さよなら石鎚温泉(36日目の4)

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前神寺を17時に出発したボクはすぐ近くにある石鎚温泉に行った。宿泊もできる温泉施設だ。温泉に入った。そしてそこで夕食を食べた。

石鎚温泉のにぎり寿司うどんセット
(石鎚温泉にて)
*国道11号線、石鎚駅ちかくにあった石鎚温泉は現在閉鎖されています。近くに【公式サイト】湯宿 湯之谷温泉 | 四国・愛媛・西条市があるようです。

にぎり寿司うどん定食を食べた。835円だった。18時30分に温泉を出て、少し戻ったところにあるJR石鎚山駅に行った。小さな無人駅だった。近くにラブホテルがある。

駅に着くとボクはベンチに腰を下ろした。しばらくすると電車が着いて、遍路がひとり降りた。「こんにちは」とお互いに挨拶した。そして30代前半だろう男は「石鎚温泉は近くですよね」と訊ねてきたので「ええ、すぐですよ、ボクも今入ってきたところです」と言った。「そうですか、ここにお泊りになりますか」と訊いてきたので「はい、そのつもりです」と言った。すると彼は「ボクも泊まろうかなあ」と言って「その前に温泉に行ってきます」と言った。

ボクはその時に金剛杖がないことに気付いた。「あ、温泉に忘れてる」と思い出して。「ボクも一緒に行きますよ。杖忘れて」と言って、二人並んで歩いて行った。そしてボクはまた駅に戻ってきた。

21時過ぎに彼はやって来た。電車の時刻表を見ながら、「やっぱり今晩はここに泊まります。明日の朝一番で伊予小松に行って61番から打ち始めます」と言った。少し話した。彼はその年の2月から区切り打ちをしているということだった。2月からだから、もうそろそろ1年という時間が過ぎようとしていた。1年間通して遍路を出来たことは通しで50日間というひとつの季節だけを見るということよりは、4倍の経験をしたのではないか、ということを話した。

そして今回はその日に六十番から石鎚山に参拝して、翌日4つの札所を巡わって帰宅するということだった。仕事をしながら、連休があると四国まで来て巡拝する。難しいことだろうと思った。

彼は石鎚温泉で食事とお酒を飲んだらしくて、かなり眠そうな目をしていた。22時少し過ぎたあたりに「寝ます」と言って寝てしまった。ボクも目を閉じた。

23時ごろになったら二人連れの若い遍路がやって来た。ベンチは1台残っていた。「こんばんは」と静かに挨拶をした。ひとりは女の子だった。その22、3歳と思われる女の子がベンチに寝て、男の子は床にマットを敷いて寝た。どちらも軽装だった。もう限界という感じの装備だった。寒そうに男の子は丸まっていた。

そのすぐ後に、もう1人やって来た。石鎚温泉にいた遍路だった。ベンチも場所もないことを確認すると、近くの軒下にテントを張った。(朝分かったことなんだけれど)

みんな起きていたのかもしれない。その日は全員横峰の山を登って、そして下りて来たのだから疲れていた。そして温泉に入ったところで、筋肉も感覚も弛緩してしまったのだろう脱力感に支配されていたのだろうと思う。ボクもそうだった。そして多くの遍路が石鎚温泉に浸かって、疲れを癒したのだろう。もう数え切れないほどの人たちが。

しばらくすると雨の音が聞こえてきた。ついていると思った。同宿4人。石鎚山の駅は満員だった。石鹸の匂いと温泉の香りが充満していた。女の子の香水の香りかもしれなかったけれど…。

幅50センチのマットより狭いベンチにマットとザック
(JR予讃線 石鎚山駅待合室 この日の寝床)

この日の行程:丹原総合公園(西条市丹原)~石鎚山駅(西条市西田甲)

この日の札所:60番札所横峰寺、61番札所香園寺、62番札所宝珠時、63番札所吉祥寺、64番札所前神寺

この日の宿泊:駅待合室ベンチ

この日の出費:2,405円(納経代、お賽銭別)

・ファミリーマート小松大頭店
あんまん 105円
肉まん 105円
スナックパン(8) 179円
カロリーメイト 105円
ビッグソーセージ 116円
(小計 610円)

・石鎚温泉
入湯券 450円
にぎり寿司うどんセット 835円

・自動販売機
缶コーヒー×2 240円
スポーツドリンク 150円
ミルクティー 120円

(59番国分寺から世田薬師~日切大師~生木地蔵~大頭~湯浪休憩所〔車道はここまで〕~古坊休憩地~60番横峰寺の湯浪ルートは山道が多く、Googleマップでの経路と実経路の乖離が大きいので、2つに分割して掲載しています。下の地図、横峰寺~61番香園寺上の横峰寺~白滝奥の院ルートも地図上に表せないので途中で途切れています)
59番国分寺から60番横峰寺までのコース図


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