白藤大師、通夜堂にて(38日目の3)

白藤大師に到着すると、その通夜堂に荷物を下ろした。そして少し横になった。畳の上に身体を預けるのは久しぶりのことだった。何日ぶりだろうかと思い出していた。「清滝寺の通夜堂、津呂の遍路小屋の一畳ベッドが最後か」と呟いた。15日ぶりということを日記で確認した。日本にいて畳が懐かしくなるとは思わなかった。

海外に行かなくても文明との断絶は可能だ。「豊かさ」という多くの旅行者が感じる日本との差異やそれによるカルチャーショックなんてものは、四国でも体感できる。自分を探すためだけのことならば、なにも距離だけを問題にする必要は無い。時間や空間というのは、距離に比例するものでもないからだ。それがtravelでありtripなのだから。

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(通夜堂)

白藤大師堂 – Google マップ

白藤大師

その通夜堂の横は墓地だった。当たり前のことなのだけれど、そのことは気にならなくなる。17時30分、夜がボクの存在を希釈する。もう誰もここには来ないだろうと思った。個室となった通夜堂で夕食を摂った。カロリーメイトと近くの自動販売機で買ったホットレモネードがその夜のメニューだった。

結局この日は買い物をすることもなく、昨日買った食料だけで過ごした。境目トンネルを出たところに水車という食堂とコンビニのような商店があったのだけれど、佐野にあるだろうと思って食べなかったし買わなかった。ただ佐野ではみかんを頂いて、それがずいぶんと効いているように感じていた。

朝(スニッカーズ)8時30分(カロリーメイト、ジャンボソーセージ)12時(みかん2個)14時30分(チョコッチップパン)そして、夕食のカロリーメイトが1日の食事だった。

そして涅槃へ

18時を過ぎたところで、通夜堂のマットの上に寝袋を広げて、その中に入った。そして遍路ノートを読み始めた。「大喜多うどん、福田かなくまうどん」というお勧めのうどん屋をチェックした。そして「琴弾回廊の風呂、瀬戸大橋健康村、簡保坂出」という温泉施設も日記にメモした。その簡保坂出は八十一番札所の近くだった。八十番という数字に終わりを感じていた。

大興寺 朝靄の中に立つ修行大師像
(67番札所大興寺 朝靄の中に立つ修行大師像)

この日の行程と費用

  • 行程:戸川公園(四国中央市柱尾)~白藤大師(観音寺市粟井町)
  • 札所:65番札所三角寺、66番札所雲辺寺
  • 宿泊:白藤大師通夜堂
  • 費用:490円(納経代、お賽銭別)
  • 自動販売機
    • 缶コーヒー×3 360円
    • ホットレモネード 130円

*雲辺寺から大師堂までは、雲辺寺山山頂の先から粟井町への遍路道を通りました。実際のルートと大幅に違うために2部に分割しています。また、三角寺から雲辺寺へは、佐野ルートを取っています。これも地図のルートとは少し違っていて、実際のルートは池田PA先、和田で高速道の下を通り、和田丘と地名表記されているあたりから遍路道が車道に向かって北上しています。

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