モラル(37日目の3)

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戸川公園での宿泊が禁止されたのは、ある遍路が地元の子供に買い物を頼んだということが原因ということを後で聞いた。子供に命令したのか、同意してのことだったのかは分からないのだけれど、そういうことはこの国では受け入れられないと思う。

例えばインドやアフリカなどではそういうことはよくあるし、子供のアルバイトとしてバスや列車の席取り、チケット購入時の並び役なんてことをやっている。ボクも利用したことがある。成功したら報酬としていくらかのお金を支払う。

貧困家庭では子供も貴重な労働力なのだ。住み込みで雑用をしながら学校に行っていた中学生もいた。月収500円とかで数軒をかけもち。それでも寝る場所と食事があるので、それでも満足していた。きっと、地元の子供を使った遍路も、そんな経験があったのかもしれない。そしてボクたちのように疲れ果てて公園にたどり着いて、食料もなかったら、ついつい「ちょっとコンビニまで行ってきてくれるか。100円やるから」なんて言ってしまうかもしれない。

「地元の子どもに使いを頼む」それは珍しい例で、野宿禁止になる一番の理由はゴミや糞便の問題だろう。それに火事の心配もあるだろう。ボクが火気を持って行かなかったのはそういう理由からだ。秋から冬にかけて一番乾燥する時期ということも考えた。火事を起さないという確証はないのだから。周辺住民の皆さんに不快感を与えたくないと、ほとんどの人は思っているだろう。それでも、金銭的な理由などから自炊せざるをえなくなる。中にはそれを修行として行っている者もいるだろうし。

糞便の問題も我慢できなかったのだろう。ただ、後始末は出来るだろうから、それは言い訳にはならないと思う。

そのような先達のために、施設が利用できなくなる、ということよりも、四国の人々と遍路との関係が悪くなるというのが一番懸念されることなのだけれど。

境目トンネル出口に設置されていた臨時トイレ(移動式の車です)
(「お遍路さんへ」という臨時トイレ。こういったトイレ車両があるとは知らなかった。ちなみに名古屋ナンバーでした。企業名は失念)

「取っていいのは写真だけ、残していいのは足跡(想い出)だけ」ということだろうと思う。「遍路10人より観光客1人のほうが四国の経済にはありがたい」なんてことを思っている人もいて、確かに札所とコンビニにしかお金を落とさないボクのような遍路は、公園で使ったトイレや水道代にもならないのだから、歩かせてもらっているという意識はいつも持っていないと、と思っている。

三好市大宗谷(おおそだに)バス停そばの地蔵尊にて「非常識にも周囲に大便をするものあり」という施設利用禁止の貼紙
(三好市大宗谷(おおそだに)バス停そばの地蔵尊にて「非常識にも周囲に大便をする者がおり」という施設利用禁止の貼紙)

この日の行程:石鎚山駅(西条市西田甲)~戸川公園(四国中央市柱尾)

この日の札所:四国別格12番延命寺

この日の宿泊:東屋ベンチ

この日の出費:2,389円(納経代、お賽銭別)

・サンクス西条州之内店
ナビスコチップスター 113円
おーいお茶ホット 137円
おにぎり昆布 115円
おにぎりかつお 115円
ブラックサンダー 31円
(小計 511円)

・ローソン新居浜大生院店
ビックソーセージ2本 210円
おにぎり辛子高菜 110円
おにぎりカツオ 105円
(小計 425円)

・デイリーヤマザキ舟木店
肉まん×2 210円

・ファミリーマート寒川西店
ずっしりつぶあん 116円
Fチョコチップ(8) 176円
プロテインバーチョコ 137円
カロリーメイト 105円
スニッカーズ 120円
ビッグソーセージ 116円
ブルガリア飲むヨーグルト 110円
(小計 883円)

・自動販売機
缶コーヒー×2 240円
ミルクティー 120円

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