えると、とりあえず出来ることはしたい、伝染したくない、伝染させたくない、そう思う。

そう思うからマスクは欲しい。マスクが全てではないにしろ、やることをやっとかないと、ボクのせいで会社が倒産するかもしれない。２週間も営業自粛なんてなったら大変だ。

そういった心理が、ボクたちをマスク依存症にさせる。そしてマスク不足を加速させる。さらに差別を生じさせ、罹患隠しや検査論議を生む。その間にパンデミック化する。

新型コロナウイルスが人の精神を蝕んでいく構図だ。それはもうボクたちは経験していたはずなのに、たったマスクでまた差別や暴動が起こすというのか。

ボクたちが求めているものは「安心」なのだ。罹患しても「安心」できる社会、病気を隠さなくても「安心」できる社会、安心と差別のない社会こそ必要なのだ。そこをみんなで考えてもらいたいと思っている。そのことこそ重要なのだ。不安を煽り、病人を差別したりすることが、終息を遅らせると思うのだ。

マスクは必要か？